66 幹宏のケジメ
太郎がラフェリア城の謁見の間でサウザーラの使者に会い、宣戦布告を叩きつけた次の日、、
エオリアに戻った幹宏たちは王城でオーリ8世に謁見していた。
幹宏は赤い絨毯に額を擦り付けて土下座しており、その後ろには花蓮、浩二、照夫、咲夜が膝を付きこうべを垂れている。左右にはエオリアの重臣と勇者達が控えていた。
「すまねえ! オーリ8世陛下! 俺をクビにしてくれ!」
「な、なんだ、いきなり。どうしたのだ、勇者ミキヒロ?」
ゴンッ! 床に頭を打ち付けて謝る幹宏、
「許せねぇ奴らがいる! そいつらは、、俺の大切な友人達を残酷に殺した上に、ラフェリアに対して全員掃討するとまで宣言して来やがった! 俺は太郎と共にそいつらをブッ潰す! だから、だからエオリアに迷惑をかけないために俺をクビにしてくれ!」
ゴンッ!バキャ! またも床に頭を打ち付ける幹宏、今度は絨毯の下の大理石が割れたような音がした。
「サウザーラの件は聞いたが、、
困ったな、、ミキヒロをクビにするなどと、、」
現在、太郎と雫以外の勇者たちは皆、エオリアの軍籍に身を入れており、それなりの待遇を受けていた。
「すまねえ、今日までメシを食わせてもらっておきながら、、」
「いや、違うのだ、勇者ミキヒロよ、恩を返せてないのは私の方だ。あのノルエスからの撤退戦、一番最初に自ら志願してくれたのはミキヒロではないか! 今、私がこうやって玉座に座っていられるのも、ミキヒロ達5人があの時私とともに居てくれたからだ。
…勇者テルオよ、、」
「はい、陛下」
「そなた達もミキヒロと共に行くのか?」
「はい、、すみません陛下」
オーリ8世は目を閉じて深く呼吸をした後、静かに言う。
「わかった」
「「陛下!」」「お待ちを陛下!」「いけません!」
周りの臣下達が急いでオーリ8世を止めようとする。そんな臣下達をジロリと見回して黙らせた後、
「お前達の言い分もわかる。勇者はその一人一人が一軍に匹敵するほどの力がある。ましてやこの5人は文字通り死闘をくぐり抜けてきた強者達だ。だが、、私は友の旅立ちを止めることはできぬ」
そう言って玉座から立ち上がり、幹宏達の元へと降りてくるオーリ8世。
「ミキヒロ」
「はい」
「テルオ」
「はい」
「カレン」
「はい」
「サクヤ」
「はい」
「コウジ」
「はい」
「5人とも、本当に感謝する、これまで幾度も私とこの国を救ってくれてありがとう」
そう言って一人一人の手を取り、握手を交わすオーリ8世。
「ガイストス!」
「はっ!!」
「サウザーラの陣容を記した情報をテルオへ渡せ」
「ははっ!」
「カルロン!」
「はい、陛下」
「エオリアの特使としてラフェリアへ行け! タロー殿にエオリアはラフェリアに付くと伝えよ! 物資も馬車10台分用意してラフェリア城へと送れ! そして、可能であればラフェリア軍に随行し、その戦いぶりを見て参れ!」
「は、はい、陛下、承知いたしました」
「勇者シュンよ、」
「はっ、陛下」
「カルロンの護衛に何人か勇者を出してくれぬか?」
「…わかりました。私が行きたい所ですが、それは許してもらえなさそうなので、」
そう言って辺りを見回す俊介、案の定オーリ8世の臣下達が厳しい目を向ける。勇者の中でも実力がありリーダー的存在の俊介は、人質的な意味もあり王城から出ることすら容易では無かった。
「タク、そして柳田、他に数人見繕って行ってきてくれないか?」
「了解です、シュン」「うん、わかったよ」
「ミキヒロよ、我が友よ、いつでもこのエオリアに帰って来てくれ。そして帰ってきた時はこの王城を訪ねてくれ」
「ありがとう、オーリ8世陛下、また帰ってくるよ、」
「ああ、そなたらの行く先に、神の加護のあらんことを」
こうして幹宏、照夫、花蓮、咲夜、浩二の5人はエオリアを離れ、ラフェリアへと向かった。
お読みいただきありがとうございます




