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ケモノ姫  作者: いぬらぶ
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 ミーシャはこの頃、ひどく不機嫌だった。


 行儀悪く机に肘をつき、燃えるような長い髪に指を絡ませ、整った顔を少々歪めながらバルコニーから見える街の風景を眺める。


 街は心なしか桃色の空気に包まれているようにミーシャには見えた・・・というか実際に街には今、どこもかしこもカップルでいっぱいだ。



――――――――繁殖期だから。



 なんだか生々しいが仕方がない。ここに・・・いやこの世界に住む者はみんな人間ではない。ここに住む者はみんな神または神獣そして神獣に仕える眷属なのだ。


 そして神獣や眷属達には繁殖期がある。それが今の時期なのだ。


 去年までは、この時期になっても別に気にはならなかった。


しかし、今年は違う。


 ミーシャは今年、成獣・・・大人になった。成獣になったら基本的に結婚ができる。そしてたいていの者たちは成獣になったとたん結婚をする。現にミーシャに仕える侍女や友人たちはそろって結婚した。ミーシャの姉も成獣になると同時に嫁いだらしい。まぁ、姉とは50年ほど年が離れているので定かではないが。

 

 しかし、ミーシャは結婚をしなかった・・・・否、できなかったのだ。というのも、ミーシャはかつて地上に降りた7神獣のひとつ龍の一族の直系の血をひく王女だったためだ。彼女は50年ぶりに生まれた最も高貴な血をひく姫であり、龍族の中に年が割と近く、身分の釣り合うものがいなかったためだ。実際には少数いたのだが、女癖がとても悪くキッパリとお断りした。その他の身分の釣り合う者はまだ成獣なっていない・・・生まれたばかりの者ばかりだ。父である王は彼らが成獣になるまで待て、などと嬉しそうな顔で言っていたが、ミーシャは待っているなど絶対に嫌だった。


――――――――――完全に行き遅れじゃない。


 はっきりいうと、自分では身分の釣り合いなどどうでもよかった。


 だから、身近の者でも・・・と思っていたのだが、なぜか自分の周りにいる男はみんな結婚済み・・・しかもかなり年をとっている者ばかりだった。


 なら自分を守る騎士・・・などと考えたが、自分には戦闘に長けた侍女がいたため騎士が付けられていなかった。それにミーシャはさすが王家の直系というべきか、そこらにいる騎士たちが束になっても簡単に勝ててしまうほど強かった・・・もしかしたらそのせいで結婚できなかったのでは?などと今更ながら思う。


「どこかにいい男いないかしら・・・?ううぅっ、いい男いねぇか―――!!?」


 周りにいる侍女たちが少し変な顔をしたが気にしない。というか侍女たちはみんな既婚者だ。絶対に自分の気持など分かるまい。だから無視だ!!


『あらあら・・ミーシャ、少しはしたなくてよ? 外にまで聞こえてきたわよ』


 急に後ろから声が聞こえてきた。咄嗟に首をグリンッと回して声のした方を見る。数秒の間、相手が認識できなくてマジマジと見てしまった。そして誰だか理解したとたん勢いよく膝をついた。その時、あまりに勢いが良すぎて膝の頭を強く打ってしまい少し、涙がにじんだ。


 声をかけたのは、腰まである黒く艶やかな髪を持つ麗しの美女・・・この世界にいる二人の神の一人、創造神であり、すべての母と言われている女神リラーシャだった。














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