↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
4章:クレセート

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

205/284

205:式典-2

「陰と黄泉の神ルナリド様を信ずる同朋たちよ。今日は諸君にとって良き知らせがある」

 今回の式典はカミア・ルナ巡礼枢機卿率いる『満月の巡礼者』が、神敵と化したファシナティオによって支配されたフルムスを奪還した事を賞するものである。

 と言う訳で、まず初めにルナリド様への祈りが捧げられた後、壇上に居る立派な白い髭を伸ばした老人がどういう経緯でルナがフルムスを奪還したのかを説明していく。


「こうして茨と封印の神の代行者であるエオナ殿の助力によって、カミア・ルナ巡礼枢機卿は我らが主であるルナリド様との邂逅を果たし、無限に復活する悪神の徒の力を削ぐ為に必要な魔法を使うための神器を授かった」

 で、そう言う話なので当然ながら私が茨と封印の神スィルローゼ様の代行者である事も紹介されるし、フルムス内部の反抗勢力の旗印になっていたシュピーの事も紹介される。


「アレが茨と封印の神の……」

「人とは思えぬ気配を……」

「先程の行進も……」

「まるで人形のような……」

 客席の状態は……枢機卿とその護衛たちを最前列に置き、一般信徒の中でも有力なものたちがその後ろ、本当に普通の信徒たちがさらに後ろ、神殿の外にも式典の様子を知りたそうにしている一般市民が多数、と言う感じか。

 で、私に向けられる視線は……称賛や尊敬、祝福が大半で、中には恐怖、悪意、叛意、侮蔑と言ったものも混じっているか。

 そして、何人かは既に仕掛けは終わっていると言わんばかりに、謎の勝ち誇った笑みを浮かべている。

 それが表面上のものならば良いのだが、抱いている悪意と叛意の強さからして、本当に何か仕掛けてはいるのだろう。


「かくしてエオナ殿の御力によって神敵ファシナティオは封印され、フルムスは解放される運びとなったわけである。どうか皆様、この場に集った勇者に拍手と感謝と祝福を、今もフルムスを守る勇士たちにも同様のものをお願いする」

 しかし、説明の最中は暇だった。

 顔や姿勢は固定化してしまえばいいのだが、説明の終わりに対処するために最低限の意識は割いておかなければいけないので、この私は『エオナガルド』に専念することも出来ずにひたすら待つしかない。

 本当に暇だった。

 だがそれも終わりであるようだ。


「では、続けて勇者たちに今回の働きに報いるための褒賞を与えたいと思う。カミア・ルナ巡礼枢機卿」

「はい」

 褒賞の授与が始まる。

 内容としては……ルナ及び『満月の巡礼者』には純粋な金銭に今後もフルムスの統治を任せる証明のようなものなど。

 まあ、これはギルドと言う集団相手であるし、妥当なところか。


「続けて、鏡と迷宮の神の覚えめでたい少女シュピー。こちらへ」

「はい」

 シュピーに対しては金銭及び装備品と消耗品が幾つか、両手で抱えられる程度の量で来る。

 これもシュピー個人に対する賞なので分かる。

 妙な品が混じっていたりもしないようだ。

 なので、シュピーは受け取るとアイテム欄に入れて、身軽になった上で私たちの方へと帰ってくる。


「最後に茨と封印の神の代行者エオナ殿。どうかこちらへ」

「分かりました」

 さて、最後に私である。

 私は壇上の老人に近づいていく。


「こちらがエオナ殿にお渡しする褒賞となります」

「受け取……」

 壇の脇から私に対する褒賞の品が台車のような物に乗せられて運ばれてくる。

 どうやら、フルムス奪還作戦でやった行為が行為なだけに、褒賞の量も尋常ではないらしい。

 だが、それだけならば、アイテム欄があるので、問題なく受け取る事が出来る。


「る訳にはいきませんね」

「「「!?」」」

 しかし、別に問題があった。

 だから私は素早く台車の前に移動すると、台車を手で掴んで止める。


「エオナ!?」

「エオナ様!?」

「エオナ殿!?」

 当然直ぐにルナたちが非難するような声を上げ、観客の大半は動揺し、一部は非難めいた視線を向け、少数ではあるが臨戦態勢のようなものを取り始める。

 会場全体がざわめき立ち、とてもではないが式典を続行できるような空気ではなくなる。

 だがそれでも私はこの場を止めなければならなかったので、会場に持ってこられた品々へと視線を向ける。


「ルナリド様、教皇様、それに他の方々、少々失礼させていただきます。エオナ殿、私はケッハメイ枢機卿と申します。ご質問させてもらってもよろしいですか?」

 ケッハメイ枢機卿が立ち上がり、可能な限り冷静さを取り繕った表情で私に近づく。


「どうぞ。場を乱している自覚はありますので」

 たぶん、こういう場で真っ先に冷静そうな感じで動けてしまうのも、ケッハメイ枢機卿が悪人っぽく見られる原因の一端ではないかなと思いつつ、私はケッハメイ枢機卿へと視線を向ける。


「自覚はおありですか。では、訊かせていただきたい。何故、受け取る訳にはいかぬのですか?」

 私はケッハメイ枢機卿の言葉を聞くと、幾つかの品を手に取る。

 それだけで観客席から生じるどよめきの声が大きくなる。

 だがそれは自分の策がバレたからではなく、自分たちがこれからどうなるのか分からないが故のどよめきだろう。

 この場に居る大半の人が無関係である以上、早い所切り上げてしまった方が良さそうだ。


「簡単に申し上げれば、受け取ってはならない品物が混ざっているのですよ」

 だから私は分かり易く受け取ってはいけない品がどれなのかを示すことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。