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雑談三昧  作者: カトーSOS


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102/121

フォウ・ムラサメは、アニメ初のトラウマだった

今になって思う。

私の世代にとって、

フォウ・ムラサメは「好きなキャラ」でも

「悲劇のヒロイン」でもなかった。


あれは、

アニメで初めて負ったトラウマだった。


それまでのアニメには、

どこか安全装置があった。

大事なキャラは何とかなるとか、

努力すれば報われるとか、

優しさは意味を持つとか。


少なくとも、

子どもが信じていていい約束事があった。


でもフォウは、

それを全部、無言で壊していった。


救えそうだった。

分かり合えたと思った。

手を伸ばせば届く距離にいた。


それでも、失われる。


誰かが明確に悪いわけじゃない。

判断を間違えた人間がいるわけでもない。

正しいことをしなかったわけでもない。


それなのに、結果は変わらない。


ここが一番きつかった。


フォウの死は、

罰でも因果応報でもない。

ただ、

戦争という状況の中では

起きてしまう出来事として置かれている。


だから心に残る。


あれは、

「キャラが死んだ回」じゃない。


視聴者の側が、

何かを失った回だ。


守れば救えるという幻想。

想いは届くという期待。

恋は物語になるという思い込み。


それが、

一気に壊れた。


フォウは、

癒しの存在でも、

救済の象徴でもない。


むしろ彼女は、

このまま進んだ先にある

壊れた未来を、

一瞬だけ見せてきた存在だ。


だからこそ、

恋をしてしまう。


選んだわけじゃない。

判断したわけでもない。

事故みたいに、心を持っていかれる。


セイラ・マスが

あとから分かる重さだとしたら、

フォウ・ムラサメは

その場で心をえぐってくる重さだ。


たぶん、

あれを通過した世代は、

その後どんな作品を見ても、

どこかで疑ってしまう。


本当に救われるのか。

本当に届くのか。

本当に失われないのか。


ガンダムは戦争を描いた。

でもフォウ・ムラサメは、

感情が壊れる瞬間を描いた。


あれは忘れられない。

忘れなくていい。


フォウ・ムラサメは、

アニメが子どもに与えた、

最初の本気の傷だったのだから。



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