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信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
4章:クレセート

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213/284

213:巻物中のモンスター-1

「ヤルダバオトのメダルについては僕の方で預かっておくとしよう。少し気になる事があるからね」

「分かりました。ルナリド様」

 こんなやり取りの後、私からヤルダバオトのメダルを受け取ったルナリド様は『エオナガルド』から出て行った。

 ルナリド様が何を気にされたのかは分からない。

 が、その気になった事が解決しなければならない事案であるなら、私の方に話が来るとは思うので、私が気にするのはその時でいいだろう。

 そして、ルナリド様が直接処分されると言うのであれば、ルナリド神殿の誰かが文句を言う事もないだろう。


「さて、残る問題はこっちね」

 私は手の内にあるモンスター召喚のスクロールを見る。

 私が改めて封印を施したので、時間ではなく既定の動作……つまりはスクロールを開くという行為をしなければ効果を発揮することは無い。

 だから、このまま放置しておいても大丈夫と言えば大丈夫なのだが……封印されているモンスターが何者かによって、このスクロールを製作した者が何処に居たのかも分かる以上、やはり中身の確認は必須だろう。


「一番厄介なのは認識者に対して致命的な状態異常を与えてくるタイプかしらね」

 だが、レベル70のPT推奨のモンスターと言う情報しかない状態で開けるのは、かなりの危険を伴う行為である。

 なにせレベル70と一言で言っても、その強さはピンからキリまであり、相性による差も大きい。

 今の私ならば、相手の正確な種類が分かっていれば完封するのも難しくはないが、相手の正体が不明だとどうしても初動が一拍遅れる。

 そして、その一拍が特に問題になり易いのが、自身を認識した者に対して何かしらの状態異常を与えてくるパッシブ能力持ちのモンスター。

 有名どころだと、魅了や混乱と言ったところだが、中には呪いを与えてくる者も居るし、変わり種になると原理不明の毒や火傷を与えてくる者も居る。

 ついでに言えば、今回のスクロールでこの手のモンスターが出てくる可能性はかなり高い。

 なにせ、本来ならばクレセートのルナリド神殿のど真ん中と言う多数の人が居る場所で現れるはずだったのだから、被害を出来る限り大きくする事を考えるなら、このタイプが一番適しているのだ。


「エオナ、別のお前に言われたから来たぞ」

「お邪魔しまーす」

「あら、よく来たわね」

 と、ここで『エオナガルド』住民の一部、ゴトスにシュピー、それにキャッサバたち戦闘能力が高めの面々30名ほどが、スクロールを持った私ことエオナ=トレインが居る面会区へと集まってくる。

 どうやら、エオナ=マネージがゴトスたちを集めておいてくれたようだ。


「その手に持っているのは……モンスター召喚か。エクペリ、ゴルド、マテリア、クンレン、どれだ?」

「残念ながらどれでもないわ」

 複製元が高レベルプレイヤーだけあって、ゴトスは直ぐに私が手に持っているものの正体に気付いたらしい。

 経験値稼ぎに使われるエクペリドール、お金稼ぎに使われるゴルドバック、素材稼ぎに使われるマテリアキューブ、動きの確認などの訓練用に使われるクンレンカカシの略称を挙げる。

 なお、これらのモンスターのスクロールは『Full Faith ONLine』ではクエストの報酬やダンジョンの宝箱、購入制限がかかった特殊な店、などで手に入れる事が出来たが、『フィーデイ』でも同じように手に入れられるかは不明である。


「と言う事は、現実化によって作れるようになった不正規品か」

「そうなるわね」

 話を戻して、私の言葉にゴトスは顔を険しくし、他の面々も無意識的に武器へと手をやる。

 どうやら、私がこの場で何を求めるつもりなのかを察してくれたらしい。


「封印されている状態で分かるのは、推奨レベル70のPT向けモンスターって事だけ。ただ、入手した状況からして、対多数で有効な能力を持っている可能性が高いわ」

「えーと、それなら私とかは居ない方が……」

「強制はしないわ。ただ……」

「推奨レベル70かつ対多数で有効な能力持ちなら、一芸特化型は活躍の場はあるかもな。ミラビリス様の状態異常反射魔法とか」

「なるほど」

 それに伴ってシュピー=ミナモツキを含めたレベルが低い数人が及び腰になるが、ゴトスの言葉で持ち直す。

 実際、ゴトスの言うように、シュピー=ミナモツキたちにも活躍の場がある可能性は高い。

 平均的にステータスが高くて満遍なくこなせるタイプが敵だと、レベル差の暴力で為す術もなくと言う事は多々あるが、敵が特化していればしているほどに、レベル差よりも相性の方が重要になってくるのはよくある事だ。

 勿論、『フィーデイ』で同じことをしようとしたら、あまりにもリスクが大きいので止める。

 しかし此処は『エオナガルド』、死ぬ心配がほぼない世界である。

 ならば……挑める相手には挑んでもらいたい。

 私も付いている事であるし。


「ま、そういう訳だから、10分以内に選んで。10分後にスクロールを開けて召喚。対処できそうな相手であれば、貴方たちに討伐をお願いするから」

「分かった」

 10分後、面会区には私含めて20人ほどの人間が残っていた。

10/16誤字訂正

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