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信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
4章:クレセート

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218/284

218:巻物中のモンスター-6

「とまあ、メダルとスクロールについては以上よ」

「そうか」

 私がマミラセンシシについての計算を終えてから暫く経った頃。

 ルナたちが何人かの神官を連れて部屋に戻ってくる。

 そして、私はメダルとスクロールがどうなったかについて話す。


「メダルについては……まあ、ルナリド様が直々に処分と調査を行われるのであれば、私たちが言う事は何もないな」

「出所について調べるのは私たちの仕事になると思うわよ」

「それはもう始めているから大丈夫だ。直ぐにでも本来の出所も、本当の出所もこっちの耳に入ってくる」

 自分たちが仕える神が直接関わることを決めた、そんな意味も含む私の言葉にルナたちも含め、私とマクラ以外の全てのルナリド神官が背筋を正し、真剣な表情を浮かべる。

 まあ、ルナリド神官ならば当然の反応と言えるだろう。


「ふうん、本来と本当、ね。と言う事はやっぱり途中ですり替えられているの?」

「その可能性が濃厚そうだ。あのメダルを贈った枢機卿に話を聞いてみたが、相当憔悴していたが、それでもこちらに対して友好的な面も見せている。自分の潔白を証明する意味でも、犯人を何としてでも見つけ出そうとするだろう」

 メダルを贈った枢機卿が白である可能性が高いのは別に驚く事ではない。

 幾ら何でもあからさま過ぎるからだ。

 だからこそ逆を突いて、と言うのも有り得るので、容疑は晴れないが。


「だが、早まったかもしれないな。場合によってはこのレベルのモンスターを何体も従えているかもしれない相手だ。並程度の実力者では対処できないどころか、相手の糧にされかねない」

「そうね。私もこのレベルで危険なモンスターを出してくるとは思わなかったわ」

 話は改造されたマミラセンシシの方へ向く。

 改造されたマミラセンシシの危険性はある程度以上の実力者ならば、誰でも理解できるものであり、同時にそれを従えていた何者かの厄介さもよく表していた。


「計算は正しいのか?」

「概ねは。もっとエグい方法を向こうが考え付いていれば数は減るけど……救いにはならないでしょうね」

「……」

 私もルナも既にマミラセンシシを従えていた何者かの正体をG35ではないかと疑っている。

 マミラセンシシの本来の生息地がポエナ山地である事や、その育成にはマトモな神経をしている人間では絶対に出来ないレベルの虐殺か猟奇殺人が必要である可能性が高い点からだ。

 尤も、仮にG35でなくとも、その危険度については大差はなく、対峙すれば一瞬の油断すらも許されない次元の相手である事は想像に難くないが。


「分かった。こちらの線でも探ってみよう。クレセート周辺でここ二ヶ月以内に犯人が特定されていない大量殺人や失踪、猟奇殺人があるかだな」

「そうなるわ」

 ルナが何人かの神官に指示を出して、早速調査を進めさせる。

 もしも調査の結果が何も出なかったら……その時はファシナティオ支配下のフルムスで事が進められていたか、あるいは死ぬ事すら許さない手法を用いたか、と言うところか。

 G35なら……まあ、どちらも有り得てしまうだろう。

 私が思いつかない手法を向こうが思いつく可能性は考えても、私が思いつく程度の手法を向こうが思いつかない可能性は考えるべきではない。


「さて、これで後は暫く待つ事になるわけだが……」

 で、それからもルナは幾つかの指示を出して、神官たちに調査を命じる。

 その内容は様々だったが……いずれの指示にも共通して、危険を感じた場合はその時点で撤退して、情報を持ち帰ることを第一優先事項とするようにしていた。

 うん、それで正解だろう。

 誰も死んだ方がマシなレベルの諸々を受けたいとは思うまい。


「エオナ」

「何かしら?」

 話はまだあるらしい。

 部屋の中に居る面々を一通り見回した上で、ルナが口を開く。


「ルナリド神殿の教皇様がお前を含めた代行者たち、それにシュピーと私を加えての会食を求めている」

「ふうん、それで?」

「受けるか否か、だ。どうする?」

 教皇様が代行者との会食を求めている、か。

 タイホーさん、それにヤマカガシも頷いている事からして、本気であるらしい。

 目を覚ましたイナバノカグヤさんと代行者としての姿をひっこめたマクラも既に身支度を整え始めている。


「受けるわ。会食そのものに興味はないけれど、教皇様にはパレードの件についてのお礼は言わないといけないから」

「そうか」

 私の言葉にパレードの件を思い出したのだろうか、イナバノカグヤさんが微妙に耳を震わせ、マクラさんが背中をさすっている。

 イナバノカグヤさんは本当に繊細であるらしい。

 と言うか、アレで代行者をやっていけるのかと少々不安を覚えるレベルである。


「で、皆の反応からして会食は今夜?」

「その通りだ。身支度が整い次第行くことになる」

「分かったわ」

 さて身支度だが……正直なところ、やる事はそんなにない。

 私の場合だと代行者としての姿を現してしまえば、それだけで準備完了と言ってもいい姿になるからだ。

 だが、素の状態を整えておくのも悪くはないだろう。


「一応言っておくが……馬鹿な真似はするなよ」

「保証は出来ないわね」

「だろうな……」

 そんなわけで、身支度を整えると私はルナたちと共に教皇様の下へと向かった。

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― 新着の感想 ―
[一言] カグヤちょっとメンタルぴえんぽいけど、代行者になるほどの信仰はあるんじゃよな……まぁそういう神様じゃないのに、荒事だの汚れ仕事だの政争だの期待されるのが酷というものか。
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