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信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
4章:クレセート

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266:ラス・イコメク-2-1

「封印が自然に解除されるまで後20分と言うところね」

「つまり、そろそろ警戒をするべき時間帯ね」

 スィルローゼ様の究極封印魔法による時間稼ぎを行ってから2時間半。

 時間経過によって封印の強度が下がり、中に居る魔鬼王ラス・イコメクの挙動によっては何時破られてもおかしくない状態になってきている。


「エオナ、俺たちは何時でも大丈夫だ」

「分かったわ」

 ゴトスたちの準備は完了。

 ラス・イコメクの周囲で陣形を組み、解除されても問題の無い程度に補助魔法を張り始めている。

 これまでの流れから後の事など考えていられないのは分かっているので、最初から全力で行くつもりである。


「hfsfy……」

「「「……」」」

 残念ながらラス・イコメクの準備も進んでいる。

 封印の中にはラス・イコメクだけでなく、100体以上のスパルトイたちが屯し、封印が解ける瞬間を今か今かと待ち望んでいる。

 ラス・イコメク自身も口から蘇芳色の炎を漏らしている。


「じゃあ、始めましょうか」

「そうね」

「分かったわ」

 私たち……エオナ=フィーデイ、エオナ=トレイン、エオナ=ライブラリ、それに他の面々も戦いの為の準備を始める。

 重要なのは初撃。

 そこを十全に決めた方が、流れを掴む。

 ラス・イコメクに流れを掴まれたら一溜まりもない以上、此処は絶対に決めなければいけないだろう。


「「「茨と封印の神スィルローゼ様。貴方様が代行者、荊と洗礼の反逆者にして皆封じの魔荊王、『エオナガルド』の主であるエオナが求めます」」」

 だから私たちは全員揃って完全詠唱を行う。

 スィルローゼ様へ祈りを捧げ、助力を願い、私の力を呼び水として大いなる奇跡を招く。

 全てはスィルローゼ様のこの世界を守ると言う願いの為に。


「封印解除!」

 エオナ=トレインによってラス・イコメクの封印が効果時間切れを待たずして解除される。


「jbds!」

 直後、封印の中に居る間には出来なかった新たな能力の取得をラス・イコメクが行い、ラス・イコメクの周囲に半透明の白い膜が生じる。

 同時にドレインフィールドが再展開されて、私たちのHPが減り始める。


「作戦開始ぃ!」

「「「うおおおおぉぉぉ!!」」」

 ゴトスたちがラス・イコメクに向かって動き出す。


「ーーーーー!!」」」

 同時にスパルトイたちがゴトスたちを攻撃するべく動き出す。


「『グロディウス・ファトム・ワン・イベト=スル・アウサ=スタンダド』」

「bst!?」

 この場に居るはずのないヤマカガシの声が響き、ラス・イコメクが張った白い膜が消失する。


「『スィルローゼ・ウド・フロトエリア・ソンウェイブ・ズィーベン』」

「『スィルローゼ・ファイア・フロト・イグニ・アハト』」

 エオナ=ライブラリと私の魔法が発動して、スパルトイたちとラス・イコメクを茨の津波が飲み込み……着火。

 天を衝くような勢いで炎が立ち上り、スパルトイたちを焼き払うと共に、ラス・イコメクにダメージを与え、ドレインフィールドが通常の物になると同時に動きを止めさせる。


「『スィルローゼ・サンダ=ダク=ミアズマ・エリア=ワン・ライトニグ=スィル=バイン=スリプ=パライズ=フリズ=ペトロ=ウィルス=ベノム=カス=オルステデバフ・アハト』」

「kwじvすkfds!?」

 そこへ、いつの間にか生じた黒雲から薔薇色の雷が落ちて、追撃。

 目に見えるレベルでラス・イコメクのHPを削り取る。

 やったのはエオナ=マネージのようで、左腕には土で出来た蛇が絡みついていて、その目をラス・イコメクに向けている。


オリクテオム(燃え尽きろ)!」

 当然、ラス・イコメクと言えどもやられっぱなしではなく、口から蘇芳色の炎を吐き出しつつ素早くその場で回転する事で私たち全員を薙ぎ払おうとする。


「門の位置調整を完了」

「kgs!?」

 だがそれよりも早くエオナ=トレインが二つ目の層に繋がる門を展開していた。

 作戦通りにゴトスたちの足元に門を展開して逃がすと共に、回転するラス・イコメクの口の位置と胸の位置に沿うように門を開く。

 そうする事でゴトスたちが私たちとラス・イコメクの攻撃に巻き込まれることを防ぐと共に、ラス・イコメクの攻撃をそのまま返し、胸の骨を焙る。


「『スィルローゼ・ウド・エクイプ・エンチャ・ツェーン』」

「『スィルローゼ・プラト・ワン・グロウ・ツェーン』」

「k……!?」

 まだ私たちの攻撃は終わっていない。

 エオナ=ファームの魔法によって目が痛くなるほどに青く輝くニグロム・ローザを握ったエオナ=フェイスがスリサズに跨り、巨大化した剣の切っ先を向けながら突撃。

 自身の攻撃の痛みに悶えるラス・イコメクの頭蓋から背骨に向けて貫き……地面に縫い付ける。


「再開門」

「全力攻撃いいぃぃ!!」

 そうして身動きが取れなくなったラス・イコメクに向けてゴトスたちが一斉攻撃。

 私たちも茨の塔から青い光線のように見える鞭の攻撃を放つと同時に、召喚したアイブリド・ロージスもブレス攻撃を放つ。

 すると周囲一帯に虹色の光があふれかえり……爆発した。


「さて……」

 開幕は制した。


「どの程度かしらね」

 これまでとは比べ物にならない量のダメージも与えた。


「そうねぇ……」

 だが全員理解している。


「うpぃzp……」

 この程度でラス・イコメクが倒れない事は。


「とりあえず一割は削れたわね」

 だから、骨だけだった体に血管のような赤い筋が張り巡らされたラス・イコメクの姿……HPを最大値から10%削った事によって移行した第二形態の姿にはむしろ安堵すら覚えた程だった。

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