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転生しても貴族医師としてここを守る  作者: マーたん


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18/48

世界樹の姫と神を喰らう黒き王

『転生しても貴族医師としてここを守る』


第十八話時点 登場人物


⸻


黒鯛(くろだい) 拓真(たくま)


異世界名:タクト・フォン・レーヴェン


* 本作の主人公

* 前世は日本の医師

* レーヴェン診療所院長

* 人間も魔族も平等に救う若き貴族医師

* フィリアの夫

* エマの父

* リリアの師匠

* 千年前の白き賢医レオニス・ヴァレンハートの魂を受け継ぐ


⸻


フィリア・フォン・レーヴェン


* 元フェルディア王国第一王女

* タクトの妻

* エマの母

* リリアを娘のように愛している

* 家族を支える優しい女性


⸻


エマ・フォン・レーヴェン


* 七歳

* タクトとフィリアの娘

* 将来の夢は貴族医師

* リリアを「リリアお姉ちゃん」と慕う

* 明るく優しい少女


⸻


リリア・ノエル


* 十二歳

* 元孤児

* タクトの一番弟子

* レーヴェン家の大切な家族

* 優しく努力家の少女


⸻


アリシア


* 十三歳

* 聖女候補

* 黒月病を乗り越えた少女

* 古代の巫女リュミナリアの器


⸻


リュミナリア


古代の巫女


* 千年前の最後の巫女

* アイリス王女の側近

* 世界の秘密を知る存在

* アリシアの身体を借りて現界している


⸻


アイリス・エル・フェルディア


忘れられた第二王女


* 千年前のフェルディア王国第二王女

* 重い肺病に苦しんでいた

* レオニス・ヴァレンハートによって救われる

* 奴隷市蘭を築いた女性

* 世界樹の中で千年間眠っていた


⸻


レオニス・ヴァレンハート


白き賢医


* 千年前の伝説の医師

* 種族を問わず命を救った

* 大魔王ベルゼリオスの親友

* アイリスの夫

* 現在のタクトへと魂が受け継がれている


⸻


魔王ヴァルゼノス


終焉の地グラ=ネヴァの支配者


* 数千年を生きる魔王

* 大魔王ベルゼリオスの息子

* ラグナの父

* 人間と魔族の共存を願う


⸻


大魔王ベルゼリオス


ドレイゴーストの王


* 魔王ヴァルゼノスの父

* ラグナの祖父

* 聖光教会の創設者

* 自ら鎖に繋がれ世界を守る

* レオニスの親友

* 優しき大魔王


⸻


ラグナ・ベルゼリオス


ドレイゴースト守護者


* ヴァルゼノスの息子

* ベルゼリオスの孫

* 三百年間ドレイゴーストを守る

* 誠実で真面目な青年


⸻


バルディウス


聖光教会大司教


* 教会病の秘密を知る人物

* 自らの過ちを悔いている

* タクトを信頼している


⸻


アリアンシア・エル=アルヴヘイム


エルフ女王


* 六大王の一人

* アイリス王女に恩を受けた

* 長命のエルフ族の女王


⸻


ネメシス


神を喰らう黒き王


* 千年前に封印された存在

* 神々を滅ぼしかけた災厄

* レオニスとベルゼリオスの友

* タクトを「我が友」と呼ぶ

* 世界の終焉に深く関わる存在


⸻


ドレイゴーストの番人


* ドレイゴーストの門を守る守護者

* ベルゼリオスに忠誠を誓う


⸻


ドレイゴースト


* 世界最悪と恐れられる国

* 大魔王ベルゼリオスが統治する

* 巨大な砂時計が存在する

* 世界の真実が眠る場所


⸻


終焉の地グラ=ネヴァ


* 魔王ヴァルゼノスが治める国

* 人間と魔族が共に暮らす場所

* レーヴェン診療所の本拠地


⸻


千年前の三人


レオニス・ヴァレンハート


「患者を諦めることはない。」


大魔王ベルゼリオス


「友よ、千年経っても待っていた。」


ネメシス


「今度こそ約束を果たそう。」


⸻


レーヴェン家


タクト


「助けられる命を、僕は諦めない。」


フィリア


「どんな過去があっても、私はあなたの妻よ。」


リリア


「先生たちが私の家族です。」


エマ


「お父さんとリリアお姉ちゃんが大好き!」

第十八話「世界樹の姫と神を喰らう黒き王」


巨大な砂時計が砕けた。


黒い空。


裂ける大地。


そして、世界樹の最深部。


千年もの間、眠り続けていた一人の女性が静かに瞳を開いた。


白銀の髪。


蒼い瞳。


優しい微笑み。


「やっと……」


「長い夢でした」


古代の巫女リュミナリアは涙を流す。


「アイリス様!」


「お目覚めになられたのですね!」


忘れられた第二王女。


アイリス・エル・フェルディア。


千年前に歴史から消された女性だった。


◇◇◇


一方。


ドレイゴースト。


大魔王ベルゼリオスの前で、タクトは激しい頭痛に襲われていた。


「うっ……!」


「先生!」


リリアが慌てて支える。


「大丈夫ですか!?」


ベルゼリオスは静かに目を閉じた。


「思い出しかけているのだ」


「魂の記憶を」


「魂の記憶?」


フィリアも不安そうにタクトを見つめる。


その時。


タクトの脳裏に、見知らぬ景色が浮かぶ。


戦火。


病に苦しむ人々。


そして、一人の医師。


白い外套。


優しい瞳。


誰よりも患者を想う男。


その男の名は――


レオニス・ヴァレンハート。


千年前に存在した伝説の医師。


「白き賢医」と呼ばれた人物。


◇◇◇


「先生……」


「私はもう駄目なのでしょうか……」


若い女性が咳き込む。


長い間続く高熱。


血の混じる咳。


誰もが近寄らなかった。


不治の肺病。


だが。


レオニスは微笑んだ。


「大丈夫です」


「まだ終わりではありません」


「私は医師です」


「患者を諦めることはありません」


その女性こそ。


若き日のアイリスだった。


王家の第二王女。


陰謀により名誉を傷つけられ、病を得て、全てを失いかけていた。


しかし。


レオニスは身分など気にしなかった。


「王女でも平民でも関係ない」


「貴女は、生きていい」


その言葉に、絶望していたアイリスは涙を流した。


◇◇◇


「そうだったのですね……」


世界樹の中。


目覚めたアイリスは微笑んだ。


「レオニス様」


「そして今は……」


「タクト・フォン・レーヴェン様」


リュミナリアが涙を流す。


「アイリス様!」


「本当に……本当に長い時間でした」


◇◇◇


「友よ」


ベルゼリオスがタクトに語る。


「レオニスは人間だった」


「だが、我ら魔族を恐れなかった」


「種族を超えて命を救い続けた」


「だから我は友となった」


ヴァルゼノスも頷く。


「父上が唯一心を許した人間」


「それが白き賢医レオニス・ヴァレンハート」


「そして、その魂が今のお前なのだ」


◇◇◇


しかし。


その時。


空間が裂けた。


巨大な黒い腕。


無数の瞳。


神々の亡骸を纏う漆黒の王。


「久しいな」


「ベルゼリオス」


「リュミナリア」


「そして……」


赤い瞳がタクトを見つめる。


「また会えたな」


「我が友よ」


魔王ヴァルゼノスが震える。


「ネメシス……!」


神を喰らう黒き王。


千年前、神々を滅ぼしかけた存在。


だが。


ネメシスの瞳には敵意ではなく、悲しみがあった。


「千年か……」


「長かったな」


「レオニス」


「今度こそ約束を果たそう」


タクトは涙を流していた。


知らないはずの名前。


知らないはずの友。


それなのに。


胸の奥が熱くなる。


「どうして……」


「君を知っている気がするんだ……?」


そして。


千年前。


白き賢医レオニス。


大魔王ベルゼリオス。


神を喰らう者ネメシス。


三人が交わした約束が、再び動き始める――。


第十九話「千年前の三人と終焉の約束」へ続く――。

肺結核――治せるのか?


第十八話をお読みいただき、ありがとうございます。


かつて、人々は肺結核を「死の病」と呼びました。


長く続く咳。


血を吐き。


高熱に苦しみ。


多くの命が失われていきました。


千年前の世界では、治療法など存在しません。


祈りも。


魔法も。


万能ではありませんでした。


それでも、一人の医師は諦めませんでした。


白き賢医レオニス・ヴァレンハート。


彼は言いました。


「治せるかどうかではない」


「患者を見捨てるかどうかだ」


「医師が先に諦めてはいけない」


その言葉に救われたのが、若き第二王女アイリスでした。


そして、時代は流れます。


現代日本で医師だった黒鯛拓真。


そして異世界で貴族医師となったタクト・フォン・レーヴェン。


二つの人生を持つ彼は知っています。


病は恐ろしい。


しかし、恐ろしいのは病そのものではありません。


「もう治らない」


「無駄だ」


「仕方がない」


そう言って誰かを見捨ててしまう心なのかもしれません。


肺結核は、本当に治せるのか。


その答えは――


「治療によって治る可能性はある」


です。


だからこそ。


千年前のレオニスも。


今を生きるタクトも。


同じ言葉を口にするのでしょう。


「まだ終わっていない」


「生きることを諦めないでください」


それは医術の力だけではありません。


誰かを救いたいと願う心。


それこそが、千年を超えて受け継がれる「貴族医師」の本当の加護なのかもしれません。


そして今日もまた。


若き貴族医師タクト・フォン・レーヴェンは、


助けを求める誰かのために、前を向いて歩き続けるのです。

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