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信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
4章:クレセート

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215/284

215:巻物中のモンスター-3

「グルオォ!」

「ふんっ!」

 地道な戦いは続いている。

 マミラセンシシの攻撃をゴトスが盾で防ぎ、攻撃後の隙に他のメンバーによってバフが盛られた剣で反撃。

 その後にマミラセンシシの攻撃と反射によって減ったゴトスのHPを回復すると言う本当に地道で地味な戦いだ。


「ま、まどろっこしい……」

「ペースが上がらない……」

「デバフを撃ちたい……」

「諦めろ!よほどのバ火力が無ければ、これ以外に手が無い相手だからな!!」

 じれったいという思いを抱いているメンバーは多い。

 攻撃魔法どころか、デバフをかける事すら許されないのだから、それも当然のことだろう。

 しかも相手にかけてヘイト値を操作するタイプのデバフも反射されるから、バフを撃つにしても、ヘイト値管理の為に普段よりもペースを落とす必要があるのだから、なおさらである。

 だがゴトスの言うとおり、マミラセンシシ相手に戦うとなれば、今の戦術が正解となる。

 と言うよりだ。


「くっ……ゴトスさん!俺も攻撃役に加わります!」

「ま……」

「グルアッ!!」

「いっだぁ!?」

「無茶するな!回復班急げ!」

 反射能力に目が行きがちだが、マミラセンシシは普通にレベル70のPT向けモンスターとしての身体能力を有している。

 流石に攻撃力は多少控えめだが、その控えめと言う話もポエナ山地で出現する敵にしては、というものなので、無理や無茶は厳禁である。

 現にゴトスを助けようとした近接系の子がマミラセンシシのネコパンチで吹っ飛ばされて、救護されている。


「今ので分かったと思うが、近接班は最低でもレベル60以上だ!それとレベル40以下は間違っても攻撃範囲に入るなよ!!」

「「「は、はい!」」」

 こちらのメンバーのレベルは高いのはゴトスの90、低いのはシュピー=ミナモツキを含む40以下の面々が数人、平均すれば50から60と言うところか。

 これでレイドも組んでいるから、普通のマミラセンシシなら時間がかかりはしても、負けることは無いだろう。

 特にゴトスや私などは、その気になればソロでも対応可能な範囲だ。


「グ……ル……」

「閃光来るぞ!防御用意!!」

「アアアアァァァァ!!」

 マミラセンシシが閃光を放つので、私はその一瞬だけ自分の周囲に茨の壁を張り巡らせて閃光を防御する。

 で、閃光を放つ事でこちらの戦線を一瞬だけ乱したマミラセンシシが後衛に襲いかかろうとしたのが見えたので、私は周囲に立ててある茨の塔から青いビーム……と言う名の超高速鞭を放って、マミラセンシシを叩き、ゴトスが割り込むのを間に合わせる。

 戦いは基本的にゴトスたちに任せているが、こういう場面での手助けくらいはしていいだろう、流石に戦力不足だし。


「助かった!」

「流石にこれくらいは手助けをしないとね」

「グルルル……」

 それにしても恐ろしい話だ。

 相手の予定通りに事が進んでいた場合、このマミラセンシシが現れていたのはクレセートのど真ん中、ルナリド神殿の中。

 それも先に爆発事件によって場が大いに混乱している最中にである。

 もしも、そんなタイミングでマミラセンシシが暴れ回ったりしたら……どれほどの被害が出ただろうか。

 単純な閃光と攻撃だけでも一般市民や低レベルプレイヤーは対応できない。

 マミラセンシシがどういうモンスターかと言う知識を持っているプレイヤーも決して多いとは言えないだろうから、魔法……特に少しでも有効打になるようにと強力な魔法を用いて反射され、餌食になる者もかなり多そうだ。

 うん、ルナ、ノワルニャン、サロメ、タイホーさんなどが居るから最終的に狩られる事は間違いないにしても……大惨事になる事だけは確かか。


「反射……反射……試してみます!『ミラビリス・スチル・ワン・リフレク=ペネトレ=ボルト・アインス』!」

「攻撃魔法!?まっ……」

「ゴグウッ!?」

「あら、反射貫通魔法とは珍しいものを」

 と、ここでシュピー=ミナモツキが反射貫通能力を付与された金属の矢を放つ魔法を発動して、マミラセンシシに僅かではあるがダメージを通す。

 与えたダメージが僅かなのでヘイトが揺らぐことは無いが、思わぬ衝撃だったのだろう、マミラセンシシも少しだけ驚いて動きを止め……そこへ本命であるゴトスの攻撃も通る。


「えと、他に反射貫通を次の魔法にだけ付与する魔法とかあるんですけど……」

「本当か!?よし!ヘイト値を伸ばさない程度にバラ撒け!」

「は、はい!『ミラビリス・スチル・ワン=ネクス=スペル・バフ=リフレク=ペネトレ・ドライ』」

 どうやら、シュピー=ミナモツキの使えるミラビリス様の魔法にこの場で突き刺さるものがあったようだ。

 となれば、場が動くだろう。


「試します!『シビメタ・ミアズマ・ワン・ラスト=ダスト・ドライ』!」

「ガギッ!?」

 斧を持った茶髪の少女、キャッサバの手から赤い錆が煙の様になったものが噴き出すと、能力によって反射される事なくマミラセンシシの体にかかり、苦痛の声を上げさせる。


「いいねこれ!!っ、こっちは対象外……じゃないか」

「すみません!私の反射貫通は次の魔法だけです!」

 そして、怯んだ所に斧が振るわれて、追撃のダメージを与える。

 が、反射貫通は一度だけなので、与ダメージ反射を受けてしまったようだ。

 しかし、問題なく後退で出来たので、大事に至ることは無かった。


「さて……」

 シュピー=ミナモツキの魔法によって条件付きとはいえ火力は増えた。

 となれば倒すことは問題ないだろう。

 だからこそ私はゴトスたちの戦いを油断なく観察することにした。

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