第3話 見かけ倒しにお別れを…
雨が降る時間をひたすらに歩き続け結構な距離を歩いていつの間にか雨は止んでいた。
「確認しなきゃ」
そういって俺は地図を取り出す。雨の中では地図を見ることができず今まで何となくで覚えてた頭の中の記憶を頼りに歩いた。俺は地図を見るとどこに行くかを今一度頭の中で整理し、それを自分自身で反復する様に口に出して確認した。
「今の俺の位置は大体…ここらへんだろ。目的の街までは…と…」
そう言いながら地図と周りにある地形を確認する。来たことがない所なので時間がかかる。山賊達と居た時の村には帰りたく無かった。あそこはあいつらと同じ位の悪さの奴らが他にもいた為に新しい場所を探している。
「よし、この道っぽい道をまっすぐか…」
自分の中で道だと信じ込んで歩き始めた途端
「キャアー!誰か助けて!!」
甲高い声に思わず重心が片方に偏ってバランスを崩しそうになったがきちんと耐える。
「な…なに?」
大声のする方向に行くと馬車が横転してその周りを少数の騎士たちが囲んでいた。更にその騎士を囲むようにモンスターがいた。
「えぇと…あのモンスターは…」
隠れるようにして覗き込む俺はバッグの中から本を取り出しモンスターと同じ見た目の絵を探す。
「あ…あった!マウンテンウルフ?」
【マウンテンウルフ】集団で行動する狼。名前の由来は威嚇した時の体勢が猫の威嚇のような背中を高くするポーズに似ており、それが山の様だと言うことから名付けられた。強さはさほど無くチームワークは抜群。
なるほど………逃げよう。
わざわざ死にに行くことはない。さほど強くないと言うが俺にとっては十分脅威なので逃げるが吉。
「誰か!誰かいませんか!?助けてください!!」
馬車の中から聞こえる声に反応するが出ても何もできない。しかし馬車の周りには少数の騎士がいるのに一向に攻撃をしようとしない。
(なぜしないんだ?)
マウンテンウルフはチームワークだと抜群らしい。つまりあの重厚な格好をした達でさえ、仕掛けられないのか…。そう思った直後に騎士の1人が仕掛けた。
「ハァ~!」
スカッと楽々にかわされる。
(いや下手すぎだろ!)
思わずそう心の中で言ってしまう。初心者未満の俺でも分かるような下手くそな剣の振りに覇気の籠もってない声の相乗効果で更に騎士の格好悪さを大幅に下げる。
他の騎士たちもヘロヘロヘロヘロとなってない剣術に思わずため息をついてしまう。そんな騎士たちもやられないのはマウンテンウルフが意外にも弱かったからだった。チームワークだけで攻撃力はペチペチと騎士の重厚な格好にダメージを与えられないでいた。
ヘロヘロ、ペチペチ、ヘロヘロ、ペチペチ
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「キャアー!助けて!」
誰かの悲鳴。そしてまたヘロヘロ、ペチペチ…。
(馬鹿みたいだ…)
ずっと心配して見てた時間がもったいないくらい無駄な時間だった。あまりの阿呆みたいなやり取りに介入しようか迷ってしまう。
(行くか…行かないか?)
よし、行かない!行ったところで力にはなれないし、もしかしたら薄手の俺は死ぬかもしれない。自分の命を投げ売ってまで助けようとは思えない。
さようなら…名も知らぬ女とその下手騎士たちよ。
そう思い俺は目的の街に走り出す。今のうちに走る。それは馬車の中にいる女がずっと助けを呼んでいるからだ。だからモンスターはそっちに引き寄せられるだろうと思い進み続ける。
「あと少し…」
目的の街の名は【ブラーブ】という。その街にはダンジョンがあり、強くなりたいと来る冒険初心者のオススメの場所だという。
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