浮気しない男は確かにいる
浮気の話は、いつも感情のほうに引っ張られがちだ。
でも、感情より前にある“理由”について、一度だけ考えてみた。
それは、美談でも言い訳でもなく、生き方の選択に近いものだと思う。
浮気しない男は本当にいる。だが、多くの人が思い描く「誠実な男」とはすこし違う。
倫理観が特別に高いわけでも、欲望がまったく無いわけでもない。むしろ理由はもっと単純で、もっと現実的だ。
面倒だからだ。
女性と話すのは楽しい。ご飯に行くのも嫌いじゃない。だが、それ以上に進めば、金も時間も気力も食われる。好きになられれば嫉妬が発生し、嘘をつけば管理が必要になる。関係が増えれば、そのぶんだけ維持コストが跳ね上がる。
友達でいれば楽に続く関係が、恋愛になると一気に複雑化する。
そして何より、奥さんや恋人とのトラブルが嫌だ。信頼関係を崩すリスクを負うほど、浮気という行為に価値を感じない。
つまり浮気しない男とは、「誠実だから浮気しない」のではなく、「現状維持が最も合理的で、幸福の総量が最大になる」と理解しているタイプだ。
欲よりも生活。刺激よりも平和。短期の楽しさより、長期の安定。
静かだが、確かにそこにいる
誠実さは才能なのか、努力なのかと問われることがある。
けれど、誰かを裏切らないという行動の背景には、
案外、複雑な感情ではなく、静かな計算があるのかもしれない。
それが冷たいと言われるなら、それでもいい。
人はそれぞれのやり方で、自分と周りを守っている。
派手さはなくても、長く続くものを選ぶ人がいる。
そういう生き方を、否定する理由はない。




