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信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
4章:クレセート

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262/284

262:対処するクレセート-2

「教皇様。それは……」

「ああ、これは三つ目だよ。エオナに一つ渡して、セキセズ枢機卿が持ち出した一個は色々と手を加えないと安全に使えない状態になっていたからね。安全な場所に封印してある」

 ヨミノマガタマに気付いたタイホーの視線を受けて、ルナリド教皇は直ぐに説明をする。


「それよりも問題は未だにクレセートの各地で暴れているLIECと言う名前のモンスターに対処する事だ。そうだろう」

「確かにそうですな。では、いっそのことこれまでの流れについて振り返っておきましょうか。何かが見つかるかもしれない」

 ルナリド教皇を加えた面々の視線が地図へと向けられる。

 そしてLIEC-1の出現と、それに合わせて始まったセキセズ枢機卿を操るG35とエオナたちの戦い、その後から今に至るまで続くスヴェダ頼みのLIEC-1の捜索と討伐がそれぞれの口から語られる。


「ふむ、遠距離からの攻撃に対するカウンターとして放たれたLIEC-3の出元については調べたのかい?」

「勿論調べたのニャ。けれど出元は毎回違っていて、大本を探る事には繋がらなかったのニャ」

「おまけにLIEC-3の実力は決して低い物ではない上に、どうにも倒す度にこちらの行動を学習している節がありましてな。その結果として今の体制になっているのです」

 スヴェダを始末するために放たれたLIEC-3の出元は当然調査済みだった。

 だが、調べて分かったのはLIEC-1たちと同じく、何処からかスクロールを転移させて出現させている事だけだった。

 そして、LIEC-3の戦闘能力は当初こそ数で押せば一瞬で潰せてしまう程度だったが、最終的にはルナとタイホーの二人を含むレベル90のプレイヤーが複数人がかりで対処する必要がある次元にまで成長。

 これ以上の成長は危険と判断し、そのためにスヴェダの能力の利用は探知までに限る事にして、現場での対処は他の面々が当たる現在の状態になったのだった。

 また、成長したLIEC-3の実力の高さこそが、他のある程度以上実力のある面々とスヴェダを残して、ルナとタイホーがエオナの救援に行けない最たる理由であった。


「なるほどね。となると……僕の魔法の出番かな」

「教皇様の……」

「魔法?」

「ああ、少し前にルナリド様から贈り物の一つとして魔法を授かってね。ヨミノマガタマを持っていることを前提とした魔法だけど、今の為の魔法なのだろう」

 ルナリド教皇の言葉に、何時授かったのかを知るヤマカガシは微妙に視線を逸らし、何も知らないルナたちは素直に期待の眼差しを向ける。


「ただ、使えば確実にカウンターが飛んでくるだろうね。なにせ、見つからないからこそ脅威である敵の大本を探り出すんだ。敵が対抗策を練っていないと考えるのは楽観的過ぎる」

「でしょうな。ですが、お願いします。今は少しでも手掛かりが欲しいところですから。代わりに護衛はお任せを」

 他に手段がないことは明白。

 ならば、この手段を用いることも、ルナたちがルナリド教皇の手助けをするのも当然だろう。


「……」

「どうしたのニャ?スヴェダ」

 だから早急に準備を整えるべく、ルナリド教皇たちは魔法を使う場所の選定や、護衛の仕方についての話し合いを始める。

 そんな中で、実務担当と言っていいスヴェダとノワルニャンの二人が手持無沙汰になるのは、ある意味当然とも言えた。


「そう言えば、クレセートの中で敵がリポップしないのはなんで?今更だけど」

「ああ、それはイナバノカグヤの細工ニャ。ファシナティオの件もあったから、ヤルダバオト神官のリポップ封じの細工を施したと言っていたのニャ。予定では、これから順次クレセート周辺の都市や村に仕掛けていくとか言っていたと思うニャ」

「ふうん。じゃあ、セキセズ枢機卿とかは生き返らないんだ」

「そう言う事になるのニャ」

 そんな訳で二人は二人でちょっとした疑問の解消をしておく。


「スヴェダは……一応、悪霊にゃんだのにゃ?」

「語尾がおかしい気が……まあいいけど、そう、私は悪霊。モンスター。だからここに居るのは人形のようなもので、本体は『エオナガルド』に居る」

「こうして皆の目が集まる所に姿を現したとなると、エオニャン、後で色々と言われることになりそうだニャア」

「……ざまぁ」

 スヴェダの吐き捨てるような言葉に、エオナとの付き合いがそれなりにあるノワルニャンはだいたいの経緯を察する。

 そして、自分の想像通りなら……まあ、非難されるのはエオナにとって想定の範囲内だろうとも考える。


「ケッハメイ枢機卿たちクレセート住民は無事?」

「無事だから安心するのニャ。念のために避難場所も複数個所に分けてあるし、相応の実力者も配置済みなのニャ。LIEC-1の方は大丈夫かニャ?」

「問題なし。新しいのは出てない」

「ラス・イコメクの方はどうニャ?」

「少なくとも私に関わっている暇が無いのは確かみたい。こっちからの情報は求められるけど、向こうからの情報は流れてこないし」

「厄介だニャア……」

 そうして二人が会話をしている間にルナたちはこれからの作戦を決める。

 その後、ルナリド教皇のクレセート内に存在している全ての影の位置を把握すると言う魔法によって、『Full Faith ONLine』時代には未設定領域だった、入口の無い空間に正体不明の影が確認された。

 それから数時間に及ぶ激闘の末にLIECの根元を絶つことには成功する。


 だが、その数時間でエオナたちの状況は明らかに悪くなっていた。

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