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# 第五話 ## 「王都と、世界一優しい学園長」

# 第五話


## 「王都と、世界一優しい学園長」


三日後――。


「見えてきたよ!」


フレアが大きく手を振る。


森を抜けた先に現れたのは、巨大な城壁に囲まれた美しい都だった。


白い塔が空へ伸び、色とりどりの屋根が朝日に輝いている。


中央には、雲を突き抜けるほど高い王城。


「すごい……。」


湊は思わず立ち止まった。


「これが……王都。」


リリアも小さく息をのむ。


「何度見ても圧倒される。」


門の前には大勢の人。


商人。


冒険者。


エルフ。


獣人。


魔法使い。


異なる種族が笑顔で行き交っていた。


「こんなにたくさんの人が……。」


学校では教室の隅で一人だった湊には、その光景がまぶしく映った。


---


## 初めての友達


王都へ入ると、子どもたちが広場で遊んでいた。


ボール遊びをしていた一人の男の子が転ぶ。


「あっ!」


ボールは坂道を転がり、馬車の前へ。


「危ない!」


湊は反射的に飛び出した。


ボールを拾い、男の子へ返す。


「ありがとう、お兄ちゃん!」


男の子は満面の笑みを浮かべた。


その笑顔につられて、ほかの子どもたちも集まってくる。


「お兄ちゃん、冒険者?」


「その剣かっこいい!」


「お姉ちゃんたち、きれい!」


フレアは得意げに胸を張る。


「もっと褒めてもいいよ!」


「調子に乗らないの。」


セレスが小さくため息をつく。


リリアも思わず笑った。


その時だった。


「お兄ちゃん!」


さっきの男の子が言う。


「また遊びに来てね!」


その言葉に、湊の胸が温かくなった。


(友達って……こういうものなのかな。)


---


## 魔法学院


王都の中央。


王城の隣には、巨大な学院が建っていた。


青い屋根。


白い壁。


校庭では何百人もの生徒が魔法の練習をしている。


「ここが王立エルディア魔法学院。」


セレスが説明する。


「世界最高の学院よ。」


その時。


学院の門がゆっくり開いた。


中から、一人の老人が現れる。


白いひげ。


優しい目。


杖を持った小柄なおじいさん。


「ようこそ。」


老人はにっこり笑った。


「待っておったぞ。」


「天野湊くん。」


「え?」


湊は驚く。


「僕の名前を……。」


老人は笑顔のまま答えた。


「もちろん知っておる。」


「二体の竜に選ばれた少年じゃからの。」


フレアが小声でささやく。


「この人……。」


セレスもうなずく。


「学園長。」


「世界最強の大魔法使い。」


湊は慌てて頭を下げた。


「は、初めまして!」


老人は笑った。


「そんなに緊張せんでよい。」


「わしは厳しい先生ではない。」


「生徒を信じる先生じゃ。」


---


## 学園長の試験


「さて。」


学園長は湊を見つめる。


「一つだけ試験をしよう。」


「試験?」


「うむ。」


老人は花壇を指差した。


そこには、一輪の小さな花が咲いていた。


「この花を咲かせてみなさい。」


「え?」


湊は困った。


「でも僕、攻撃魔法しか……。」


「違う。」


老人は首を振る。


「魔法は戦うためだけにあるのではない。」


「人を助けるためにもある。」


湊は花の前にしゃがみ込む。


(咲いてほしい。)


(元気になってほしい。)


そう願った瞬間。


左手の青い紋章が光る。


優しい水が花を包み込む。


さらに右手の炎が、春の日差しのような暖かさを与える。


すると――


枯れかけていた花は、ゆっくりと顔を上げた。


そして。


一輪だった花の周りに、次々と新しい花が咲き始める。


赤。


青。


黄色。


白。


学院中が花畑になった。


生徒たちは歓声を上げる。


「すごい!」


「こんな魔法、見たことない!」


学園長は目を細めた。


そして静かに涙を流した。


「やはり……。」


「間違いない。」


湊は慌てる。


「ぼ、僕、何かしましたか?」


老人は優しく笑った。


「いや。」


「君は戦うためではなく、人を幸せにする力を持っておる。」


「その心こそ、本当の英雄の証じゃ。」


湊はその言葉を聞いて、胸がいっぱいになった。


学校では「役立たず」と言われ続けた自分が、初めて「英雄」と呼ばれたのだ。


しかし、その穏やかな時間を切り裂くように、学院の鐘が激しく鳴り響いた。


**ゴーン! ゴーン! ゴーン!**


一人の教師が駆け込んでくる。


「学園長、大変です!」


「王都の北門が魔物の大群に襲われています!」


その報告を聞いた学園長は、静かに杖を握った。


「……ついに来たか。」


湊もフレアもセレスもリリアも顔を見合わせる。


王都での平穏は、あまりにも短かった。


世界を揺るがす戦いの幕が、今、上がろうとしていた――。


---


### 次回予告 第六話


**「王都防衛戦!英雄への第一歩」**


数千の魔物が王都へ迫る!

学園の生徒たちは恐怖に震える中、湊は「誰かを守るために戦う」と決意する。

火竜と水竜、そして新たな仲間リリアとともに、王都を守る戦いが始まる!


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