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多元世界治安維持組織【アルゴナウタエ】  作者: 浮雲士
四章 雷刃、新生
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一話






「失礼しまーす!」


 元気な声と共に部屋のドアが開く音が聞こえる。

 それを聞き雄斗は体を起こす。開けたドアの先にいるのは【アルゴナウタエ】の紋章が刺繍されているグレーのブレザーを着た二人の少女だ。


「おはようございます雄斗さん。今日もいい天気ですよ」

「ファ、ファティマ。部屋を出ようよ。鳴神さんは寝起きでまだ着替えてないようだし。

 あ、えと、な、鳴神さん。おはようございます」


 にこやかに言うのはファティマで、恥ずかし気に顔を背けるのはルリだ。

 朝における二人の突撃にすっかり慣れた雄斗は「着替えるから先にリビングに行っててくれ」と二人に言い、着替えを始める。

 開けた時とは正反対な静かにドアが閉まる音を聞いて、雄斗は小さく息をつく。


(全く。どうしてこうなったんだか)


 先々月、【アヴェスター】にて参加したマリアの恩師の一人であるシャハブ・アラム・ティシュトリヤの結婚式。

 そこで雄斗はマリアを慕うルリを彼女の後継にするようシャハブたちに願い、受け入れられた。

 そこまではよかった。だがその直後のことだ、なんとアザードからファティマの面倒を見てくれないかと頼まれたのだ。

 彼が自分と妹であるファティマの婚姻を狙っていることを知っている雄斗は当然拒否。剣しか、戦うだけしか取り柄がない自分が、誰かに物を教えるなど向いていないにもほどがあると。

 しかしそれにマリアが──ルリを後継にした意趣返しのつもりか──OKを出した。猛反発する雄斗に彼女は笑顔で『部隊長命令♪』などとのたまり、さらにエドガーからの認可も降りてしまった。

 そして現在、二人はマリアの後継兼部下。雄斗たち【清浄なる黄金の聖盾アルドウィー・スーラー・スクード】の準メンバーとして名を連ねている。そして【アルゴナウタエ】にやってきたこの一カ月の間、週に数回は毎朝起こしにやってきていた。

 着替えが終わりリビングに向かう。すると多人数の楽しそうな話し声が聞こえてくる。


「あ、今日の味噌汁の味、少し濃いね」

「はい。先日実家から送られてきたものを使っています。

 冬の季節なので寒さに負けないよう、活力が漲る赤棘味噌を使用しています」

「聞いたことがあります。確か昔【高天原たかまがはら】で気付け薬として使用していこともあるそうですね。

 決死の覚悟をした武士が、戦場に行く前に口にしたとか」


 リビングと一つになっているキッチンにて料理をよそい、テーブルに運んでいるマリアと雪菜、ルリの姿が。

 食卓にはソフィアとファティマが並んで座っており小難しい本を読んでいる。


「あ、おはよう雄斗君。ちょうど朝ごはんができたところだから座って待っていて」

「今日のお味噌汁は私が作りました。味もばっちりですので期待してくださいね!」

「ああ、ありがとうな」


 雄斗に気が付き笑顔を向けてくるマリアと雪菜に礼を言い、雄斗はソファたちとは対面側に腰を下ろす。

 ほどなくして運ばれてくる朝食。雄斗の両側にマリアと雪菜が座り、その体面にソフィア、ファティマ、ルリが腰を下ろす。


「いただきます」


 雄斗の一声と共に始める朝食。目の前の少女たちは健啖な食欲を発揮し、朝食に手を付ける。 

 一方、雄斗の両隣にいるマリアと雪菜は箸を動かしつつも、時折こちらの様子を伺うような視線を向けてくる。

 そして朝食をある程度食べ終えたところでマリアが聞いてくる。


「雄斗君。味噌汁の味はどう? わたしはちょっと濃く感じたけど」

「悪くはないな。普段のより少し塩辛いがきついほどじゃないし眠気冷ましにはちょうどいい」

「そう。じゃあこの長芋の豚肉巻きはどうかな?」

「こちらも上手いぞ。醤油の味がいい感じにしみているし柔らかくて食べやすい。米が進むな」

「そっか。ふふふ。ありがとう」

 

 雄斗の答えにマリアは満足そうに微笑む。どうやら長芋の豚肉巻きはマリアが作ったもののようだ。

 ちらりと横を見れば味噌汁を作った雪菜も嬉しそうな顔をしている。両者を見て、雄斗は心中でため息をつく。


(やれやれ。この二人もご苦労なことだ)


 賑わう雄斗のリビング。こうなり始めたのは【アヴェスター】から帰ってきて一週間たったころだ。

 雪菜と共にマリアが朝、雄斗の部屋に押しかけ朝、または夜の料理をするようになった。初めての日の夕食の後理由を問うと、彼女は笑顔で雄斗の胃袋を掴むためとはっきりと言ってのけた。

 彼女が好意を持ってしてくれていることはわかる。だが受け入れる気がない雄斗は当然、やめるよう伝えた。しかしそこに雪菜からの援護が入った。

 マリアと自分は共に雄斗を想う者同士。マリアにも自分と同じ接し方を許してほしいと。

 雪菜の予想外の発言に雄斗は驚くが、それでも一旦は断る。だが雪菜は頭を下げてまで懇願し、マリアも神妙な態度で首を垂れて頼んできた。

 二人の態度に雄斗は慌て理由を問うと、雪菜はマリアも自分と同じ雄斗を想う女性。決着をつけるなら可能な限り対等の条件でありたいと、真摯な表情で言ってきた。

 戦場に出るような顔つきの彼女を見て、雄斗は少し悩み、それでも断ろうとしたが、再び首を垂れた両者を見て、根負けした。

 以降二人は朝晩共に雄斗の部屋を訪れては食事を作るようになった。そして時折、雄斗を監視するという名目でソフィアたち【清浄なる黄金の聖盾】の面々が、【アルゴナウタエ】にやってきたルリとファティマも訪れていた。

 

「……あ、アイシャだ」


 面々の中でいち早く朝食を食べ終え、お茶を飲みながら本を読んでいたソフィアがぽつりと呟く。

 彼女の言う通りTVに表示されているニュースにはあのアイシャ──当代のカーリーの姿が映っている。

 

「【ヴェーダ】でまた【異形種キメラ】の氾濫が起きたみたいですね。

 アイシャ様を始めとする【ヴェーダ】の神々や英雄たちの活躍で【異形種】は殲滅できたようですけど、一般人に多数の死傷者や被害が出たことを【ゴラク民主党】が非難しているようです……」

「【ゴラク民主党】って、【異形種大戦】の後、かつて【ヴェーダ】を統治していた人たちの末裔が結成した団体だったかしら? 随分勝手なこと言ってるわねー」


 大仰な身振り手振りで非難のコメントをしている【ゴラク民主党】の代表に冷めた目を向けるルリとファティマ。

 次にTVに映し出されるのは蒼穹を背にした無数の浮島に欧州のような中世の雰囲気を強く残す街並み。そして巨大な王城が映し出されるのを見てマリアが言う。


「【オリュンポス】の王城、アルオリンだわ。これは月末に行われる世界会議についてのニュースね」

「議長世界は【オリュンポス】。参加するのは【高天原】に【アヴェスター】、【ヴェーダ】、【ヌトゲプ】、【ユグドラシル】、【ティル・ナ・ノーグ】、【ムンドゥス】。……いつもの面々か。

 今回も【崑崙】、【エデン】、【テノチ・ティトラーン】は不参加。……【エデン】は三年前、【アルゴナウタエ】の支部が置かれたから今回は参加するかと思っていたけど」


 表示された不参加国を見てソフィアは一瞬、不機嫌そうな顔になる。しかしすぐにいつもの無表情になると手にしていた本に目を向ける。

 TVのニュースを耳にしながら朝食を食べ終え、雄斗たちはマンションを発つ。【アルゴナウタエ】本部にある【清浄なる黄金の聖盾】のオフィスに来ると、自分たち以外の面々の姿があった。


「おはようマリア、ソフィア、雄斗。

 ルリ君、ファティマ君も元気そうで何よりだ」


 柔和な笑みでニコスが出迎え、


「女たちに囲まれて出勤か。

 ククク、ハーレムするのは部屋の中か、休みの時だけにしておけよ」


 スーツを着崩したルクスがにやにやと笑っており、


「朝からふしだらなことを言うなルクス。

 おはよう雄斗。先日探すよう頼まれていた資料は机の上に置いてある。確認してくれ」


 グレンを窘めたラインハルトが真顔で言う。

 三者に挨拶をして雄斗も席に着く。全員が着席したのを見たマリアは軽く二回ほど手を叩き、


「おはようみんな。

 さぁ、それじゃあ今日も仕事を頑張ろう!」


 部隊長の宣誓と同時に始業の鐘の音が部屋のスピーカーから鳴り響く。

 【清浄なる黄金の聖盾】は【アルゴナウタエ】の戦闘部隊だが、当然一日中戦っているわけではない。

 特に何もない平時の場合、午前中は会議やデスクワークに費やし、午後は戦闘訓練や鍛錬、【アルゴー】内部の見回りなどを行っている。

 今日は平時のため午前中はデスクワークに費やす。ノートPCに届いていた他部署からのメールに送信、返信したり、先日任務で訪れた【失われた世界ロスト・ワールド】についてのレポートを作成する。

 そうしているうちに午前は終了、昼休みとなる。昼食をマリアに誘われるがルクスたちとの先約があったので断り、ニコスを含めた四人で本部内にある庭園にて昼食を取る。


「なぁ雄斗。そろそろやったのか」

「? 何がだ」

「マリアか叢雲のことに決まってんだろ。どっちだ、それとも両方に手を出したのか」

「お前じゃあるまいし両方はないだろう。……それで、どうなんだ」

「お前らなぁ……」


 昼食を食べ終え一息ついたところでルクス、ラインハルトから飛んできた問い。

 マリアから告白された直後は祝いの言葉一つだけで、特に何も言わなかったというのに。


「いやーさすがに告白されて断っておきながら即座に手を出すようなことはしないと思ってるからよ」

「【アヴェスター】の一件より二カ月。二人にあれだけ世話され好意を向けられているのだから変化があると思ったのだが」


 興味津々なルクスたちを見て雄斗は頬を引きつらせる。

 そんな雄斗の肩に微苦笑したニコスが落ち着かせるように手を置く。


「そう怒るな雄斗。古今より男女問わずこういう話は騒がれるのが常だ。ルクスのように開き直ればいいのだがね」

「はっ。惚れた女のことを言われて何で遠慮する必要があるよ。当代のゼウスを見て見ろ。最近、また新たな側室を迎えたって聞くぜ。

 ──で、どうなんだ。よ?」

「何もねぇよ。大体ルリたちがいるのにそんなことができるか」

「ファティマ達か。……そういえばあの二人からもお前随分慕われているな」

「ファティマ嬢は確か兄君からお前の婚約者にと勧められたそうだな。ルリ嬢もファティマ嬢ほどではないが親し気だ」

「グラディウスとの戦いでマリアや兄貴のアザードさんを助けた恩義を感じているだけだろ。妙な勘繰りはすんな。

 それを言うならラインハルト、お前はどうなんだ。ルクスと違いそう言った話は全く聞かないが」


 雄斗がそう言うとラインハルトは無表情となる。

 そして一泊置いて、彼は言う。


「俺にそんな相手はいない。だが問題はない。

 俺の一族は皆、俺以上に優秀だ。俺が結婚しなくても次代へ血は残せるだろう」

「やれやれ、相変わらずなだお前は。俺並みにモテるくせに女と全く付き合わねぇ。

 もしかしてそっちのケがあるのかと思っていたがそうでもないしな。つまんねーぞ。

 当代のヴァナルガンド当主みたいに、たまには女で遊べよ」


 ルクスの言葉にラインハルトの表情が一変する。

 氷の刃物を思わせる雰囲気となった彼は温度を感じさせない声音で言う。


「……。恋人が二人もいるくせに気に入った女に声をかけて遊びに出掛ける男らしい物言いだな」

「おいおい、人が不貞を働いているような言い方はするなよ。事前に二人には言っているぜ」

「言えばいいというわけではないだろう。お前の行動に二人が少しも何も思わないと本気で思っているのか。──呆れた男だ」

「それこそ余計な世話だぜラインハルト。その辺は俺たち三人の問題だ。部外者であるお前にそこまで追及される謂れはねぇ……!」

「はいはい二人とも。その辺にしておけ」


 険悪な雰囲気になりかけたルクスとラインハルトの間にニコスが割って入る。

 眉をひそめた二人は小さく息をつきそっぽを向く。それを見て雄斗は絶好の機会と思い、話題を変える。


「そういえば今月、世界会議が行われますが【アルゴナウタエ】からは誰が出るんですかね。やはりエドガー様ですか」

「正式に発表はされていないがおそらくはな。それと【天輝四団ルーメン・クアットロ】の部隊長たち、また将来を見込まれている隊員たちにも声はかかるだろう」

「そうですか。なら俺には関係ないですね」

「うーん、それはどうだろうか。雄斗、君はあのグラディウスと戦い生き残っただけではなく、マリアたちと協力したとはいえ首を断った。

 各世界のトップがそれに反応しないはずもない。世界会議に誘われる可能性は十分にあると思うぞ」

「うへぇ……」


 ありそうな理由を上げられ、思わず雄斗はため息を漏らす。全く勘弁してほしい。


「あとゼウス様はお前に興味津々だと伝え聞いている。シンシア姫の命の恩人でもあるしな。

 実のところ個人的にお前に会ってみたいと連絡が来ているが、どうする?」

「断っておいてください。……それにしてもニコスさん、あのゼウス様と個人的な親交があるんですね」

「古い馴染みなのだよ。私の妻は先代ヘラクレスの妹だった。彼女と結婚してしばらくはオリュンポスにいて、ゼウス様に色々と協力していたからね」

「そうだったんですか……」


 ニコスが妻帯者であることは知っていた。

 だがその妻を亡くしているとも聞いていたので、それ以上の内情に深く追求していなかった。

 しかしまさか先代ヘラクレスの一族と深い関係にあったとは。


「そう言えば当代のヘラクレスってのは随分な麒麟児と聞きますね。確か14のころに神器を継承し、いくつも功績を上げているとか」

「ああ。立派だよ当代のヘラクレス様は。あの若さで先代にも劣っていない。……本当に、立派だ」


 しみじみというニコス。その様子を見て雄斗は少し眉を顰める。嬉し気に微笑む彼の顔からわずかな寂寥感があったからだ。

 と、その時、懐に入れてあったスマホが振動する。取り出して見れば開発課からの連絡がきていた。


「すみません。ちょっと開発課に行ってきます」

「どうした?」

「レオニダス様が久方ぶりに手が空いているようなので、月末に行われる【神具開放】の最終確認を今するとのことです」

「なるほど。それは今すぐ行った方がいいな。……いや、自分も行こう。──お前たちは」

「俺はいい。リューンとスカーレットのところに行って癒されてくるわ」

「自分も結構です。図書館で調べたいこともありますので」


 同時に立ち上がる二人。

 一瞬視線が交差し、睨みあう二人。しかしすぐに顔を背けて反対方向に歩いて行った。


「やれやれ……。さ、それじゃあ私たちも行くとしよう。

 あまり待たせるとレオニダス様の機嫌が悪くなるからな」


 雄斗は頷き、ニコスと共に開発課に向かう。

 本部敷地内の西にある巨大な工場。これが開発課の仕事場だ。

 ここでは【アルゴナウタエ】に所属するものたちが使用する武器の点検や作成、【アルゴー】を含めた乗り物の整備なども行われている。

 昼時だというのに多くの人の姿がある工場内部。その奥に向かうと目的の人物と、その弟子たちの姿があった。


「遅いぞ雄斗。貴様なら中庭からならここに来るまで一分もかからんだろう。なのに十分近くかかるとはどういうことだ」

「いやそれって【万雷ばんらい閃刀せんとう】を使って神速移動したときの話でしょう。無茶言わないでくださいよ」


 やってきた雄斗に不機嫌そうに言ったのは額に巨大な瞳を持つ屈強な体を持った2メートルは優に超える大男だ。

 彼はレオニダス・キュクロープス。開発課の最高責任者であり【アルゴナウタエ】一の鍛冶職人。そして当代の【七英雄】の一人でもある。


「ニコスも来たのか。何用だ?」

「雄斗の様子を見にです。これでも彼の上司ですからね」

「フン、暇で何よりだ。こちらは満足に飯も食っていないというのに。

 まぁいい。さっさと【聖棺】に入れ。最終確認を済ませる」


 そう言ってレオニダスは奥の方に顎をしゃくる。そこには一対のカプセル型ベットが鎮座している。

 レオニダスが【聖棺】と呼ぶこれの正式名称は【湖姫の聖棺ヴィヴィアン・アーク】。神からは神器を、神財保有者からは神財を分離──抜き取る神具だ。

 もっともいつでも可能という訳ではない。所有者と神具、神財が強く結びついていれば分離可能になるレベルまで落とさなければ使用はできない。

 そしてレベルを落とす方法は主に三つ。戦いから退き平穏な生活を送ること、融合レベルを落とす投薬を続けること、定期的に【湖姫の聖棺】に入って少しずつ融合レベルを落としていくこと。

 【アルゴナウタエ】にやってきて九カ月。雄斗は定期的な投薬と【湖姫の聖棺】に入ることで少しずつ融合レベルを落とし続けていた。

 弟子たちの指示に従い服を脱いで左のカプセルに入る。中に心地よい液体が満ち雄斗の体を包むこと数分、聞こえてきた計測終了の声に従い、再び外に出る。

 研究員から渡されたタオルで体をふき終え、雄斗はレオニダスに尋ねる。


「どうでした?」

「数値的には問題はないな。分離率は80%以上で可能数値内だ。

 このままなら予定通り【万雷の閃刀】との分離が行えるだろう。

 さて、用事は済んだな。さっさとここから立ち去れ。儂は次の仕事があって忙しい」


 そう言ってレオニダスは雄斗から背を向け、傍にいる弟子に何か指示を出そうとするが、そこにニコスが声をかける。

 

「レオニダス様。せめて昼食を取られてください。

 あなたはもちろん弟子の方々もだいぶ疲れているようですし」


 ニコスの言葉を聞いて、周囲の弟子たちが何回も首を縦に振る。

 レオニダスの愛弟子と言うことだけあってその顔には並ならぬ知性と覇気がある。だがそこには隠し切れない疲労の色も見える。

 ニコスに言われ、それに気づいたのだろう。レオニダスは厳めしい顔のまま弟子たちを見回して、言う。


「そうだな。そうするか。

 ──お前たち、昼休憩だ。今日は四刻半だ。時間内にさっさと済ませておけ!」


 歓声を上げるレオニダスの弟子たち。「メシだー!」と誰かが叫び、彼らは早歩きで工場から姿を消す。

 それを見たレオニダスは「軟弱なやつらめ」と呟きながら、食堂の方に足を向ける。


「開発班。何度見てもハードですね……。休憩は三十分って」

「残り時間はあとで帳尻を合わせるのだろうさ。そのあたりレオニダス様はしっかりとやられてはいるよ」

「あれでですか……? ま、まぁいっか。

 それじゃあ俺たちも行くとしましょう」






次回更新は10月4日 夜7時です。

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