67 必勝祈願
「そう言うわけで、エオリア軍をクビになったからよろしくな! 太郎!」
スッキリした顔で挨拶する幹宏、
「お前なぁ、クビになったって、、」
「いや、実のところ、円満退社だ。オーリ8世は退職金もだいぶ弾んでくれたしな」
ニンマリと笑いながら照夫が横から言ってくる。
「え? まさかお前ら全員、、」
「「「「「ラフェリアで雇って下さい! お願いします! 社長!」」」」」
陛下だの殿だの言われてるところに今度は社長かよ、、まったく、
「うちは零細企業だから給料安いぞ」
「私らも頑張って稼ぐから大丈夫!」
胸を張って答える花蓮
「でかい国に狙われてるから安全とも言い難いし」
「死闘なら任せろ、いくつもかいくぐって来た! ラフェリアを守って見せる!」
腰の銀の筒に手を当てて、堂々と答える咲夜
「まだまだ開拓中だから、みんなで畑を耕すこともあるし」
「任せて! 土魔法に水魔法大得意! それに、、じゃーん」
茶色の袋を出してくる浩二
「なんだ、それは?」
「ふっふっふ、、苦労して手に入れた種籾だあ!!」
薄茶色の粒を袋から出しながらドヤ顏で答える浩二
「「「おおーー!」」」
「エオリアでときどきピラフが出た時があったでしょ、この辺では栽培されてないけど、近くの沼で自然に生えてるものを採取するって聞いたんだ、で冒険者ギルドに依頼してとって来てもらった訳! 僕、農家の息子だから育て方も知ってるしね。
というわけで社長、田んぼ作る土地ちょーだい」
浩二のやつ、農業の話となると生き生きとしてるな、それよりも、、米が食える!
「やる! 土地ならいくらでもやる! 頼んだぞ農林水産大臣!」
「やりい! 大臣のポストゲット!」
「わかったよ、こちらこそよろしく頼むよ、ラフェリアで働いてくれ」
そう言って5人に頭を下げる。
「「「「「こちらこそよろしく!」」」」」
こいつらがいれば心強い事この上ないな、有難い。
「で、タク、お前達も?」
「僕たちもラフェリアで働きたいのは山々なんですがねぇ、残念ながら今回は護衛の仕事なんですよ、太郎君」
そう言って横に目配せをすると、そこにはエオリア王国の外相のカルロンさんがいた。
「カルロンさん、ようこそ、今回はどのようなおもむきですか?」
「タロー陛下、ラフェリア建国、誠におめでとうございます」
そう言って深々と頭を下げるカルロンさん。
「これはこれはご丁寧に、ありがとうございます。お話は城でお伺いした方がよろしいですか?」
「いいえ、タロー陛下は形式ばったものより話が早い方が好まれるでしょう、先に本題をここで話させて頂きます。此度のサウザーラとの戦争、エオリアはラフェリアに付かせていただきます。さらにこれより物資を積んだ馬車が来ますので、どうぞお納めください」
そうか、オーリ8世はこちらについてくれたか。有難い。
「オーリ8世には感謝してもしきれません。どうぞそのことをお伝えください」
「いえ、私はしばらくラフェリア軍とともに行動させていただきたいと思います、我が陛下より、ラフェリア軍と共に行動し戦いを見て参れと言われました」
…正気か? 圧倒的な兵力差なことはわかっているだろうに、、
「カルロンさんはサウザーラ軍の兵力はご存知ですか?」
にこやかに聞いてみる。
「総兵力は、王都の守備兵を入れると、10万とも言われております。このうち、他国との戦闘において出てくるのは、3〜5万程度でしょう。サウザーラの陣容に関する資料は我が陛下からテルオ殿に渡されております」
「そこまで気を使われて、、有難いことです。ところでラフェリアの兵力はご存知で?」
「失礼ながら200といったところでしょうか? このうち戦線に出るのは、、タロー陛下、もしや100を切る兵で赴かれるおつもりでは?」
「さすがカルロンさんは鋭いですね。総兵力はあっております。出陣する兵力は、、後のお楽しみということで」
「ふふ、絶望的な兵力でも、タロー陛下がいればまったくそうは思えないから不思議ですな。考えてみれば烏合の衆が100万いても、あのデザートドラゴンは倒せないでしょうしね」
「はっはっは、買いかぶりすぎですよカルロンさん、さ、城へどうぞ、長旅で疲れたでしょう」
「お言葉に甘えさせて頂きます。しかしタロー陛下の作られた道はすごいですな。エオリアもタロー陛下の作られた道から北側を作って繋げたのですが、、
いや、結構立派な道なんですよ、それでもエオリア側では馬車はガタゴト揺れ、タロー陛下の道に入った瞬間からは揺れがなくなり、まるで氷の上を滑るように走りまして、、、」
「はっはっは、そうですか、今度エオリアの王城までの分も舗装しますよ」
「これはこれは、適正価格でお願いしますぞ、安すぎて我が国の土木従事者が廃業しても行けないし、高すぎで国庫が空になっても行けませぬからな」
「さすがカルロンさん、国のことをよく考えてらっしゃる」
カルロンさんとの話は、ラフェリア城の応接室でお茶を飲みながらもしばらく続いた。
◇◆◇◆◇
翌朝、、
俺は朝早くから城の地下で井戸水を頭から被り、身を清めていた。雫からタオルを受け取り、体についた水を拭き取る。
「さあ、行こうか、雫」
「はい、太郎さん」
城の玄関に立つと、このラフェリアに住まう人達が皆集まっているのが見えた。そのうち、兵として選ばれた200名は、神社の境内で胡座を崩した形の立膝で座って整列していた。最前列の左側にはエオリアから来たカルロンさんやタク、柳田、他数名が座っている。右側には、照夫達が座っている。その空いた中央を、俺と雫は静々と進んでいく。
そして神殿の前で二礼二拍手一礼をし、祈願する。
「東の青龍様、南の朱雀様、西の白虎様、北の玄武様、ここ、ラフェリアの地をお守りいただき、誠にありがとうございます。この度ラフェリア国は大義を通すため、この南にあるサウザーラと戦をすることと相成りました。願わくばご加護をいただき、我らに必勝をもたらしたまえ」
神殿の中より膨れ上がる神気、四神が降臨された。俺が腰を90度に曲げてお辞儀をすると、後ろでザザザッ、と音がしてラフェリアの民が全員頭を下げるのがわかった。
「青龍様、朱雀様、白虎様、玄武様、ラフェリアは隣国のサウザーラと戦うこととなりました。ここにいる者達に何卒ご加護を、そしてこのラフェリアをお守りください」
「…あいわかった。この地とその民に加護を、、」
この声は朱雀様だ。神殿より五色の光がほとばしり、直径数キロにも及ぶドーム状になってこの地を覆った。
「皆、いずれかの加護を得たであろう。慢心せず励め」
「「「ははーっ!!」」」
チラリと振り返って数人を鑑定してみると、みんないずれかの神の加護を頂いていた。ドワーフたちは玄武様の加護が多く、獣人はみんな白虎様の加護を頂いていた。
御簾の向こうで白虎様が「づがれた〜」とか言ってるのが聞こえる、、、、まあ、ラフェリアの住民は獣人が一番多いからな。
「ありがとうございます、これで安心して戦いに赴く事が出来ます」
「時に太郎よ、お主、その腰ミノの格好で戦に行くつもりではなかろうな?」
御簾の向こう側から朱雀様に声をかけられた。
「え? あ、はい、普通の服ではすぐに千切れ飛んでしまうので、私はこのままで、、」
「……ちょっとこっち来や!」
多少怒気を含んだ声と共に、御簾の中から、ぬっ、と鷲のような鋭いかぎ爪のついた巨大な手(脚?)が出てきたと思ったら、、
あだだだだ! 頭を丸ごと掴まれて簾の中に引き込まれた!
「あだだだだ! 朱雀様、ちょっと」
「うるさい奴じゃ! じっとしておれ! 妾達の神主が戦場で舐められるなど、あってはならぬ!」
ザクッ!グサッ!
「ぎゃー!」
「もう少し我慢できんのか?!」
いや、背中になんか刺されてめっちゃ痛いんですけど!
「ほれ、次は玄爺じゃ!」
「ふぉふぉ、ようやく太郎にこれを授ける時が来たか」
玄武様が多角形で作られた大きな甲羅の様な石を抱えて持ってきた。石はいきなりバラバラに分解して大小多数の黒い板になった後、空中を浮遊して俺の体の周りに張り付いていく。
「次は僕だね! 腰ミノは邪魔だから取っちゃえ!」
「あ、いやん、白虎様、そこは、、」
「ほらほら、怖がらなくって良いからね、おねーさんに任せて!」
後ろから俺の腰に抱きつく白虎様、当たってる当たってる! ちっこいけど大きな白虎様、、
「青龍! 酒ばかり飲んどらんと、、」
「俺の方はもう出来てる、受け取れ、太郎」
青龍様が片手でスコップを渡してくれる。クールな顔をしているが、もう片方の手はもちろんお酒入りのコップを、掴んだままだ。
「さて、完成じゃ! 皆に見せて来や!」
ドンッ、背中を蹴られて簾の中から叩き出された俺を、みんなポカンとしたような顔で見上げてくる。
「あー、ちょっと派手じゃないかな?」
「「「「うぉぉぉおおおお!!」」」」
「タロー陛下、バンザーイ!」
「おおお! なんと猛々しくも神々しい!」
「後光が、後光が差しておりまする!」
「スゲェ! マジヤバイっす!」
「キャー! タロー様ぁ!」
俺に向かって地面が揺れるほどの歓声を上げるラフェリアの人たち。長老達は滂沱の涙をながし、ヤロー供は野太い歓声を上げ、女性達はキャーキャー黄色い声を上げて、子供達まではしゃぎ始めた。
なんか外見で注目されるって、、ちょっと恥ずい、、
タロウ タナカ
レベル154
職業:ガテン系
HP:88025/88138
MP:27806/27806
攻撃:EX
防御:EX
魔力:SS
素早さ:EX
ユニーク武器:
青龍剣スコップ改(熟練度SSS)
玄武の鎧(熟練度D)
朱雀の翼(熟練度E)
白虎の袴?(熟練度?)
スキル:鑑定SS 弓術G 土魔法S 木魔法A
ネコSS
安全第一SS(安全帽 安全帯 安全靴)
ハツリS
救命A
測量B
[ ][ ][ ]
加護:玄武、青龍、朱雀、白虎
座敷犬「ふう、やっと腰ミノ卒業させる事が出来た、、」
太郎「へっくしょい! ちくしょうめ、
遅いわ! 風邪ひいたじゃねーか!」
お読みいただきありがとうございます




