表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/11

第2話:【全プレイヤーが敵(ターゲット)】


「……逃走、または、殲滅……?」

スマホの画面に表示された不吉な文字を、仁は二度見した。

だが、事態は彼の理解を待ってはくれない。

ガシャン! と背後の瓦礫が弾け、ビルの影から三人の人影が飛び出してきた。

「おい、見ろよ……あのアホみたいな装備量!」

「マジかよ、初期エリアにレアエネミー出現なんて都市伝説じゃなかったのか!」

現れたのは、仁と同じくこの世界に飛ばされた「プレイヤー」たちだ。

彼らは質素な革鎧や、小さな片手剣を手にしている。対する仁は、全身を重厚なタクティカル・アーマーで固め、背中には巨大な砲身と大太刀。その姿は、確かにRPGのボーナスボスにしか見えない。

「待ってくれ! 俺もプレイヤーだ! 敵じゃない!」

仁は慌てて両手を挙げようとした。しかし――。

『――敵対個体の接近を検知。迎撃シーケンスを開始します。』

「えっ、ちょ、勝手に!?」

仁の意志を無視して、左肩のマウントから小型の誘導ミサイルポッドが展開される。

「ちょ、止まれ! 止まってくれ!」

自動迎撃の嵐

シュ、シュシュシュッ!

白煙を引いて放たれたマイクロミサイルが、プレイヤーたちの足元で正確に爆発した。

「うわああああっ!?」

「なんだこの火力! ふざけんな、勝てるかよ!」

煙に巻かれた男たちは、命からがら路地裏へと逃げ込んでいく。殺すつもりはなかった。だが、システムは「最も効率的な排除」を選択しただけなのだ。

「はぁ……はぁ……。勝手に動くなよ……死ぬかと思った……」

『警告。全武装の自律駆動により、エネルギー(EN)が枯渇寸前です。』

スマホのバッテリー残量が、凄まじい勢いで「2%」まで減少している。

全部持ち(フル・アーセナル)の代償。それは、本来一人分ではないエネルギー消費量だった。

「まずい、このままじゃ……」

暗闇からの接触者

仁が膝をつきそうになったその時。

背後の暗闇から、カツン、カツンと乾いた靴音が響いた。

「なるほどね。バグの正体は、欲張りな初心者さんだったわけだ。」

「……誰だ!?」

振り向くと、そこには漆黒のコートを纏った一人の少女が立っていた。

彼女の手には、武器らしきものは見当たらない。ただ、その瞳だけがスマホの画面と同じ――深い「紅」に輝いている。

「その装備、そのままじゃ1分以内にあんたの魂ごと吸い尽くして『ガス欠』になるわよ。……助けてあげようか?」

「……条件は?」

少女は不敵に微笑み、仁のスマホを指差した。

「あなたの『全武装』の一つを、私に貸しなさい。そうすれば、このエリアの安全地帯セーフエリアまで案内してあげる。」

仁は迷った。だが、スマホの画面は無情にも残り**「1%」**を刻んでいる。

全ての武器が解除されれば、今逃げたプレイヤーたちが戻ってきて、なぶり殺しにされるのは目に見えていた。

「……わかった。貸せばいいんだな!」

仁が画面をスワイプした瞬間、背中の大太刀が粒子となって消え、少女の手に実体化した。

それと同時に、仁の身体を縛り付けていた異常な熱気がスッと引いていく。

「契約成立。……ようこそ、地獄の『バトルワールド』へ。レアエネミーの王様。」

少女は巨大な太刀を軽々と肩に担ぎ、赤黒い空を仰いだ。

その視線の先――廃墟の街のシンボルである東京タワーは、禍々しい巨樹へと姿を変えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ