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第十八環 娯楽用魔力温泉

脱衣所に着くと、ハカリはすでに上半身の服を脱いでいた。

髪の紐をほどきながら、ハカリは俺に声をかけてきた。


「ジンも終わったんだね。どうだった?」

「今のところ問題なしだな・・・ハカリは?」

「僕も、もう少し寝てくださいって言われたくらいだったよー」


にっこり笑いながらハカリが言う。

ハカリのサラリと揺れる青い髪が目に入った。


「温泉入るなら、髪が浸からないようにしろよ?」

「大丈夫!いつもこうやって手で浸からないようにしてるから!」


ハカリはそう言いながら、髪を手でまとめ、頭の上に持っていった。


「・・・いつもそうやってるのか?腕疲れないか?」

「うん!温泉とかそんなに長く浸からないからこれで入ってるよー」


俺はそんなハカリに若干引きつつ、まあいいかと服を脱ごうとした。


「あ!ジンさん!さっきぶりですね!」


その声に振り向くと、バースさんがいた。

会うかもしれないと言っていたが、こんなに早く会うとは思わなかった。


「あれ?えーっとハカリさん・・・ですよね?」

「その髪・・・まさかそのまま入るんですか?」


バースさんは髪を雑に持ち上げ、頷いているハカリに、ちょっと驚いているようだった。


「あ!じゃあ俺が、ハカリさんが楽になるように、お団子にしますよ!」

「ちょっと失礼しますねー!」


バースさんはポケットから黒い髪ゴムを取り出すと、慣れた手つきでハカリの髪をくるくるとまとめていった。


「はい!完成です!」

「おぉ!楽だねぇ。これがお団子ってやつなんだ」

「邪魔にならなくて結構いいかも!」


ハカリが嬉しそうにお団子部分を優しく触りながら言った。


「髪は出る前にあらうといいですよ!」

「あとその髪ゴムはそのまま使っちゃってくださいね!」

「ありがとう!助かったよ」


そう言ってハカリは残りの服を脱ぎ、ちょっと嬉しそうな足取りで大浴場に行った。


「へへ!じゃあ俺行きますね!ごゆっくり!」


そう言ってバースさんも脱衣所の奥の方へ消えて行った。


「俺も行くか」


俺はそう呟いて、服を脱ぎ、大浴場へ向かった。

かけ湯をして、洗い場へ向かうと、ハカリを見つけた。


「ジンー、ここのボディーソープいい匂いだよー」

「・・・そりゃよかったな」


俺もさっさと洗って風呂を楽しもう。

そう思ってボディーソープを手に取り、ガシガシと身体を洗った。

先にハカリが湯に向かう。

続けて丁度洗い終わった俺も、ハカリの後ろをなんとなくついて行った。


「よいしょっと・・・あ゛――――――――」

「ハカリ、おっさんかよ・・・あ゛――――――」


2人しておっさんのような声が出た。

いやしょうがない、俺たちはどちらかというと実年齢はおっさんだ。


「僕たち実年齢はおっさんだからいいんだよー」


ハカリも同じこと思ったのか。


「それもそうだなー」


のんびりと湯に浸かる。

さすが魔力温泉、娯楽用とは言え、何という気持ちのよさ。

俺はどっぷりと浴槽の縁に背中と腕を預け、目を閉じる。

日頃の疲れが湯に溶けだしているようだ。

実際、魔力の淀みを取っているのだから、疲れを取ってくれているようなものか。


時たま聞こえてくる先輩たちのおっさん声を聞きながら、俺はハカリに話しかける。


「あれから、魔力野菜について何かわかったか?」

「んー、今は・・・まだなんとも言えないかな、もう少し時間かかりそうだよー」

「そうか、悪いな」

「いいよー」


そんな風にちょっと緩く話しながら、俺たちは温泉をしっかりと楽しんだ。


「はーー!気持ちよかった!」

「ハカリ髪乾かせよ」

「えぇ、このままでいいよー」

「風邪引くぞ、貸せ!」


俺はハカリの髪をガシガシとタオルで拭き、ドライヤーで乾かした。

ハカリは髪長いのに、こういうとこは無頓着だよな。


ハカリの髪が乾くころには、俺の髪は自然乾燥されていた。


「よし、いいぞ」

「ありがとー、あ!ちょっと、さっきのお団子練習してみよ・・・っと」


そう言いながらハカリはお団子に挑戦する・・・が、どうもバースさんのようにきっちりしたお団子はできないようだ。


「・・・今日は!諦める!」


何度か挑戦したが、ハカリは潔く諦めたようだ。

いつものように無造作に後ろで結んだ。

それを見て、こういうの苦手なんだな、と俺は少し笑ってしまった。


そんなこんなで、俺たちミレル環の魔力健康診断は終わったのだった。


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