第1話 運命転換点
殺すのは比較的簡単だった。ずっとわたし…いや、俺は背中から斬られ殺されてきた。理由を述べるとするならば悟られてはいけないと思った。彼に知られては彼が今まで努力してきた過程を崩しかねないと思ったから。彼を何故殺さなければならなかったか…この瞬間にしか運命を変えることができなかったからだ。もし、俺が山賊の奴等から逃げるとするのならば当然俺は捕まり、望まない結果になっていただろう。他にも運命を変えようと行動してもズレた運命のルートは直ぐに元のルートへと戻るように軌道が修整されるはず。この考えは2度目の生で何となく仮説が立てれた。
ならどうすれば良いか…。ズレた運命が戻らないようにするには、当然障害となる者がいなくなる時だった。俺以外の山賊は彼にやられ、その彼は俺を後ろから斬りつけようとする。その瞬間に隠し持っていたレイピアをタイミングよく背後に突く。
「ぐっ…」
運よく心臓近くを突き刺されて思わず彼は手に持っているナイフを落としてしまう。
「ぐぶっ…な…なんで…」
男は困惑していた。今までこんな事は無かったからだ。6度の人生ではここの過程は楽に勝てていたから。それなのに今自分に突き刺ささるレイピアを持つ人は間違いなく自分が後ろから攻撃すると確信していた。
「あ…あ…、あり得…ない…」
「……7度目、分かるだろ」
男はハッとする。
「6度もあなたの為に命を差し出した。選ばれたあなたの為に…。」
「お…、お前も……」
血を噴き出しながら彼は言葉を振り絞る。
「もう無理だった…耐えれなかった…、6度の失敗は俺の中にある信仰を裏切るには十分だった」
俺の言葉を聞きながら這うようにこちらによって来る彼は弱々しくなる一方だった。
「さ…最後なんだ……ラストチャンスだった…」
「もういい…眠っていいんだ…」
「だめだ……僕がやらなきゃ……僕が…」
その言葉を最後に彼の顔は地面に伏した。
「死んだの…か…うっ!?」
安堵のため息をついた瞬間に頭がひび割れるような頭痛に襲われる。
「うっぐ…あ…あ…ァアアア!!」
あまりの痛さに膝をついてもがき苦しむ。
(どういうことだ…なんで…意識が……とぶ…)
死んだ男の隣に俺は気絶してしまった。
遠く、遠い地にて二人の女性がお茶会をしていた。
水色の髪をなびかせる女性は突如としてカップを落とし割ってしまう。
「エルダ…貴方らしくないわね…ティーカップを落とすなんて、貴方この味好きだったでしょ?」
水色の髪のエルダという女性は強く髪をかきあげる。
「見えない…見えなくなったてしまった」
「どうしたの、何が見えないの?」
「予知が…見えなくなってしまったんだ…」
「エルダ、それはよくあることでしょ…そんなに落ち込むことでもないでしょ」
「違うんだ、今回は何か違うんだ。確率的な予知ではなくて確定的な大きな予知だった。それが見えなくなったてしまったんだ。」
ここまで焦るエルダは初めて見る。焦ると言っても今まではもっと余裕が感じられるような感じだったのに、今はそれが微塵も感じられなかった。
「変わっていく…見えてた未来と大きく変わっていく。それがどう変わるか分からないけど予知とは大きく違うのだけは分かる。」
「エルダ、またあとで落ち着いてから話しましょう」
「あ…、ああ」
そうやって二人の今回のお茶会は幕を閉じたのだった。
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