星界の監察者と終わらない命の物語
第五の使徒
使徒。
それは終焉神ゼロスに選ばれし者たち。
絶望を抱き。
孤独に生き。
涙を流してきた者たち。
第一の使徒アザル。
第二の使徒セレナ。
第三の使徒リヴィエル。
第四の使徒ノア。
そして今。
誰も予想しなかった奇跡が起こる。
新王都フェルディア・ノヴァ。
レーヴェン家の穏やかな日々。
小さな笑い声に包まれたその夜。
一つの光が舞い降りた。
そこにいたのは――
白い翼を持つ赤ん坊。
終焉の気配も。
憎しみも。
悲しみも持たない。
生まれたばかりの第五の使徒。
しかし。
その小さな命は、初めてタクトを見てこう呟く。
「お父さん」
「やっと会えたね」
そして。
遥か星界。
白き鎧の少女もまた、涙を流していた。
「先生……」
「もう一度会いたかった」
運命の糸が、再び結ばれようとしている。
第三十七話「星界の監察者と終わらない命の物語」
新王都フェルディア・ノヴァ。
フェルディア総合学園は多くの子供たちで賑わっていた。
魔法学校。
冒険者学校。
医師学校。
教会堂学校。
今日も平和な時間が流れている。
◇◇◇
「レオはどこの学園に入るのかな?」
エマは弟を抱き上げながら笑う。
「お医者さん?」
フィリアは微笑む。
「お父さんみたいになるかしら?」
エドガーは腕を組む。
「いや」
「天才外科医だ」
リリアも笑った。
「優しい先生になりそうです」
レオンは剣を振る。
「冒険者学校もいいぞ!」
セレナも微笑む。
「魔法学校も楽しいわ」
大司教も咳払いする。
「教会堂学校も忘れてはいけません」
皆が真剣に言い争う。
その中心で。
「きゃっきゃ!」
当のレオはミレイアの帽子を引っ張って遊んでいた。
「痛い痛い!」
「元気ねぇ」
ミレイアは笑う。
「この子が決めるわ」
「好きなことをやればいい」
タクトも頷く。
「うん」
「誰かのためじゃなく」
「自分の夢を見つければいい」
◇◇◇
その夜。
レオが眠る部屋。
突然。
光が降り注いだ。
「うっ……」
「痛い……」
生まれたばかりのレオの隣で、小さな赤ん坊が現れる。
「え?」
フィリアが驚く。
「赤ちゃん?」
クロノスが現れた。
「まさか!」
アイオニアも目を見開く。
「第五の使徒……」
「生まれてしまいましたか」
タクトたちは驚く。
「第五の使徒?」
赤ん坊は静かに眠っている。
しかし。
その小さな背中には白い翼があった。
◇◇◇
同じ頃。
宇宙の彼方。
星界の監察者たちは世界へ近づいていた。
白い鎧の少女。
「ようやく見つけました」
「白き賢医の世界」
「今度こそ間違えません」
その瞳から一筋の涙が流れる。
「先生……」
「会いたかった」
その姿にクロノスは震えた。
「まさか」
「彼女は……」
アイオニアも静かに目を閉じる。
「運命が交差します」
◇◇◇
翌朝。
エマは赤ん坊を見て大喜びした。
「妹!」
セレナは抱きしめる。
「可愛い!」
アザルとノアも顔を見合わせる。
「使徒なのに……」
「赤ちゃん?」
ベルゼリオスは笑う。
「はっはっは!」
「友よ!」
「家族が増えたな!」
ミレイアは赤ん坊を見つめる。
「この子……」
「ゼロスの匂いがしない」
「悲しみのない使徒?」
その時。
眠っていた赤ん坊が目を開いた。
そして。
小さな声で呟く。
「……お父さん」
全員が固まる。
「え?」
赤ん坊はタクトを見つめて笑った。
「やっと会えたね」
「先生」
そして。
空の彼方から。
星界の門が開き始める。
第三十八話「第五の使徒と星界から来た少女」へ続く――。
終わらない命の物語
第三十七話「星界の監察者と終わらない命の物語」をお読みいただき、ありがとうございました。
平和になった新王都。
学び舎に集う子供たち。
未来を夢見る若者たち。
それは、タクトたちが守り続けてきた願いそのものでした。
レオはどの学園へ進むのか。
医師になるのか。
冒険者になるのか。
魔法を学ぶのか。
それとも、誰も予想しない道を歩むのか。
その答えは、まだ誰にも分かりません。
そして。
第五の使徒。
生まれたばかりの小さな命。
なぜタクトを「先生」と呼んだのか。
なぜ使徒でありながら、終焉の気配を持たないのか。
さらに。
星界の監察者たちがついに世界へ到達しようとしていました。
白き鎧の少女。
彼女は敵なのか。
それとも――。
次回。
第三十八話
「第五の使徒と星界から来た少女」
「先生……」
「今度こそ、助けてください」
前世で果たせなかった約束。
新たな家族。
そして、世界の外から訪れる少女。
若き貴族医師タクト・フォン・レーヴェンの物語は、まだ終わらない――。




