第6話:【お喋りな双弾と、死の鬼ごっこ】
「運営の番犬」ゼクスを退けた仁たちだったが、一息つく暇もなかった。
『――警告。運営直属・特殊殲滅部隊「パッチ・バスターズ」が接近中。』
「休ませる気ないわね。あいつら、自分たちのミスを認めずに、力ずくで消し去るのが大好きなのよ」
イヴが不機嫌そうに大太刀を構え直す。周囲の空気が重く澱み始め、空間にノイズが走る。
現れたのは、真っ白な防護服のような装備に身を包んだ集団。彼らが掲げる黒いシールドは、あらゆるスキルを無効化する「パッチ(修正)」の権能を帯びていた。
「囲まれた……! ライカ、いけるか!?」
『ダメ! さっきのフルバーストでチャージ中なの! あたし、繊細なんだからね!』
背中のライカがジタバタと騒ぐ。大火力は使えない。大太刀一本では数が多すぎる。
絶体絶命の瞬間、仁の腰のホルスターが、勝手にガタガタと激しく震えだした。
新キャラ登場:双子の拳銃精霊「ピピ」
「ちょっとちょっとー! 主人公くん! 出番忘れてなーい!?」
「待ってたよー! 撃ちたくて火薬がムズムズしてたんだから!」
ホルスターから飛び出したのは、ピンクとブルーのツインテールを振り乱した、手のひらサイズの双子の妖精だった。
二人は仁の両手に一丁ずつハンドガンを「強制装備」させると、けたたましく笑い出す。
「ボクは『ピー』! 速射担当!」
「私は『プー』! 跳弾担当!」
「「二人合わせて、多機能ハンドガン『ピピ』だよ! さあ、パーティーの始まりだぁ!」」
跳弾の嵐
「撃て、仁! 指の力は抜いて、ボクたちに任せて!」
仁が反射的に引き金を引くと、通常のハンドガンではありえない連射速度で光弾が放たれた。
――ピピピピピピピピッ!!
「無駄だ! 我々のシールドはあらゆる攻撃を――」
パッチ・バスターズがシールドを構える。しかし、放たれた弾丸はシールドに当たった瞬間、物理法則を無視した角度で跳ね返り、敵の背後や足元の隙間へと吸い込まれていった。
「あだだだっ!? どこから撃ってるんだ!?」
「ひゃっほー! 当たった当たった! 運営の堅物さんたち、お尻がガラ空きだよー!」
ピピたちの能力は、弾丸を意志のままに「反射・誘導」させること。
一発一発の威力は小さくても、何百という弾丸が閉鎖空間で反射し続ける様子は、さながら**「光の檻」**だった。
「すごい……一丁の時とは比べ物にならない!」
「当たり前でしょ! 仁の『全部持ち』は、私たちが連結することで真価を発揮するんだから。――ほら、イヴ姉様、トドメは任せた!」
ピピが作り出した弾幕の隙間を縫って、イヴが音もなく踏み込む。
「ええ。よくやったわ、おチビさんたち」
紅い閃光。
弾幕に翻弄されていた殲滅部隊のリーダーが、その胸のコアを一突きにされ、データとなって霧散した。
束の間の平穏と「家族」
「ふぅ……なんとかなった……」
仁が座り込むと、ピピの二人が仁の肩に飛び乗ってきた。
「ねえねえ、今のボクたちの活躍、何点!?」
「100点!? それとも100万点!?」
『ちょっと! あんたたち、仁にベタベタしすぎよ! 先輩はあたしなんだからね!』
背中でライカが嫉妬の電光を散らし、イヴはやれやれと首を振る。
賑やか……というよりは、あまりにも騒がしい「武器娘」たちのパーティー。
だが、仁は気づいていなかった。
パッチ・バスターズのリーダーを倒したことで、彼のスマホにはさらなる**「エラー報酬」**が流れ込んでいたことに。
【緊急ログ:殲滅部隊のコードを吸収。】
【隠しモード:『強制アップデート』が解放されました。】
「……強制アップデート? 俺が、この世界を書き換えるってことか……?」
仁の持つ『全部持ち』の力は、ついに「ゲームのルール」そのものに干渉し始めていた。




