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第十二環 失敗?

あれから数日後、俺は魔力色野菜から種を取ることに成功した。

種の魔力を計測すると、緑魔力量が通常と違い少し多くなっていた。

「よし、じゃあここに植えるか・・・」

今回は区画を3つに分ける。

1つは今まで通り、赤の季節の種を普通の水で育てる。

1つは緑魔力野菜からとれた種を、緑魔力の水で育てる。

最後に緑魔力野菜からとれた種を、普通の水で育てる。

「これで・・・どうなるかな・・・」

今の季節だと普通の水には、赤魔力が含まれるはずだ。

予想では最後の区画は、緑と赤が入り混じるようになるのか、それとも別の色になるのか・・・。

「楽しみだな・・・うまく育ってくれよ」

俺は土をそっとなでながら、次の収穫の時期が来るのを待った。

…

そしてまた数週間が経ち、赤の季節も終わりを迎えようとしていたある日、緑魔力野菜の収穫の時が来た。

俺は目の前の実験結果を見て愕然とする。

「色が・・・普通と変わらない・・・?」

緑魔力野菜を普通の水で育てたものは、なんと通常と変わらない見た目で実っていた。

「・・・!計測してみよう!」

急いで収穫し、計測してみる。

・・・どうやら緑魔力と赤魔力の含有量がほぼ同じになっているようだった。

「含まれる量のバランスが重要なのか?」

「じゃあこっちは・・・」

緑魔力野菜を、緑魔力の水で育てた方を見る。

・・・こっちは以前より緑の部分が多くなっているようだ。

「・・・前回のデータと比べるか」

「いや、まずはハカリと情報共有しよう」

「・・・直接行くか」

自分を落ち着かせるように言い、俺は野菜を籠に分けて入れ、ハカリのところへ急いだ。

…

ミレル環に着くと、裏口の前にハカリがいた。

どうやら俺の到着を待ってくれていたようだ。

「ジン!待ってたよ!」

「ハカリ!データ見たか?!」

話しながらハカリのデスクへ向かう。

そして、持ってきた野菜をハカリに見せる。

「これは・・・?普通の野菜だね?」

「普通だけど普通じゃないんだ!送ったデータ見てくれ!」

ハカリにデータを見るよう促し、俺もそれを覗き込む。

カタカタと操作をし、ハカリがデータを出した。

「この野菜のデータがこれだ!」

「・・・なるほど、たしかにこれ、見た目は普通に見えるけど、普通じゃないね」

「前と比べて、緑魔力も赤魔力も増えてるよな!?」

「うん、増えてるね。でも魔力色に変色しなかったんだね」

「あーーーなんでだぁ?」

ガシガシと頭を掻いて考えるが、答えは今の俺の頭では見つからない。

・・・これはミレル環の方で詳しく調べてもらうしかないようだ。

俺には、設備も何もかも足りない。

「そうだ、こっちも見てくれるか?」

「どれどれ・・・ああ、こっちは思った通りになったね」

「ああ、緑のとこ増えてるよな」

前回より先端の緑が広がったトマトを見せた。

これは予想通りの結果になったと思う。

「おそらく、単純に緑魔力の増加でこうなったんだろうね」

「だよなぁ」

「だからこそ、こっちの見た目が普通になっちゃったのが、どういうことかわからなくなるけどね」

・・・謎がまた深まってしまった。

でも今は考えても答えは出ない、それよりも次に進みたい。

緑魔力野菜たちをハカリに託し、研究結果が出たら教えてほしいと伝え、俺はミレル環を出た。

そして残った赤の季節の野菜をオロシ姉さんに買い取ってもらおうと、イチバ環へ向かった。

…

イチバ環へ着くと、オロシ姉さんが以前見かけたお客さんと話をしていた。

「・・・じゃあそこにイナバさんも入るのか?」

「そうですね、私(わたくし)はすぐに、というわけではありませんが」

「そこの―――――」

・・・何やら話し込んでいるようだ。

もしかしてツクレル環の横の新しい施設の話か?

あまりジロジロ見ないようにしつつ、そんなことを考えていた。

ふと見るとお客さんは帰ったようだ。

「ジン!待たせて悪かったね!」

「オロシ姉さん、さっきの人は?」

「あぁ、なんでもツクレル環の隣にゲンキ環ができるらしくてね!」

「あのイナバさんって人が、そこで薬を作ってくれるみたいだよ!」

ゲンキ環とは、治療施設と魔力温泉施設が合体したような・・・まあ軽い怪我などの人が利用できる病院のようなものだ。

俺は野菜をオロシ姉さんに渡しながら考えたことを口にする。

「ゲンキ環ができたら、俺もそこで健康診断を受けることになるのか」

「ああ、この辺りの人は、みーんなそこで受けるようになるだろうね」

「魔力温泉はアタシも次は3年後に入るよう言われてるし、この街にできると助かるねぇ!」

魔力温泉は、魔力が発見されるきっかけであり、今や人類になくてはならないものになっている。

理由としては、魔力温泉に入ることで、身体がほぼ全盛期の状態を保つことができるからだ。

魔力は血液のように、俺たちにある『うつ環』から身体に駆け巡っている。

しかしそれは、年齢と共に淀み、体内の自浄作用ではきれいにならず、身体の中に滞留してしまう。

これが、身体の老化を引き起こしている原因らしい。

この淀みは、魔力温泉に入ることで、温泉から地球の『うつ環』への魔力循環により浄化・排出され、身体が若返る・・・ざっくり説明するとこうだと、以前聞いたことがある。

「俺も8年前に1回入っただけだな」

「その間怪我もしなかったってことだ!良いことじゃないか!」

そう、少々の怪我なら魔力温泉に浸かるだけで治る。

病気は・・・治すには難しいらしい。

俺も専門外だから詳しくはわからない。

学生時代に医療魔力科学部のヤツに聞いたことがあるくらいだ。

「まあ楽しみだね!はいよ!今日の分!」

「ああ、ありがとうオロシ姉さん」

「そうだ!ゲンキ環ができたら、一緒にひとっ風呂浴びるかい?」

「それは遠慮しとく・・・というか風呂場別だろう」

「アッハッハ!それもそうだ!じゃあありがとね!またよろしく頼むよ!」

オロシ姉さんの元気な声に見送られつつ、俺は小屋へ戻った。


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