57 おまつり
四神様たちによってラフェリアの地が祝福され、宴が始まった。
青龍様は、ほとんどつまみに手を付けないまま、ぐびぐびお酒を飲んでいる。相変わらずだな、、、
朱雀様は、人の腕ほどもある干し肉の塊をグワッと掴むと、ガブリと喰らいついては噛み千切り、ゴクンと飲み込んでいた。そしてその合間にワインを一口飲んでいる。玄武様の言った通り、肉食系女子のようだ、、
白虎様は「これうめーな! これうめーな!」と言いながら、クッキーやフルーツパイ、シフォンケーキの類をガツガツ食べていた。本当に甘党なんだ。
玄武様は、と言うと、乾き物をポリポリかじりながらゆっくりとお酒を飲んでいる。そして舌鼓を打ちながら喜んでいる他のお三方を見ながら目を細めていた。
「太郎よ、感謝するぞ、我らの信仰が失われて幾百年、我ら四神が現世で再びこのように集まれるとは思わなんだ」
しみじみと語られる玄武様
「いえ、私の方こそ感謝してもしきれません。玄武様のおかげでみんなを守ることが出来ました」
「うむ、これからもよろしくのう」
「はい、こちらこそよろしくお願いいたします」
「タロウ兄さん、シズク様が準備できたって」
社殿の中で四神様たちの対応をしている俺のところに犬獣人の少年シウバが教えに来てくれた。
「お、そうか、じゃあ始めてくれ」
「皆様、これよりラフェリアの民による舞を奉納させていただきます。よろしくお願いします」
「ほう、舞い、とな」
朱雀様が肉へのかぶりつきを止め、ハンカチで口を拭われた。社の前に設けられた舞台を見る真剣なまなざしにちょっと冷や汗が出る。大丈夫かな?
タンタカトントン♪
タンタカトントン♪
四角い木製の椅子に座った大柄な犬獣人のガルドワンが、椅子の表面の板をリズムよく叩き始める。
そしてそのリズムに合わせて、、
雫を先頭に腰ミノを付けた女性たちが舞台に上がってきた!! 何やってんの? うちの奥さん?!
上半身はタオルみたいな布を胸の中央で一回ひねって背中で結んだブラ、頭には花の冠、首からも花を編んで作った首飾りを下げている。
そしてゆったりとした踊りを、、、フラダンス?!
雫を中心に、猫の獣人のミーシャ、犬の獣人のターニャとそのお母さんのティニャ、他にも狐や熊の獣人の女性、エルフやドワーフの女性、、、
みんな上手だ、、なんか最近雫が女性陣集めてコソコソやっていると思ったら、これの練習してたのか!
あ、柳田が「モフモフのダンス、はぁはぁ」とか言いながら舞台によじ登ろうとして、尾崎君のマグネに拘束されてる、、マグネが伸び切って引きちぎられそうだ。すまんねタク、その猛獣頼んだぞ。
四神神社の周りでは、奉納の舞が始まるとともに、屋台が解放されていた。屋台の食べ物は無料だが、一度に渡される量は限られている。
「はーい! リンゴ飴はこっちだよー! 一個ずつねー」
「ポタージュスープ飲む人は器持ってきてねー」
「各種お肉の串焼きあるよー、一人2本までだからねー」
人々は思い思いに食べたいものの屋台に並ぶ、その中で一番の人気は、、
「おう、アップルパイ、焼きあがったぜ!」
フルーツのパイやシフォンケーキ、チーズケーキを提供している幹宏のスイーツ屋台だ!
こっちの人には、甘いものはめったに食べられないものでぜいたく品だ。
屋台に並んだ子供たちのキラキラした目が、白い円筒型の帽子をかぶった白衣の幹宏に注がれている。
「おいしーー!」「あまーい!」
「すごいすごい! なんでこんなすごいの作れるのおじちゃん!」
「おじ、、、まあ、いっぱい練習すれば作れるよ」
おじちゃん呼ばわりされた幹宏が、あまりにキラキラした目に文句も言えず引きつった笑いで答えていた。
タンタカトントン♪
トトトトトン♪
お、舞台での奉納の舞が終わったようだ。
「よき舞であったぞ! 妾が褒美をとらす! 近こう寄れ」
そう言って朱雀様が席を立たれる。
雫を始めとした踊り子たちが舞台を降り、社の前に並び、こうべを垂れる。
「『再生の光』!!」
そう朱雀様が叫ばれると、差し出された掌から赤い光が飛び、踊り子たちの胸に吸い込まれていった。
「もし、そなたたちに危機が訪れてでも、妾の加護により一度だけ復活するであろう! だが気をつけよ、一度限りである故、何度も死に陥るような危機には近づくではないぞ」
「「「ありがとうございます、朱雀様」」」
そう言って平伏する踊り子たち。
「ありがとうございます、朱雀様」
「なに、舞いの奉納は我ら神の力を高める。だからと言ってここにいる全員にこれを行き渡る分は無理であるがのぅ、、、」
そうか、、信仰や奉納によって神様たちは力を得、我々に加護や力を与えてくださるという図式なのか、、
「よーし、ボクも褒美を与えるぞ~!」
白虎様だ。
「この『かすたーどあっぷるぱい』とやらを作った料理人は前に出よ!」
おっと、幹宏か
「お〜い、幹宏! 忙しいだろうがちょっとこっち来てくれ!」
「おう、どうした、太郎?」
「白虎様がお前のスイーツに褒美を与えると」
「え?」
「うむ、ミキヒロ、そなたのすうぃーつは見事であった、よってボクから『最狂獣戦士』のスキルを与える! 攻防速が10倍になり戦場の敵味方すべてを殲滅するまで暴れまくるスキルだ!」
「「「「「やめてください、お願いします」」」」」
こればかりは幹宏以外のチームノルエス救援隊のメンバー4人に俺を加えた5名で土下座して止めてもらった。
「む〜、そっかー、、う〜んじゃあどうしよう、ボクが与えるスキル、ほとんど戦う物ばかりだし、、後は『風雪』ぐらいしか、、」
「『風雪』ですか? 白虎様」
「うん、風を吹かせる力と氷や雪を降らせたりするスキルだよ」
「是非その力をいただけないでしょうか?! 冷やす方だけでも!」
うおう、幹宏が食いついた。
「うん、いいよ! ミキヒロ! そなたに『風雪』のスキルを授ける!!」
「ははぁー!」
ノリノリだな、幹宏、、
白虎様の肉球から白い光の玉が飛び出して平伏する幹宏の背中に吸い込まれていった。
そして30分ほど後で、、
「白虎様! 是非ご賞味下さい!」
お盆の上を持って社の中へと入ってくる幹宏、お盆の上にはコップが乗っておりそこになにかが差し込んである。
なっ!! お前、まさかそれは!!
「ん? なんだ、これ? どうやって食うのだ?」
「その円錐のパン生地を持って上からガブリとどうぞ!」
白虎様が、逆さまの円錐状に丸めた薄いワッフルを持ち、上に乗っている白いクリームにパクリと食いつく。
「ん〜〜〜!!」
バンバンバン! と俺の背中を叩く白虎様、ていうかこのツッコミ(?)常人なら即死クラスだな、、当然『安全靴』はオートで発動され、ガインガイン音を立ててる。
「ん〜! ん〜! ん〜!」
「白虎様?」
「あんまぁ〜い! つめた〜い! んまぁ〜い!!」
やっぱソフトクリームか、、あのやろう、なんてもん作りやがる。文明レベル考えたら、いきなりこんなの出したらアカンだろ。
まあいっか、、
太郎:「あ、あいつなんてものを、、」
照夫:「土建チートの誰かさんに比べりゃかわいいもんだと思うがね」
太郎:「ぐう」
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