第136話 迅速なフラグ回収(お爺ちゃん達激おこ)
『―初級登山スキルを習得しました―』
『―初級低酸素活動スキルを習得しました―』
『―初級荒地体術スキルを習得しました―』
「お、スキル覚えた」
魔物との戦闘を終えたタイミングで、スキルを習得する。
どうやら山岳地帯で活動する為のスキルっぽい。
「低酸素活動スキルは高山病対策のスキルかな?」
実際呼吸が楽になった気がする。
初級でもハッキリわかる程だし、スキルがあるとないとじゃ大違いだね。
「そろそろ中層、ボスと遭遇するタイミングだ。ここは普通のダンジョンと構造が違うからいつボスと会うか分からん。注意しろ」
「分かりました」
スレイオさんの注意を受け、私達は周囲に気を配る。
「酷いと上空から突然飛行型のボスが襲ってくる場合があります。それが一番、いえ二番目に嫌なタイプですね」
「それで二番目って、一番は何なんですか?」
「足場を破壊して崩落させてくるタイプのボスですね。初手でそれをやられると最悪全滅です」
うわぁ、嫌な予感ビンビンだよ。
迂闊な事を言うとフラグが立ちそう。
「流石にそんな最悪なパターンはそうそうないでしょう」
が、そこでエーネシウさんが神がかったフラグ回収をかます。
「おい馬鹿止めろ。そう言う事を言った時に限って禄でもないことが起こるんだ」
どうやら異世界でもフラグ回収のノリはあるみたいで、スレイオさんがうんざりした顔でエーネシウさんを窘める。
「あら、来るか来ないか分からないモノを怯えるくらいなら、それをやられる前に倒せばいいんですわ」
うーん、順調にフラグを建てていってるなぁ。
「案外ボスに会わずに最下層まで行けるかもしれませんし」
「モォォォォォォォォォォッン!!」
その時、ドゴォンという音を立てて、地面から巨大な魔物が姿を現した。
そして通路に走る亀裂。
「え?」
「うわぁ、凄い綺麗なフラグ回収」
凄いね、こんな漫画みたいなこと本当に起きるんだ。
亀裂はどんどん広がっていき、まるで地面が波打つかのように崩壊を始める。
「きゃぁぁぁぁぁっ!」
それに巻き込まれたのはエーネシウさん。
彼女の体が山の斜面に墜ちてゆく。
「エーネシウさん!!」
慌てて彼女の手を掴むも私の足場も崩壊して落下に巻き込まれてしまう。
「アユミさん!!」
「アユミちゃん!!」
「大丈夫! 飛べます!」
私は羽を広げて浮き上がる。
けれど激しい風と人一人を持ち上げていることそれ以上上がる事が出来ず、逆に少しずつ下がってゆく。
「どこか安全な場所に着地します! 後で合流しましょう!」
こうして私はお爺ちゃんお婆ちゃん達と分断されてしまったのだった。
◆スレイオ◆
崩落に巻き込まれたアユミ達が斜面から落下してゆく。
「アユミ!」
「大丈夫です! 後で合流しましょう!」
不幸中の幸いだったのはアユミが空を飛べたことだ。
だがダンジョンの激しい気流が邪魔をして戻る事が出来ないみたいだった。
「くっ、すぐに行くから待っていろ!」
「モォォォォォン!!」
急ぎアユミ達に合流しようとする俺達の前に立ちはだかるボス。
「……おい、急いでんだよ」
だがボスは俺達を逃さんと爪を開いて威嚇してくる。
「メガトンモール、地属性の地形破壊を得意とする魔物ですね。まさかこの最悪のタイミングで出て来るとは」
「関係ねぇ。さっさと倒してアユミ達を迎えに行くぞ」
「全く、アタシも耄碌したもんだよ。咄嗟に子供を守れないなんてね」
同じように己に不甲斐なさを感じていたのか、オタケが忌々しそうにメガトンモールを睨みつける。
「あら、ここはアユミちゃんの事を褒めてあげるべきじゃない? 真っ先に友達を助けに行って、自力で何とかしたんだから」
「「むっ」」
セガワの言葉に俺達は言葉に詰まる。
ううむ、そうなのか? いやそうなのか……だがなぁ。
「モォォォォォォォォォォッ!」
痛いところを突かれて柄にもなく戸惑っていたらしびれを切らしたメガトンモールが襲い掛かってくる。
「ちっ、五月蠅……」
ドォォォォォォォン!!
「モォォォッ!?」
が、ストットが放ったカウンターを受けて逆に吹っ飛ぶ。
「反省する前に今はコレの対処が先でしょう。どうやら特異個体のようです。色が違います」
「……そうだな」
「モォォォ……」
腐ってもボス、しかも特異個体だけあって思った以上に打たれ強いみたいだ。
とはいえ、しっかりダメージはあるらしくフラついている。
「時間をかけるのも勿体ねぇ。さっさとブチのめしてアユミ達と合流だ!」
「そうさね!」
「あの子達を寂しがらせちゃいけないわ」
「「「「だから、邪魔だ」」」」
「モ、モォォォォォォォン!?」
待ってろよアユミ! あとエーネシウ!




