↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
4章:クレセート

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

212/284

212:代行者たち-5

「は?ルナリド?え?貴方はスィルローゼの……え?」

 ルナリド様が直接教えて下さっている。

 この言葉にイナバノカグヤさんたちは明らかに動揺していた。

 まあ、当然だろう。

 私はスィルローゼ様とヤルダバオトの代行者であって、ルナリド様の代行者ではないのだから。


「ルナリドなら……」

「私は神器を授かっただけだ。そもそも七大神は代行者を作らない事になっているらしい」

「私に情報を伝えているのは単純に手間暇の問題でしょうね。『エオナガルド』は『フィーデイ』ではないから、制限も色々と緩いようだし」

 だが事実として、ルナリド様は現在『エオナガルド』にいらっしゃっていて、私の一人であるエオナ=フェイスが対応している。

 恐らくだが、私たちの状況を察して、助言を授けに来てくださったのだろう。


「『エオナガルド』……?」

「私の中にある世界。『フィーデイ』ではない世界。本来の用途は別だけど、何百と言う人と、それの生活を支えられるだけの生態系が別にあるわね」

「え、何を言っているのか……」

 で、今の話の流れから理解した。

 イナバノカグヤさんは確かに兎と細工の神ラビトリワク様の代行者であるのは事実なのだろう。

 しかし、彼女は人間のまま代行者になっていて、私の『エオナガルド』のような特別な物どころか、肉体と精神の変化が起きているかも怪しいようだ。


「代行者にも色々とあるってことよ。こんな感じにね」

「!?」

 と言う訳で、試しに左腕を茨に変化させ、先端から肩口まで裂くように、五本の別々の茨にする。

 その上で五本の茨を別個に操り、薔薇の匂いを周囲に振りまく。

 そして、その姿を見たイナバノカグヤさんは……気絶した。

 どうやら、驚かせすぎてしまったらしい。


「ああ見えてカグヤは繊細。もう少し気を付けて欲しいかなー」

「みたいね。やり過ぎたわ」

「「「っつ!?」」」

 で、イナバノカグヤさんが倒れると同時に、マクラさんがイナバノカグヤさんの体を右腕で抱えつつ、左手に出現させた黒い槍の穂先を私の首筋に触れるかどうかのラインで伸ばす。

 マクラさんの動きの素早さは破格であり、私たちの側ではノワルニャンすら動き終わるまで認識できていないようだった。

 いや、そもそも認識出来ないようにされていたのかもしれない。


「でも、これで分かった。マクラさん、貴方は私の側ね」

「何の事かなー」

 マクラさんは夜と睡眠の神ナトスリプ様の代行者だが、私はナトスリプ様がどのような能力を持っているのか、その詳しいところまでは知らない。

 単純にマクラさんの動きが人並外れているだけかもしれないが、そう言う特殊な能力によるものである可能性も、考慮しておいて然るべきだろう。

 なんにせよ、イナバノカグヤさんと違ってマクラさんは人間を幾らか辞めて、準神性存在と化している。

 これは確かだ。


「ま、その件についてはいいわね。なんにしても、褒賞にヤルダバオトのメダルが含まれていた件からして、相手の目的の一つにルナリド様の信仰と権威を削ぐと言うのがあるのは確かよ」

「そして結局は誰がそんな事を試みたのか分からないと言う問題に帰結するわけですね」

「そうなるわね。ま、この辺りは地道に調べるしかないわ」

 最終的な黒幕の目的は分からない。

 熱心なヤルダバオト神官がルナリド様を少しでも弱らせるために仕掛けた可能性は当然あるし、ルナリド神殿全体の元々のきな臭さを考えると権力闘争の一環でもあるように思える。

 そして、これらが全て過程でしかない可能性もだ。


「と言う訳で調査なんだけど……」

 まあ。なんにしても調べてみなければ分からない。

 と言う訳で私は椅子から立ち上がろうとする。


「エオナは何もするな」

「エオナは何もしないで」

「エオナ様は動かないでください」

「エオニャンはフリーズなのニャ」

「エオナさんは動かないでほしいかなー」

 が、何故か椅子から立とうとした瞬間に気絶しているイナバノカグヤさん以外の全員から動くなと言う声と共に、同様の意図が込められた視線が向けられる。


「お前が動くと事態が進展する代わりに碌な事にならない。だから、今はまだじっとしていろ」

「碌な事にならないって……」

「事実だろう。どうしてか最終的にはいい方向に転ぶが、その過程が綱渡り過ぎて、私たちの心臓に良くないんだ。だから、此処でじっとして、直接的な力が必要になるまで待て」

「……分かったわ」

 ルナの言葉を受けて、私は腰を下ろす。

 まあ、先程の腕を茨に変えたタイミングで、既に調査に必要な最低限の事はやり終えているから、私が無理に動く必要は無いだろう。


「タイホーさん。『満月の巡礼者』ギルマス、カミア・ルナ巡礼枢機卿として、貴方たち代行者の力を借りたい。よろしいだろうか」

「かっかっか、拙僧は構わぬぞ。どうやら今回の敵は一筋縄ではいかないようだしな」

 ルナとタイホーさんたちが今後どうするかを私を抜きにして話し始める。


「ルナ、私はメダルとスクロールの処分でもしておけばいいかしら?」

「頼む。ただ、やるなら『エオナガルド』でな。特にスクロールの方は絶対にそっちだ。何か嫌な予感がする」

「分かったわ」

 ならば、私も今出来る事をやるとしよう。

 と言う訳で、とりあえずルナリド様に問題が無いかを確認した上で、ヤルダバオトのメダルとスクロールを『エオナガルド』へと送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。