第6話 ダンジョン2階
1階で出てくるモンスターは一応すべて殺り終えた俺はその時の戦闘を振り返る。その中で死にかけたのは何と言っても「ホムリートン」であろうが、最も倒しにくかったのは「樹態 プラントウルフ」だと思う。奴は素早い身のこなしに自身の身体に植物のモンスターを寄生させ共存しているのが特徴だった。更に身体には木の根の様な鎧が形成されており、俺のレイピアでは致命傷を与えるのが難しかった。だが弱点は無いわけでもなく鎧があるからといって眼などは視界を入れなきゃいけなく鎧が無く攻撃が通る場所だ。戦闘中は苦戦していたがレイピアの扱い方が成長し今では簡単に倒すことができるようになっていた。
「よし…次行こう」
今では最初のダメージもほとんど無いようになっており、動きに支障は無いので次の階へ行っても問題は無いだろう。
再び長い階段を降りていくと2階に到着するが人が全く見当たらない。初心者が訪れるダンジョンで更には低階層が理由で人がいないのだろう。俺はダンジョン2階に足を踏み入れる前にレイピアを取り出し右手に持ちつつ、入り口からちょっとだけ顔を覗かせ待ち伏せモンスターが居ないか確認して中に入る。1階とほぼ同じ様な環境で今の所は何も違った所が見当たらないと見た。
辺りを警戒しながら奥へと歩いていくと日陰でもないのに影に重なり日差しが被らなくなる。被らなくなったのは…
「キエエエエエーーー!!」
物凄い響く鳴き声で空から俺を襲ってくる鳥だった。振り返ってソイツは見た時にまだ距離があった為難なく避ける事ができた。俺を襲おうと地上に近付いたのを逃すわけもなく俺はすかさずレイピアを突き出すが物凄い羽ばたきで急上昇し向こうも俺の攻撃を躱す。
(面倒だ…)
基本的に空中の生物は俺みたいな人達は相性がとても悪いだろう。まともな武器はレイピアしかなく、飛び道具もなくてむやみに攻撃することもできないのだ。主導権は向こうが握っておりこちらはカウンターでした攻撃をすることができないと思う。
そうやってどう攻略するか考えていると…
「キエッ!」
空中で翼を畳み込み一気に開放すると白い刃が出現し襲ってくる。
(やばっ!)
間一髪避ける俺は見覚えがある。証明書を作った時に後ろから声をかけてきた老人が見せた魔法に似ていた。形こそ老人が見せたのは小さな渦だったがこちらはいかにも切れます感がある風の刃で向こうは飛び道具もあるのが分かり流石に勝てないかもと思ってしまう。
でも逃げるのは早いと言える。どちらの攻撃も見えていて避けることができた。必ずどこかに隙が現れる筈と願い木々が生い茂る場所へと逃げ込む。奴は木々の上から探すが俺を見つけられない。そこで先程俺に放ってきた風の刃を闇雲に打ち放つがそれでは全く当たらず見つけるために下に降りてくる。
降りた奴の背後はガラ空きですかさず攻撃を仕掛ける。フワッ…と俺の周りを包み込む様な風を感じるとこちらを振り返り風の刃を繰り出した。
(風の膜を張っていたのか!)
魔力で風を自身の周りに発生させて流れを作る。その流れが途切れた所に俺がいる、恐らくそういうやり方だろう。だが明らかに2階になってモンスターが強くなりすぎている。このままでは勝てないと理解する俺は今の所から近いのは3階へと続く入り口だった。
「キエエエエエ!!」
風の刃をこれまでもかと飛ばしてくるモンスターの攻撃を全速力で走りながら何とか転がるようにして勢いよく3階への入り口に入ることができた。
3階と4階の丁度真ん中と思われる場所で休んでいると4階からこちらへ戻ってくる音が聞こえてきた。次第に音が大きくなり目の前まで迫ってくると
「どけよ」
「あっ…すいません…」
休憩してる俺が悪いので素早く謝る。頭を下げ終えると俺は3階へと戻ってく2人組みを黙って見ていようとしたら、一人のバッグから分厚い本が落ちた。自分たちの歩く音で本が落ちたことに気付かないのでそれを拾い声をかける。
「落としました…よ」
ギロッと睨まれながら
「あ?……」
ジーッとなんの本かを見る男は「ああ、これか」 という反応を見せ
「いらねぇよ、そんなクソ本」
クソ本と罵られる本を見るが結構いいものに見えるのだが、男は思い返すかのように更に怒りがぶり返す。
「何が火の魔法書だ!とんだインチキ本じゃねぇか!二度と見せるなクソガキ」
優しく接したらこの仕打ちに俺は久しぶりに落ち込んてしまい分厚い火の魔法書を開く。
フム…フムフム…フムフムフムなるほど人間の身体には魔力が常時巡っており、巡る魔力を体外へと放出したときに魔力を火へと変換させる…のか。そしてその変換方法は………。
「あれ…ない?」
1ページ飛ばしたかと思いページを戻すと先ほど読んでいたところだ。つまりページは飛ばしておらずこれが正解なのであろう。俺は少し考える、何かヒント的なものがあったような気がする…。
「そういえばあの老人…」
確か…「魔力は誰の身体にも満ち足りてお り、そこら辺にも存在している。だがそれを利用できるかは 別だ。」
利用できるかは別…。つまり頭の中で整理すると誰でも魔力は持っているがそれらを使用できるのは限られた人達…ということか。
しかしこの仮説が本当だとしたらどう魔力を変換すれば良いのか。
人差し指を立てて指先から魔力を出そうと踏ん張るが出ているか全く分からない。
「んんんんんん!!」
出てるのか分からないが出てることにしよう、ここから火に変換させる。
「………ーッ!!わからん!」
まず魔力が出てるか分からんし仮に出てるとしてもどうやった火に変換させればいいのか感覚が分からない。
そうやってしばらくの間練習を続けるのであったが先ほどの2人が戻っていった2階では異変が生じ始めていた。
「な…なんだよ!何だよコイツは!?」
デザイアが戦った鳥だったがその姿は鳥特有の短い脚ではなく長く大きく鋭利な脚へと変貌し全体のバランスが崩れ去っていた。
【オルグハーク】2階のダンジョンでは食物連鎖の頂点に立つ鳥。風を操り獲物を捉えたりする。
【オルグハーク(奇怪)】脚が変異してとても巨大化してフォルムのバランスが崩れ去ってしまった姿。飛ぶことは不可能で脚での攻撃は風での攻撃をも超える。
※奇怪の姿は未確認。
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