プロローグ
祖父のように、父のように、兄のように、なりたかった。
祖父たちは皆、誰もが強く偉大な武士だった。仲間を守り家族を守り、大切な人々を守っていた。
その姿に焦がれて自分も剣を取った。力無き人々を守らなければならないと教えられていたこともあったが、やはりきっかけとなったのは祖父たちの存在だった。
幸い自分には才能はあった。厳しい指導にもへこたれずめきめきと腕を上げ、少年と呼べる頃から一人前の大人たちと肩を並べて戦えるほどに。
だが、自分は祖父たちのようにはなれなかった。
強くはなれた。だがその強さは肝心なところで発揮されなかった。大きな戦いの後、必ず守りたかった誰かは倒れ、傷つき、涙を流した。
それでもくじけず剣を振るった。自責の念と周囲の悲しみに耐えて堪えて。いつか祖父たちのようになれると願って。
しかし、そう思っていた自分の願いは、不可能だと悟った。
そう結論したのは戦友であり師の一人の死、そして師の娘であり自分が初めて恋をした少女より罵声を浴びせられた時だ。
神に比肩する剣技や力を得た。それでも守りたかったものは守れず、挙句、自らの手で壊してしまった。
そして痛感した。自分は、祖父たちとは違う。ただ力があるだけの弱者に過ぎないと。
だから思った。自分は、大切なものの傍にいるべきではないと。彼らから離れ、遠くで戦い続けるべきだと。
それが、弱い己が大切な者たちを守るための、唯一のことだと。




