第3話:【共生契約と、最初の街】
バグが生んだ「最強の武器庫(仁)」と、運営に捨てられた「最強の剣士」。
この二人が揃ったことで、物語は加速していきます。
イヴが大太刀を振ると、その軌跡に沿って赤い火花が散り、仁を苦しめていたオーバーヒートが一気に収まった。
「……信じられない。あんなに重かった武器が、彼女の手にあるだけで大人しくなってる」
「言ったでしょ、私なら使いこなせるって。今のあなたは、蛇口の壊れたダムみたいなもの。私がその『出力』を調整してあげないと、遠からず爆発して死ぬわよ」
イヴは不敵に笑い、路地裏の壁を大太刀の石突きで叩いた。すると、何もない空間にデジタルな歪みが生じ、地下へと続く階段が現れる。
「ここは運営の監視から外れた『裏ルート』。とりあえず、装備を整理できる安全地帯へ行くわよ」
拠点:ジャンク・エデン
案内された先は、廃ビルの地下に広がるサイバーパンクな闇市のような場所だった。
そこには、仁と同じようにアプリに巻き込まれたものの、戦うことを放棄したプレイヤーたちが、拾ったジャンクパーツを売って細々と暮らしている。
「あ、あいつ……」
「嘘だろ、あの装備の量。さっき噂になってた『レアエネミー』じゃないか!?」
住民たちの怯えた視線が仁に刺さる。
イヴは気に留める様子もなく、ボロボロのカウンターを叩いた。
「おい、マスター。この『新入り』の武器を全部鑑定しなさい。……それと、この子に一番安っい栄養食を」
出てきたのは、電子基板のような装飾がついた老店主だ。
彼は仁のスマホを一目見るなり、泡を吹いてひっくり返りそうになった。
「ば、馬鹿な……初期配布の全リストが『装着済み』になっている!? これがシステムにバレたら、修正対象だぞ!」
全武装の「隠された仕様」
鑑定の結果、仁の「全部持ち」にはさらに恐ろしい性質があることが判明する。
武装連結: 個別の武器としてではなく、すべての武器が一つの「巨大なシステム」としてリンクしている。
経験値の吸い上げ: 仁が武器を使えば使うほど、周辺のデータの残滓(敵の死体など)を自動で回収し、勝手にアップグレードを続ける。
人格の共有: 一部の高性能武器には、イヴのような「意思の断片」が宿り始めており、仁が強く願うと武器そのものが語りかけてくるようになる。
「……つまり俺は、望むと望まざるとにかかわらず、最強に近づき続けるってことか?」
「そういうこと。だから、運営はあなたを消したがる。バグは『修正』されるのがゲームの常識だから」
イヴは仁の胸ぐらを掴み、至近距離でその瞳を覗き込んだ。
「でも、私はその『常識』が嫌いなの。……仁、私と一緒にこの世界の最上階へ行きなさい。そこで待っている運営の連中に、特大のバグを食らわせてやるのよ」
次なるミッション
その時、仁のスマホが震えた。運営からの強制通知。
【エリア・ボス降臨:鋼鉄の処刑人】
目標:異常個体(仁)のデリート。
注意:この戦闘は全プレイヤーにライブ配信されます。
「……ライブ配信!? 見世物にするつもりかよ!」
「いいじゃない。最高のデビュー戦よ」
イヴが仁から借りた大太刀を構え直す。
一方、仁の腕の魔銃も、主の怒りに呼応するように禍々しい輝きを増していく。
「……やってやる。全部持ってるなら、全部使って勝つだけだ!」




