第9話 目覚めの会話
「なるほどの奇怪な見た目のオルグハークか…」
ゲルドン・トーマックは続けて質問する。
「そやつはどんな感じだった?」
「奇怪な見た目になる前はほんとに美しい、とかたくましい、が似合う姿で高い知性もある感じでした。けど…奇怪な姿のアイツは知性の欠片もない感じだった。見た目なんて言い表したくないほど見にくかったし…」
「ふむ…」
思い出すかのように更に俺は質問する。
「あ…あの、ダンジョンのモンスターは自身が生まれた階から出ることはできますか?」
「出来ぬな、そこで生まれたモンスターは他の階へ行く事はできない。あやつらはあくまでダンジョンの中のあくまで一部だからな…モンスター自身が意思を持っていたとしても、ダンジョンから生み落とされた…悪く言うなら道具に過ぎないのじゃ、道具が勝手にチョロチョロ動くわけないじゃろ?」
「そうですよね…けど、俺が対峙したオルグハークは俺が2階の門から出たのにアイツもそこから出ようとしてましたよ?」
っていうか半分近くは出ていたようだった。
「なんと!それは…」
顎髭を触りながら考えるゲルドン・トーマックは自分の仮説を話す。
「もしかしたらじゃが…ダンジョン自体の容量を超えたのかもしれぬ」
「どういうことですか?」
後ろから聞いたことがある女性の声がして振り返ると…。
「うぉっ!?ラベンさん?どうしてここに!?」
紫の髪が特徴的なラベンさんがなぜかいた。
「ゲルドンさんから頼まれて一緒に来たんです、「老人との2人だけの会話じゃキツイかも知れんからのう」と言われたので」
「あ…そうなんですね」
「なんじゃお主、気付いておらんかったのか、気付いたうえで無視しとるんかと思ったわい」
自分でも恐ろしいほどに気付いてなくて申し訳ない気持ちが溢れてくる。
「ラベンさん…ごめんなさい本当に全然、全く気付かなくて…」
「構いませんよ、私の影が薄いのがいけないんです」
「いえ!違います。どっちかと言うとあっちの人が濃すぎるというか…」
即座に自虐するラベンさんを否定してもう一人の方に罪をなすりつける。
「誰が何だって〜?」
「いいえ何でも!さ、話の続きを…さ、さ」
手で促すようにダンジョンの話に戻すように仕向ける俺を見てゲルドン・トーマックは呆れて話を戻す。
「先程儂が言ったダンジョン自体の容量を超えたのかも知れぬと言ったことじゃが…」
う〜ん…と言葉を噛み砕いてくれてるのか少し考えた後に再び語り始める。
「分かりやすく言えばモンスター自体がダンジョンの力を超えたのかもしれぬのじゃ」
うん、何となく理解できる。
「お主が戦ったオルグハークは奇怪な姿になった事によりダンジョンが持つ力をオルグハークが越えてしまい2階から出れるようになったのかも知れぬ」
ゴソゴソと持っている袋からある物を取り出す。それは俺が「オルグハーク」を倒した時に残った紫の煌めく石だった。
「それは…」
「これは核石という。まぁ大抵のものは核と呼んでおる」
核…あのモンスターの中心となっている物ということか、けど他のモンスターからは何も取れなかったのはなぜ?
「オルグハークがダンジョンの持つ力を超えた、という説をより確実にするのがこの核石じゃ。
核石というのは強いモンスターの中にできるものじゃ。弱いモンスターにはもちろん核石はできない。そして尚更、ここの街のダンジョンは初心者だけが入れるような難易度で核石が出てくるなどあり得ない。」
現に今まで核石が出たという報告は一度も受けていないらしい。
「そこで相談なんじゃが、この核石を譲ってくれぬか?」
突然の物乞い
「え、まぁ」
「何を交換なさってくれるのですか?」
突然会話に入ってきて物々交換を提案するラベンさんに驚く俺は声も出ない。
「ん?そうじゃな…」
ゴソゴソと再度袋の中を探すゲルドンさんはあるチケットと紙を取り出す。
「それは?」
「骨抜きリセット券と書かれてますね」
「ラベンさん何ですかそれ?」
「さあ、私にも分かりません。
ゲルドンさんこれは?」
「とある所にある治療屋のチケットじゃ。儂のとっておきじゃ、………嘘じゃないぞ!」
俺達二人の沈黙に焦ったかのように弁明する。
「本当は渡したくないんじゃが、儂はこの核石を調べたいんでな…だからいい交換だと思うのじゃよ」
「もう一つは何ですか?」
「これは入学書じゃ」
「入学書?」
「お主魔法を使えたのじゃろ、なら今感じて見ろ」
いきなり魔力を感じてみろと言われ、言われるがままにする。眼を閉じ身体の内側へ意識を向けると感じ始める力。
「感じました!」
「それを身体の外へ出すんじゃ」
身体の外へ…この魔力を…。
「ふん!」
一気に身体から放たれる蒸気のようなものが今までみたいに感じ取れるだけでなく、目に映り見えている。
「魔力を変換させることができたからこうやって目でも見えるようになったのじゃ」
魔力を変換させることはとても難しい。俺がとても苦戦したように、だがその壁を超えた人間は魔力を扱うようになれ壁を境に越えた者と越えれない者とでは一線を画すというらしい。
「この入学書は魔力を扱える者だけが入学できる学校への鍵じゃ、魔力を扱える者は限られておるためその限られた者たちが腐らせぬためにこの入学書が渡される」
「魔力を扱えれば誰でも入学できるんですか?」
「出来るとも、扱えればな」
それが扱えるために差し出してくれたのか…
「ありがとうございます」
魔力を扱える者だけが集う学校…少しだけどワクワクする。
「これが交換の品じゃ、どうかな?」
「満足です」
両者合意の元にお互いに物をいう交換される。
「さっそくこの学校に行ってみます。まだ入学まで時間はありますけど早く行って損は無いと思うんで」
「デザイアさん…武器はどうなさるんですか?」
突然質問してくるラベンさん、武器?ぶき…ブキ…武器!レイピア折れてたんだった。
思い出したレイピアはあの時折れて駄目になってしまったんだった。
「じゃあ…儂が買ってやろうか?どうせここらのは全部安っこいし」
「いいんですか、ありがとうございます」
「良かったですね、デザイアさん」
そうやって目覚めの長い話は終わり次の日に武器を選びに行く事になった。その日の夜は思いっきり寝た。昼間ずっと寝ていたのに寝不足かのように寝付けて次の日を迎えた。
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