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転生しても貴族医師としてここを守る  作者: マーたん


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終焉神ゼロスの名前と捨てられた少年

捨てられた少年バーデラス


終焉神ゼロス。


世界を滅ぼそうとした神。


多くの人々を恐怖させた存在。


しかし。


その始まりは、一人の少年だった。


バーデラス。


小さな村で暮らす普通の子供。


母エレナを慕い。


友達と遊び。


明日も同じ日が続くと信じていた。


けれど。


運命は少年から大切なものを次々と奪っていく。


父はいない。


王家にも見捨てられた。


そして今。


大切な友人リナまでもが死の淵に立たされている。


余命三日。


絶望的な病。


それでも少年は諦めなかった。


「助けて」


「お願いだから助けて」


その願いは、母であり天才医師でもあるエレナの心を動かす。


命を救うための禁断の手術。


誰も成功したことのない移植手術。


それは希望か。


それとも絶望への入り口なのか。


少年の運命が、大きく動き始める――。

第三十九話「終焉神ゼロスの名前と捨てられた少年」


遠い昔――。


まだ終焉神ゼロスという名が存在しなかった時代。


バーデラスは小さな村で暮らす少年だった。


母エレナは村人たちの病を治し続けていたが、王都から追放された元王女という過去のため、村人の中には彼女を快く思わない者もいた。


それでもエレナは笑顔を絶やさなかった。


「バーデラス」


「人を恨んでは駄目よ」


「苦しんでいる人がいたら助けなさい」


幼いバーデラスは頷いた。


「うん、お母さん」


◇◇◇


しかし。


運命は再び残酷だった。


村に疫病が流行したのだ。


多くの村人が倒れた。


その中には、バーデラスと仲の良かった少女もいた。


名は――リナ。


「バーデラス……」


「苦しいよ……」


高熱。


呼吸困難。


そして内臓の機能低下。


エレナは必死に治療を続けた。


だが。


診断の結果は絶望的だった。


「余命三日……」


エレナは震える。


「そんな……」


バーデラスは信じられなかった。


「助けてよ!」


「お母さんは名医なんだろ!?」


エレナは唇を噛む。


「今の医学では……」


◇◇◇


その夜。


エレナは古文書を開いていた。


禁じられた医術。


誰も成功したことのない治療法。


それは――


移植手術。


壊れた臓器を取り替えることで命を救う方法だった。


しかし。


危険すぎる。


失敗すれば患者は命を落とす。


エレナは悩み続けた。


医師として。


母として。


一人の人間として。


◇◇◇


翌朝。


バーデラスは診療所へ飛び込む。


「お母さん!」


「リナを助けて!」


「お願いだよ!」


涙を流す息子を見て、エレナは決意した。


「やりましょう」


「移植手術を」


村人たちは騒然となる。


「正気か!?」


「そんな術式聞いたこともない!」


「失敗したらどうする!」


だがエレナは静かに答えた。


「医師は命を諦めない」


「最後まで可能性を信じる」


◇◇◇


手術の日。


リナの呼吸は弱くなっていた。


余命はあと三日。


いや。


もしかすると今日にも尽きるかもしれない。


バーデラスは手を握る。


「死ぬなよ」


「絶対に」


リナは弱く笑う。


「ありがとう」


「バーデラス」


そして。


エレナは手術室へ入る。


白衣を纏った天才貴族医師。


村人たちは固唾を呑んで見守る。


アイオニアの記憶を見ていたタクトたちも息を呑んだ。


「まさか」


「こんな昔に移植手術を……」


エドガーも驚愕する。


「天才だ……」


◇◇◇


手術開始。


生きるための戦い。


救うための戦い。


そして。


少年バーデラスが初めて知る。


医師とは何か。


命とは何か。


愛とは何か。


だが。


誰もまだ知らない。


この手術の先に待つ、さらに大きな悲劇を――。


リナは助かるのか。


エレナの手術は成功するのか。


そして、少年バーデラスの運命はどこへ向かうのか。


第四十話「母の手術と絶望の宣告」へ続く――。

移植手術と少女リナ


第三十九話「終焉神ゼロスの名前と捨てられた少年」をお読みいただき、ありがとうございました。


今回の物語では、バーデラスの過去が少しずつ明らかになりました。


後に終焉神ゼロスとなる彼も、かつては誰かを助けたいと願う優しい少年でした。


そして。


その少年が救いたいと願った少女。


リナ。


彼女の命の灯火は今にも消えようとしています。


余命三日。


現代ですら困難な病。


ましてこの時代においては、治療法など存在しません。


だからこそ。


母エレナは決断しました。


誰も成功させたことのない移植手術を。


医師としての誇り。


母としての覚悟。


そして患者を救いたいという願い。


その全てを手術台に賭けるのです。


しかし。


奇跡には代償があるかもしれません。


命を救うための選択が、新たな悲劇を生むこともあります。


次回――


第四十話「母の手術と絶望の宣告」


少女は生きられるのか。


母の願いは届くのか。


そしてバーデラスが初めて知る、本当の絶望とは――。

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