72 タロウ vs チャウツー
「行くぞ! お前たち! サウザーラ7世陛下の王都を守れ!! 腰ミノの悪魔を討ち取るぞ!」
「「「オウッ!!」」」
隊長さんが声をかけると、正規兵の皆さんが武器を構える!
「突撃!!」
「「「ウオオオォォォオオ!」」」
突撃する正規兵の人たち!
階段にいる人たちもそれを迎え討つ!
「ヒャハァああ!!」
黒いローブの人が叫びながら、雨のように魔法を打ってくる!
黒いマントの人からはマントから黒い槍が何本も突き出て正規兵の人たちを貫く!
光の剣の女の人と、大きな剣の男の人と、両手に剣を持った女の人の3人は、階段を降りて正規兵の人たちと斬り合っている!
正規兵の人たちは、、やられながらも階段の左右にいた人たちを相手にして真ん中を開けるようにしていた。そこへ、、
「でりゃぁぁぁあああ!!」
隊長さんが銀色に輝く立派な槍で真ん中の黒い鎧の人に突き掛かった!
黒い鎧の人は微動だにせず、槍が刺さった! かと思ったら、、ギャリギギャリ! と音がして、金色の透明な壁に槍は止められてて、槍の穂先は火花を散らしながら砕けていった。
「くっ! バケモノめ!」
「…ケルマン、覚えておくよ、、」
黒い鎧の人は悲しそうに言った後、左手を横へと振り抜くと、、、隊長さんの頭が吹き飛んでいった。
隊長さん、ごめん!
「えーーい!」
隊長さんの後ろまで走ってきてた僕は、隊長さんの背中を蹴って飛び出し、両手で槍を持って飛び込むように突き出す!
ギャガガガ!
僕の持っていた槍は、隊長さんの時よりもあっさり、砕けていった。
「なんだ?」
鎧の人は戸惑っているようだ。僕が子供だからか? でも、そんなの関係ない!
「こんなものぉ!」
槍の柄を捨てて、渾身の力を込めて、光の壁があるところに右手の爪を立てて振り抜く!
バリィィイン!!
「なに!!」
光の壁が砕けた! 鎧の人も驚いているようだ。
喰らえもう一撃!
お前は、、お前は僕が倒す!!
◇◆◇◆◇
サウザーラ兵の隊長を倒した後、その後ろからいきなり茶色の毛玉が飛び出してきた!
なんだ?! 子供?
よく見ると獣人の子供だ。小さな体に似合わず、凄まじい気迫で突っ込んでくる!
バリィィイン!!
なんだと! こいつ、玄武様の加護を爪で引き裂いた!!
『タロー! 油断すんじゃない! こいつ、獅子獣人だよ!』
憑依している白虎様が、頭の中で語りかけてくる。
『え? 獅子? この仔犬みたいのが?』
その間にもこの小さな子供は俺の周りを飛び跳ね、爪と牙を突き立てようとする。
『ほら、油断すんじゃない! この子の爪は特別な効果があるよ! あたしが倒そうか?』
『いや、いい』
「ウォォウ!」
正面から小さな手の平を目一杯広げ、金色に光る爪で襲いかかる獣人の子供、よく見るとその体もうっすらと光っている。
爪が俺の体に届く前に右の拳を振り抜くと、クロスカウンターで顔に入った! ゴギャ、と嫌な音を立てて子供が吹き飛ぶ。
ゴロゴロ転がった後に、動かなくなったかと思ったら、、真上に跳ね上がった後、手足で大地を掴むように四つん這いで構え、血を吐きながらまた突撃してきた!
「フゥーー!!」
突撃してきたところを左手で『のど輪』をかまして首を掴む、両手両足を振り回して爪を立てる獣人の子供。ギャリギャリ音を立てて左手の籠手に傷がつく。
「もういい! 寝てろ!」
左手で首を掴んだまま地面に叩きつける!!
そしてそのまま絞め上げた。
首筋の脈を抑えられ、獣人の子供の力が急速に抜けていく。
「おかぁ、ん、、
ごめ、
まも、なく、、て、」
「!!」
くそ、、
他の兵達を斬り伏せた花蓮が俺の元にやってくる。
「殺したの?」
「いや、首を締めて気を失わせただけだ、、」
「大丈夫?」
「…ああ、、大丈夫だ」
獅子獣人の子供を猫つまみして左手にぶら下げながら、降参した兵達のところへ行く。
こいつら、全員が獣人で殆どが上半身裸、似たような鉄の輪を体のどこかにつけている。
「こいつの保護者はいるか?」
「は、はい、保護者というか、2人で組んでいました。なにとぞ、なにとぞそいつに御慈悲を、、」
灰色の痩せた狼のような獣人が地面に両手をつき頭を擦り付けて懇願してきた。
子供を地面に寝かせ、、スコップを構える。あちこちから「ひっ」と小さな悲鳴が上がった。
キキン!
スコップを振ると、子供の足についた鉄の輪と、狼獣人の左手についた鉄の輪が2つに分かれて、ゴトッと落ちる。ついでに、、
キキキン!!
奴隷達の間を一瞬で走り抜け、全員の鉄の輪を切って回る。
「ガルドワン!」
「はっ!」
「こいつらを地下に連れて行き、メシを食わせてやれ!」
「ははっ!!」
「お前、チャウチャウじゃなくって、獅子だったのかよ、、」
ガンテは気絶したままのチャウツーを優しく抱き上げて、ガルドワンが案内するまま付いて行った。
◇◆◇◆◇
「うーん、予想外だったなあ」
俺は塔内の会議室で、みんなとテーブルを囲んで作戦会議を練っていた。
「うん、場内に敵を引き入れて数を減らすつもりが、ねぇ」
クナイを指でクルクル回しながら応える花蓮、危ないやつだな、、飛んでったらどうすんだ?
「もっとこう、ぐわーっと攻めてきて、城内に引き込んで有利な状態で、うおーっと戦って、敵が怯んだところを、うりゃーって攻め返す作戦がなぁ、、」
大げさな身振り手振りで擬音の多い表現ながらも、分かりやすい解説をありがとう、幹宏。
「陣地の敵も少な過ぎるし、ひょっとして、砦だと思われてないんじゃないのか?」
花蓮とは対照的に姿勢良く座った咲夜が言う。
そこへサウザーラ兵の捕虜を尋問してきた照夫が会議室に入ってきた。
「生き残った兵士から聞いてきたぞ、やっぱりラフェリア軍だとは思われていないらしい。彼らは迷宮攻略隊だと言っていた」
「やっぱりそうかぁ、、」
テーブルに突っ伏す俺、、
「うっかりタローだね、だから看板作った方がいいって」
くそ、花蓮め、人を八兵衛呼ばわりしやがって。
「うーん、今日はもう遅いから、明日だなぁ。看板の件は今晩中になんとかしておくよ」
◇◆◇◆◇
そして翌朝、、
「殿下! 大変です!」
「どうした、爺、迷宮から魔獣でも出てきたか?」
「そ、それが、、迷宮の城壁をご覧ください!」
「ん? なんだあれは? 文字?」
朝日の眩しさに目を細めながらシュルマイアーが見たものは、、高さ10mほどある城壁に、幅100mほどに渡ってこの世界の言葉で書かれた、
『ラフェリア軍 サウザーラ攻略基地』
という文字だった。
お読みいただきありがとうございます




