第2話 謝罪
地面に溜まる水溜りをを飲み込み彼は目を覚ました。
「はぁ…夜?」
あの倒れた時からもう一日の半分も気絶していた。傍らに倒れるこの男はいつも日の出の前後に襲ってきていし、自分の身体の具合を見てもそれぐらい気絶ししていた。
「身体が…バキバキだ…」
無理な体勢で倒れてしまって全身の関節が痛かった。しかしそれどころではない。この大雨の中で気絶ししていた俺は体力も少なくなっているし、だいぶマシにはなったけどまだ頭も痛いくらいだった。
「必要な荷物を持って街へ行こう…」
雑用として就いていた自分の荷物から必要な物だけを残し残りを置いていくことにした。
(あぁ頭痛…)
あの男を殺してから頭が痛く収まる気がしない、そこでふと疑問に思う。何故彼は6度も俺達を襲って来たのだろうか?考えられる理由としては山賊が彼のいる村などを襲撃するかもしれなかったから…。でもその説はないだろう…もしそうだとしたら1回目に俺達を襲撃するのがおかしい。他に考えられるとしたら…
「何かをてにいれようとした…か?」
山賊が持っている何かを手に入れる為に襲撃したとするのが一番理に適ってる。世界には神の声「天啓」を聞くことができる人がいるという。神に選ばれた彼がその「天啓」によってここに来たのならば俺がすべきことは一つ、その何かを俺がもらう。
「とすれば一番持ってそうなのは…お頭かな」
俺はお頭の服のポケットを探ろうと被さっている腕をどけようとする。
「お頭の鼻ピアス…センス悪…」
そう思わず愚痴をこぼす。
「ぐっ…なんだこれ硬!」
あまりの硬さに人間か?と問いただしそうになってしまう。何とか腕をどかして、ポケットを探る。
「ない、ない…こっちも…ない」
もしかして別の奴らか?と思い他も探るが何一つそれらしいものが発見できなかった。
もし彼が身につけるとしたらそんなでっかい物にはならない筈、そんな考えで全員のバッグなども探したが見つからない。
「身につけるとしたら普通に考えてアクセサリー類か…ネックレス、指輪、ブレスレットなんかもあるな」
あれ…何か引っかかる。俺は何か見たような気がした。どっかでアクセサリーを身につけた人を。
まさか…。
「まさかね…」
恐る恐るとお頭の顔を確認しに行く。
「ん~…うーん~…」
見ては眼を閉じ考え、見ては眼を閉じ考えた…。どうやってもあれだった。
「これ、どう見ても指輪だよな…」
鼻ピアスにしては異常に太さがあるので確実に指輪であることがわかった。彼もこれを身に着けていたのか…と思うとちょっと寒気がしたような気がした。
「んっ…取れないな…ぐっ…ふん!」
イライラして思いっきり引っ張ると鼻柱を引きちぎりながら指輪を摘出できた。
「ばっちぃ…」
お頭が来ていた服に汚れをこすりつけて水溜りでジャブジャブとゆすぐとやっと身に着けれるような見た目に戻った指輪を指にはめる。
「何もない…」
何も起きない。それが現時点での結果だった。残念な気持ちを押し殺し俺は準備してた荷物を持ち街へ向かおうとするが俺の中でまだ押し殺している言葉をもう冷たくなっている俺が殺した彼に話そうと思った。
「もしかしたら…いや、お互いが生きることができたと今、強く思うよ。けど…神に選ばれたあなたを殺したことで俺は本当の意味で自分の運命から抜け出せたと思うんだ。俺は誓う。身勝手な誓いだけど君が避けようとしてた破滅かもしれない未来を変えることはできないかもしれないけど、それでも精一杯生きていくことを…」
そうやって俺は雨が降る森を抜けようと歩き出した。
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