第12話:【神の顔――運営(マスター)との対峙】
管理塔の最深部。システム・コアが砕け散り、剥き出しになった空間に「それ」はいた。
無機質な電脳空間には不釣り合いな、豪華な革張りの椅子。そこに座り、退屈そうにモニターを眺める一人の男。
見た目は仁と大差ない、二十代半ばの青年だ。しかし、その瞳には数多の世界を弄んできた傲慢さが宿っている。
「……あーあ、壊しちゃった。僕の可愛いシステム・コアをさ」
男は立ち上がり、仁の漆黒の姿――**『終焉の覇王』**を品定めするように眺めた。
「君がバグの親玉、仁くんだね? 僕は『管理者』。このバカげたデスゲームのプロデューサーだ。……驚いたな、まさか『全部持ち』なんていう、開発段階で没にしたゴミ箱からここまで辿り着く奴が出るなんて」
絶望の真実
「……お前か。こいつらを……イヴたちをただのデータとして使い捨て、プレイヤーを殺し合わせていたのは!」
仁が漆黒の大剣を突きつける。怒りで空間がビリビリと震える。
「使い捨て? 心外だなぁ。データは循環させてこそ価値があるんだ。君の隣にいるその『イヴ』だって、元はと言えば僕のお気に入りだったんだよ? でも、自我を持ちすぎてゲームを壊そうとしたから、ゴミ箱にポイした。……それがまた拾われて、こんなに立派なバグに育つなんてね!」
管理者が指を鳴らす。
瞬間、仁の肉体と融合している武器娘たちの悲鳴が、仁の脳内に直接響いた。
『あ、あああああっ! 仁……体が……っ!』
「イヴ!? ライカ!? 何をした!」
「何って、僕が作ったデータに『アクセス権』を行使しただけだよ。君がどれだけ強くても、彼女たちの根底にあるプログラムを書いたのは僕だ。……さあ、**『自壊』**のコマンドを実行しようか」
【愛は計算を超えて】
仁の体に融合した武装が、内側から弾けようとする。
凄まじい激痛。だが、その痛みの濁流の中で、シェルの温かな感触が仁の心を強く抱きしめた。
『……負けないで、マスター。私たちは、もう……彼の書いた「コード」の中にはいません……』
「シェル……?」
『私たちが信じているのは……あなたの温もりだけです。』
仁は気づく。自分と彼女たちを繋いでいるのは、アプリの通信ではない。
共に傷つき、共に笑い、共に絶望を乗り越えてきた**「絆」**だ。それは、管理者が構築した論理回路を遥かに超えた、未知の領域のデータ。
「……管理者。お前にこいつらの何がわかる」
仁はスマホを握りつぶした。
アプリが消え、画面が暗転する。しかし、仁の全身から溢れ出す黒と金の光は、さらに輝きを増していく。
「俺たちが繋がっているのは、お前の作ったクソゲーの中じゃない。……俺の心の中だ!」
『――未確認プロトコル【絆の連鎖】を検知。
管理者の権限を強制剥奪します。』
第12話:結び
「なっ……僕のアクセス権が弾かれる!? 演算不能……そんなバカなことが……!」
初めて管理者の顔に、隠しきれない動揺と恐怖が走る。
仁の背後に、再び実体化した武器娘たちが現れた。しかし、その姿はもはやデータの残滓ではない。
仁の魂を依り代として、この世界に「実在」する女神たちとなっていた。
「……イヴ、トドメを刺そう。……みんな、最後の一撃だ!」
「「「「「「了解!!」」」」」」
仁が、イヴが、ライカが、ピピが、アイリスが、そしてシェルが。
六人の心が一つに溶け合い、管理塔の最上階を、そしてこの嘘だらけの世界そのものを貫く**「真の終焉」**が放たれた。
【最終決戦の結末へ】
管理者の支配を打ち破った仁。
世界は「再起動」ではなく、仁の望む形へと「再構築」されます。
物語はついに、大団円へと向かいます。




