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反神のロード  作者: カクモラ


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第8話 開花

 向かってくる「オルグハーク」に意識を向ける俺は人差し指に力を込める。今まで感じれなかった魔力を感じる。これを…火に変換する!


 「ギョエッ!?」


 向かってきた「オルグハーク」はアンバランスな体格ゆえに飛びかかるようにこちらへ転んできた。


 「くっ!」


 突然の転びにより避けてしまい集中力が切れ魔力が解れる。


 「くそっ!」


 枯渇しかけている魔力を更に無駄にしてしまった!


 「オルグハーク」も生物としての直感で理解している。目の前にいる人間がとんでもない程の集中力を見せ、自分を殺ろうとしている事に。


 迷う…。どうすればいいのか、魔力を集中させようにもその隙を「オルグハーク」は見逃してくれない。なんなら先程までより素早く襲ってきている。


 だが…答えはもう出ている。逃げながら魔力を集中させるしか無いことに。だが動かずにやるよりも難しい。


 (失敗したら…魔力を無駄にするだけだ…そうなれば…死ぬ)


 ふと自身の思考に矛盾が生じる。


 死ぬ?今頃になって恐怖を感じて死ぬのを恐れているのか…俺は?死ぬという経験はもう6度もしてきた。それでもまだ俺は…、いや違うな…。

 恐れているのはこの自由がなくなること。運命という流れから抜け出せたこの今を失いたくないからだ。

 だったら迷うことはないはずだ。失いたくないならやれ!


 「ギョエ!」


 逃げる、距離が離れたら風の刃がとんできて、避ける、避ける、避けて、指先に集中する。静止しているときよりも長くキツく大変だけど…あがる、気持ちが昂ぶってくる。


 人差し指を「オルグハーク」に向ける。


 「でろ…火よ!」


 でない…


 「でろ…」


 でない…


 「出ろよーーー!!」


 「オルグハーク」が近付いた瞬間に俺の指先から放たれる火、その魔力に身体が硬直し身構える。

 火の魔力は「オルグハーク」の眼前に放たれて視界を失う。火は直ぐには消えず食らった場所の毛を燃やし続けているので視界が戻るには少しは時間がかかるだろう。


 「で…でた!出たぞー!!」


 アイツを倒せる程では全くないが、動きを止め更には混乱させることができたので余裕が生まれた。


 喜びを感じながら俺は入り口へ走る。フラフラと走りながら入り口があともう少しの所に迫る。


 「ギョロエレラレレレエエエ!!!」


 怒りが最高潮に達して今までにないほどの鳴き声が後ろから響いてきた。後ろを見ると眼がまだ燃えていながら焦げた眼球でこちらをにらみ突っ込んできた。


 「嘘だろ!?……けど」


 このまま行けば逃げ切れる、俺の方が早くたどり着き門を出れば奴は俺を襲えない。それが奴らダンジョンのモンスターの性だ。


 一歩…一歩…また一歩と絶え間なく足を回転させ俺は門の入り口へ飛んだ。

 奴の攻撃はもう届かない、そう確信したのは俺が目を開けたらそこが入り口の外だったからだ。

 

 「や…やったうおっ!?」


 安心した瞬間に人間が通れるサイズの門に無理矢理身体をめり込ませて通ろうとしている「オルグハーク」に思わず声がでてしまう。


 「なんでだよ!なんでこっちに来れるんだよ!?」


 あり得なかった。ダンジョンのモンスターがその階から出ることなど考えられない。けれどコイツは今、門をくぐり抜けようとしている。


 デカすぎる巨体が小さい門にめり込んで更に醜くなっていく。


 「ギョロエレラレロレラ……」


 醜い見た目に醜い鳴き声…それが俺の命を喰らいに来る。


 「…来るな…来るなー!!」


 再び人差し指を出し魔力を出そうとするが…


 (で…でない!)


 振り絞れ!もっとイメージしろ!俺の…奥底にある魔力を…残りカスの魔力を…放出しろ!


 

 偶然だった…。残りカス同然の魔力はデザイアの意思に応えるように放出される。噴火する山のように、奥に眠る魔力は爆発的な放出力を持ち指先から放出された。

 爆発的な放出力を持った魔力はデザイアが初めて放った火の魔力とは違い、魔力の粒子自体がが赤くきらめき、火とは似つかぬそれ以上の力を持っていた。


 その火の粒子の一閃は圧倒的な貫通力で巨体の眉間を撃ち抜いた。


 「お…終わったのか?」


 俺は自身が使った力よりこの戦いが終わったことに安堵した。


 「勝てた…奇跡的だけど、何とか…」


 疲れがドッと押し寄せてくる。目の前に撃ち抜かれた「オルグハーク」は次第にダンジョン内に溶けて消えていった、ただ一つ紫の煌めく石を残して。


 少ししてから紫の石を持ち俺は何とか帰路につく。ダンジョンの門をでた瞬間に俺の張り詰めていた精神が解けその場に気絶してしまった。門兵に駆け寄られ近くの宿に背負わされて連れて行かれ約3日間寝たきりだった。



 「う〜ん…ここは?」


 「目覚めたかの若き怪我人よ」 


 目を覚ますと隣に立つ人物から声をかけられる。


 「あなたは証明書作りの時の…老人」


 名前は知らない。ただこの人がただ者ではないと今は理解できる。


 「あ…そうじゃったな自己紹介がまだじゃったな」


 コホンと咳払いをする老人は俺に話す。


 「儂の名はゲルドン・トーマック…とある理由でここに滞在中じゃ、さてデザイアよ聞かせくれ…ダンジョンの中で何が起きたのか。儂はそれを知りたくてここにいる。」


 俺はありのままをゲルドン・トーマックに話す。ダンジョンでの出来事を全てを。

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