↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/28

18.楽しいダンジョン攻略!②

 

 冒険者ギルドを出たロキとスイは、以前に書いてもらった地図を見ながら、レイラの家に向かった。


「え……まさか、この家……?」


 着いた家は、かなりの豪邸だった。

 大きな門の先には、色とりどりの花が咲いている庭が広がっており、建物は首が痛くなるほど高い。

 どうやらレイラは、かなり良い貴族の娘らしい。

 こんな良家の幼い娘をパーティに入れてダンジョンや依頼に連れ出すなんて、本当に大丈夫なのだろうかと心配になる。近いうちに、ちゃんと両親に挨拶に行こうと、ロキは思った。

 

 立派な門に付いている呼び出しベルを鳴らす。

 しばらく経つと、白いワンピース姿のレイラが現れた。


「ロキさん、スイさん、ごきげんよう。窓からお二人の姿が見えたので、慌ててまいりましたわ。本日はどうされましたか?」


「こんにちは、レイラさん。これから、Fランクのダンジョン攻略に行こうと思っているのですが、レイラさんも一緒にどうかなと思って」


「Fランクのダンジョンですか? ふふ、下位のダンジョンなんて、久しぶりですね。たまには初心に返るのもいいかもしれません。ぜひご一緒させてください」


 Fランクのダンジョンと聞いても、レイラは嫌な顔一つせず、嬉しそうに微笑みながら、そう言った。

 レイラの準備を待って、出発する。

 基本的に変身して戦うため、ロキたちのパーティに防具はいらない。そのため、武器とアイテムだけあればよく、準備に時間はかからなかった。

 ロキたちはラフな格好のまま、ダンジョンへ向かう。


 一時間ほど歩いて、目的地の洞窟に着いた。

 そこには、一人が入れるぐらいの大きさの穴がぽっかりと開いていた。入口前には『Fランク』と書かれたボロボロの看板がある。ここがFランクダンジョンであることの証明だ。


 三人は魔法少女に変身した。

 ロキを先頭に、ダンジョンの中へと入る。

 ダンジョンは空間が捻じ曲げられているため、法則を無視した広さになっている。

 特にBランク以上のダンジョンは、1階層につき1k㎡以上あるところがほとんどで、しかもそれが地下何十階にも続いていることが多い。

 しかし、ロキたちが入ったダンジョンはそこまで広くなく、100㎡ほどしかなかった。それもたった1階層しかない。

 

「見たところ、モンスターもスライムやスケルトンしかいませんわね……」


 穏やかな口調でそう言いながら、レイラはEランクのモンスターたちを切り殺していく。

 スイはというと、顔を青くして、口元を抑えていた。


「……うう、同胞たちが瞬殺されている光景は、ちょっとだけ嫌な気分になるわね」


「大丈夫? つらいなら変身を解いて、目を閉じて僕の肩に乗っててもいいけど」


「平気よ。食糧がないときは、共食いしてたぐらいなんだから」

 

「……あっそう」


 ロキは、心配して損をしたと思った。


 そんなことを話しているうちに、レイラがあっという間に敵を殲滅した。

 フロアの壁には、一つだけ扉がある。

 一応警戒して、扉をゆっくりと開くと、扉の先に小さな宝箱が設置されていた。そしてそれを守るように、一体のモンスターがいる。

 それは、Eランクモンスターのボブゴブリンだった。


「……まさか、ボブゴブリンがこのダンジョンのボス?」


 ロキは呆気にとられながら、呟いた。

 しかし、Fランクのダンジョンのボスとしては、適正なのかもしれない。


「あんなの、あたしでも倒せるわよ! えーい!」


 スイがボブゴブリンに向かって、ローキックをすると、ボブゴブリンは断末魔をあげて消滅した。


「よっしゃ、ダンジョン攻略ね!」

 

 このパーティでの、はじめてのダンジョン攻略だ。

 ダンジョン内のボスを倒すと、大きさやランクにもよるが、早くて1時間前後でダンジョンが消滅するため、それまでに宝を回収する必要し、外に出る必要がある。


 ロキは少しわくわくしながら、目の前の宝箱を開けた。

 中には、銅貨が10枚入っていた。

 それだけだ。

 高価な金貨や宝石、珍しい武器などは見当たらない。


「しょ、しょぼすぎる……」


「Fランクのダンジョンなら、こんなものでしょう。しかしわたくしたちなら、Bランク以上でもよいかもしれませんね」


「そ、そうですね……。SSランクのレイラさんを、こんなところに付き合わせてしまって、すみませんでした……」


「あら、気を使わなくて大丈夫ですわ。同じパーティなのですから、のんびりと冒険を楽しみましょう」


 レイラはおっとりとした口調でそう言った。

 恐らくこの世界で類を見ない最強アタッカーだというのに、とても謙虚だ。

 しかしさすがに申し訳ないので、次はBランク以上のダンジョンに行こうと、ロキは思った。


 10枚の銅貨をカバンに入れて、ダンジョンを脱出する。

 すぐにダンジョンの入口が消滅した。

 時間の経過にかかわらず、(ボス)が倒され、攻略者が外に出るとダンジョンは消滅するしくみなのだ。


「ルーラたちは大丈夫かな……」


 思い出して、つぶやいた。

 ロキはルーラほど、元仲間に対して非情になれない。

 冒険者なら、死と隣り合わせることは珍しいことではないが、生きて帰ってきてほしいとは思っていた。


「ルーラさんが、どうかされたのですか?」


「実はギルドからの依頼で、ここからすぐ近くのダンジョンを攻略しに行っているんです。たった数日でCランクになったダンジョンらしいので、大丈夫なのかなって……」


「それは一筋縄では行きませんわね……。少なくとも2ランクは上のダンジョンだと思って、間違いないでしょう」


 レイラは神妙にそう言った。

 経験豊富なレイラは、ルーラたちが行ったダンジョンの恐ろしさが分かるようだ。


「やばそうなダンジョンですよね。生還率も3%を切っているようなんです」


「ふふ、ロキさんは、ルーラさんたちが心配なのですね」


「えっ! その……まぁ、はい。良い思い出なんて全くないんですけど、さすがに元パーティメンバーですし……」


 気恥ずかしくて、誤魔化すようにそう言った。

 レイラは、口元をくすりと緩ませた。


「では、ここから近いみたいですし、様子を見にいきましょうか」


「え!? いいんですか?」


「えー行くのー!?」


 驚いたようなロキの声と、心底嫌そうなスイの声が重なった。

 レイラはまた、くすりと笑った。


「ロキさんったら、そのためにこのFランクダンジョンに来たんでしょう? まぁ、あのルーラさんのパーティなら、まず大丈夫だと思いますよ。野暮なことはしたくありませんし、少し覗きにいくだけにしましょう」


「そ、そうですね……ありがとうございます」


 何もかもお見通しのレイラに、ロキの声が小さくなる。


「もー仕方ないわね! ロキ、ちゃんとあたしを守りなさいよ!」


 しぶしぶスイも了承し、ロキはうなずいた。

 そうして三人は、すぐ近くにある、ルーラたちが攻略中のCランクのダンジョンへと向かった。



よければ下部より、評価・ブックマークをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。