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雑談三昧  作者: カトーSOS


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エロゲ棚が消えた日

かつて、性のコンテンツは「闇」ではなかった。

家電量販店の片隅に、堂々と、しかし慎ましく置いてあった——

エロゲ棚。

あの風景を知る人間にとって、今のAIアプリ市場の無秩序さは、

「文明の逆行」にすら見える。


本稿では、エロゲ文化が消えたことで発生した“空白”が、

いかにしてAI無法アプリを台頭させたかを、体験者視点で掘り下げていく。

かつて、性のコンテンツは「闇」ではなかった。

家電量販店の片隅に、堂々と、しかし慎ましく置かれていた——あの“エロゲ棚”。

あれを知っている世代からすると、今のAIアプリ界隈の無秩序ぶりは、もう文明の逆行にしか見えない。


昔のパソコン売り場には、妙な一体感があった。

PC本体、周辺機器、DOS/V、PC98シリーズ(私はPC88派だったが)。

その横に、普通の風景のように存在していた大人向けPCゲームの棚。

あれは隠れていなかった。

かといって大々的にアピールされてもいなかった。

学生は気まずさとワクワクの狭間で背伸びし、

会社帰りの男性は「誰にも見られたくないけど、見たい」という心を必死に抑えながら棚に向かう。

その“間”にこそ文化があった。


正規品が店頭で買えた。

年齢確認もあった。

メーカーも堂々としていた。

性のコンテンツが“地上にあり、秩序の中で管理されていた”時代だ。

今思えば、あれはとても健全な仕組みだったのだ。


しかし、その風景はあるとき突然消えた。

家電量販店から18禁PCゲームが姿を消し、

時代はスマホ中心に移り、

美少女ゲームメーカーは数を減らし、

若い世代は「そもそも正規ルートの存在」を知らない。

気づけば、18禁PCゲームをまともに買える場所は、


DMM

DLsite

Amazon(中古の残骸)


……この3つしかなくなっていた。


店頭販売が消えるというのは、

ただ商品がなくなるだけではない。

“正しい買い方を社会が教えるシステム”が消えるということだ。

導線が消えると、文化も倫理も一緒に消える。


その空白に、何が入り込むのか。

答えは、あまりにも明白だった。


AI恋愛アプリ、AIエロアプリ、画像アップロード型の怪しいサービス。

これらは若者の自然な欲求——性への興味、恋愛経験の乏しさ、少ない財布、スマホ完結への願望——を的確につかみ、

そこから倫理も著作権も一気に飛び越えていった。


有名キャラを名乗り、

ユーザーのアップした画像を飲み込み、

テンプレ的な性的誘導をかけ、

学習して「似ているが違うキャラ」を乱造し、

共有ボタンで拡散し、

運営が利益を吸う。


全部アウトなのに、誰も止められない。

店頭でエロゲ棚が健全に存在していた時代には絶対に起きなかった種類の無法だ。


エロゲ棚は、小さくても文化の箱庭だった。

合法で、責任の所在が明確で、クリエイターの権利が守られ、

ユーザーも正しいルートを踏んでいた。

そこには透明性があった。

文化としての“秩序”が確かにあった。


棚がなくなると、その秩序も消えた。

正規ルートを知らない世代は、

無法アプリへためらいなく向かう。

文化の空白は倫理の空白でもあり、

その空白には必ず“悪貨”が流れ込んでくる。


クリエイターは、かつて想像もしなかった自衛を迫られるようになった。

商標を取り、著作権を守り、証拠を残し、DMCAに対応し、

自作キャラをAIや無法アプリに吸い込まれないように監視し続ける時代。

DOS/V時代のクリエイターが聞いたら腰を抜かすだろう。


棚があったころは、そんなことを考える必要すらなかったのに。


性表現を批判する気はない。

AIアプリそのものも否定するつもりはない。

問題は“文化の空白”が放置されたことだ。


エロゲ棚があった時代、性表現は社会の“地上”にあり、

透明性と秩序の中で管理されていた。

文化は守られ、クリエイターもユーザーも正しい場所にいた。


棚が消えた。

その瞬間、静かに空白が生まれた。

そこにAIアプリが入り込んだ。

最悪の形で。



AIアプリを批判しているわけではない。

問題は、“空白”が生まれたことだ。


エロゲの棚があった時代——

性表現は隠れるものではなく、

店頭という健全な場で管理されていた。

そこには文化があり、秩序があり、作者もユーザーも守られていた。


時代が変わり、棚は消え、空白が残った。

その空白をAIアプリが埋めた。

しかも、最悪の形で。


文化は、無くなるときに音を立てない。

静かに、ある日突然、「あれ?消えてる」と気づく。

だが、その喪失のあとに何が流れ込むかは、

常に社会の鏡だ。


今、私たちはその鏡を覗き込んでいる。


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