時の女神と家族になった使徒
登場人物
タクト・フォン・レーヴェン
本作の主人公。若き貴族医師。
前世は日本の医師・黒鯛拓真。
人間、魔族、エルフを問わず命を救うことを誓っている。
フィリア・フォン・レーヴェン
タクトの妻。
元フェルディア王国第一王女。
第二子となる男児「レオ」を出産した。
エマ・フォン・レーヴェン
タクトとフィリアの長女。
明るく優しい少女。
家族の笑顔を何より大切にしている。
レオ・フォン・レーヴェン
タクトとフィリアの長男。
生まれたばかりの赤子。
白き賢医レオニスの名を受け継ぐ。
時空の裂け目に飲み込まれてしまう。
リリア
孤児院で育った少女。
タクトの弟子であり家族同然の存在。
妹のような存在としてレーヴェン家を支える。
レオン・エル・フェルディア
フィリアの弟。
元第三王子。
タクトの弟子を志願した青年。
セレナに優しく接し、将来を期待されている。
セレナ
終焉神ゼロスに仕える第二の使徒。
感情を失っていたが、レーヴェン家と出会い家族の温もりを知る。
フィリアからレオンとの仲を応援されている。
エドガー・シュバリエ
「神手」と呼ばれる天才外科医。
白き賢医レオニスの弟子。
タクトの良きライバル。
アザル
第一の使徒。
かつてはレオニスの弟子だった。
絶望からゼロスの使徒となるが、タクトによって救われつつある。
ベルゼリオス
大魔王。
千年前から生きる存在。
タクトを「友」と呼び、深く信頼している。
ヴァルゼノス
魔王。
ベルゼリオスの息子。
タクトたちの協力者。
クロノス
魂を導く時の案内人。
タクトを異世界へ送り出した存在。
レオを守るため時の力を使おうとする。
アイオニア
世界最古の神。
「時の女神」。
クロノスの主とも言える存在。
失われた未来を知る女神。
アルバート・エル・フェルディア
フェルディア王国国王。
フィリアとレオンの父。
平和を願う名君。
アレス・エル・フェルディア
フェルディア王国第一王子。
フィリアの兄。
強さこそ正義と信じ、タクトたちを王都から締め出している。
ルクレシア・フォン・ヴァルディア
名門貴族の令嬢。
アレスの婚約者。
アイリス
千年前の王女。
黒月病から救われた女性。
タクトたちを見守っている。
レオニス・ヴァレンハート
「白き賢医」と呼ばれた伝説の医師。
千年前に活躍した存在。
エドガーやアザルの恩師。
終焉神ゼロス
世界を終わらせようとする神。
使徒たちを従え、神々すら滅ぼそうとしている。
⸻
主な勢力
* レーヴェン診療所
* タクト
* フィリア
* エマ
* レオ
* リリア
* レオン
* セレナ
* エドガー
* アザル
* 魔王軍・友好勢力
* ベルゼリオス
* ヴァルゼノス
* アイリス
* フェルディア王国
* アルバート国王
* アレス第一王子
* ルクレシア
* 時の神々
* クロノス
* 時の女神アイオニア
* 終焉の勢力
* 終焉神ゼロス
* 第一の使徒アザル(離反寸前)
* 第二の使徒セレナ(家族側へ傾く)
第二十八話「時の女神と家族になった使徒」
「家族……」
第二の使徒セレナは、レーヴェン家の食卓で戸惑っていた。
エマは隣で笑顔を見せる。
「セレナお姉ちゃん!」
「ご飯おいしい?」
「……うん」
「おいしい」
それは、使徒となってから初めて知る温もりだった。
◇◇◇
ある日。
フィリアはセレナとレオンを見て微笑んだ。
「お似合いね」
「え?」
「え?」
二人は同時に固まる。
「レオン、優しいし」
「セレナもいい子だし」
「夫婦になったら幸せそう」
レオンは顔を真っ赤にする。
「姉上!?」
セレナも真っ赤になった。
「ふ、夫婦!?」
エマは大喜び。
「結婚!」
「結婚!」
リリアも笑う。
「いいかもしれませんね」
タクトは苦笑する。
「気が早いよ」
しかし、レオンは真剣だった。
「僕は……」
「セレナさんが笑ってくれるなら」
「嬉しいです」
セレナの瞳から涙がこぼれた。
「こんな私でも……いいの?」
「もちろんです」
その笑顔に、フィリアは満足そうに頷いた。
「決まりね!」
「まだ決まってません!」
タクトとレオンの声が重なった。
◇◇◇
そして季節が流れる。
「あなた……」
「生まれるわ」
フィリアの出産の日。
エドガー、リリア、アザルも見守る中。
元気な産声が響いた。
「おぎゃあ!」
「男の子です!」
タクトは涙を流す。
「ありがとう……フィリア」
エマは飛び跳ねる。
「弟!」
「弟!」
セレナも涙を流す。
「家族が増えた……」
フィリアは微笑んだ。
「この子の名前は……」
「レオ」
白き賢医レオニスから受け継がれた名だった。
◇◇◇
その夜。
時の狭間。
クロノスは静かに現れた。
「レオ……」
「始まったか」
その時。
赤子の周囲を時の光が包む。
「え?」
タクトは驚く。
「クロノス!」
「何をする!」
クロノスは悲しそうな顔をした。
「許してくれ」
「この子を守るには……」
「今しかない」
フィリアは叫ぶ。
「返して!」
「私の子よ!」
しかし、赤子レオは光の中へ消えていく。
エマは泣き叫ぶ。
「弟!」
セレナも震える。
「どうして!?」
レオンは剣を抜く。
「クロノス!」
その瞬間。
世界が止まった。
そして。
時の彼方から、美しい女性の声が響く。
「クロノス」
「勝手なことをしてはいけません」
銀色の長髪。
黄金の瞳。
世界最古の神。
時の女神アイオニアが姿を現す。
「その子は奪われる運命ではありません」
「未来を変える子なのです」
クロノスは跪いた。
「女神様……」
「間に合ったか」
しかし。
赤子レオを包む光の向こうから、不気味な笑い声が響く。
「くくく……」
「見つけたぞ」
終焉神ゼロス。
「その子こそ」
「神を滅ぼす者」
「ならば、我が手で終わらせよう」
時空の裂け目が開き、レオは闇へ飲み込まれていく。
「レオ!!」
タクトの叫びが響く。
そして、時の女神アイオニアは静かに告げた。
「救いたければ、時を超えなさい」
「全ての始まりへ――」
第二十九話「時の女神アイオニアと消えた赤子」へ続く――。
次回予告
第二十八話「時の女神と家族になった使徒」をお読みいただき、ありがとうございました。
新たな命として誕生したレオ。
家族の喜びに包まれるはずだったその日。
時の狭間が開き、終焉神ゼロスの魔の手が伸びました。
そして現れた世界最古の神、時の女神アイオニア。
「救いたければ、時を超えなさい」
その言葉の意味とは――。
⸻
次回
第二十九話
「時の女神アイオニアと消えた赤子」
消えたレオを追うため、タクトたちは時の狭間へ。
そこに待つのは、誰も知らない千年前の真実。
若き日の白き賢医レオニス。
まだ大魔王になる前のベルゼリオス。
終焉神ゼロスが神ではなかった時代。
そして――
全ての始まりに立つ、一人の少女。
「やっと会えたね、タクト」
「ううん……」
「黒鯛拓真先生」
彼女は誰なのか。
なぜレオを知っているのか。
そして、消えた赤子レオの運命とは。
家族の絆。
千年を超える約束。
神々の真実。
全てが明かされる時が近づいていた。
「待っていてくれ、レオ」
「必ず迎えに行く」
若き貴族医師タクト・フォン・レーヴェンの、新たな旅が始まる――。




