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奪われた惑星

1500年前


突如現れた悪神により、世界は掌握された。


悪の心を持ったものたちの信仰によって支えられた悪神は正義神を討ち滅ぼすべく最後の殲滅作戦を開始する。


この広い星々に辛うじて存在している良心を持つ存在は存続の危機に立たされた。


力をなくした正義神はなけなしの力を振り絞り、信仰を捧げる民へと訴えた。


我々は悪を討ち滅ぼさねばならない。

そして、この世界を真の正義に満ちた世界に変えよう。

そのためにはそなたらの力が必要だ。

悪を滅ぼし、この国に正義の民で覆い尽くすのだ。


そして、我々の戦いは始まった。


我々の祖先は命をかけて祖国を守った。

そして、悪を滅ぼしていった。


時は流れ、現在(いま)。


祖先の努力により悪の領域の三分の一を制圧した。


だが、まだ足りない。


悪神はまだ、正義神を蹂躙しているのだ。


この世から、悪を根絶やしにし、正義を取り戻さねばならない。


ようこそ、被簒奪世界(ディプライブドワールド)へ。


君たちの未来に正義の加護のあらんことを




視界が暗転すると、前回のセーブ地点の映像が視界に映る。


第二の勝利の街、エクトバタナ。


晃(あきら)はその中央の大きな光球の前に立っていた。


周りには数々の冒険者がたむろし、美人やイケメンどもが楽しくおしゃべりをしている。


当然といえば当然だ。


彼らの顔は自らの理想を映し出したものなのだから。


詳しい仕組みは明かされていないが、脳波を直接測りとりそこから、個人の憧れを抽出するらしい。


そして、それは晃も同じだった。


彼の顔はあまり焼けていない肌に優しそうな顔だ。笑うと愛嬌が出る。異性にモテるのは目に見えている。


では、ここでは一体何が異性を選ぶポイントとなるか。


それは性格だ。いや、正確に言えば異性を満足させる技術だ。


残念ながら才能の差は出てくる。当然のことだろう。小さい頃からそれを経験できたかどうかは環境の差によるのだ。


さすがに腕輪のシステムもそこにまで干渉しきれない。


だから、構築されたシステムがある。


対話技術更正プログラム。通称、コミュニケーションミッション。


それを使って強制的にラブラブコメコメさせるのだ。


そんなの理不尽だと言われそうだが、そこは仕方がない。


自分の能力に自信のない人々がそれで救われるのだ。みんな納得済みのことだろう。


さて、そんなこんなで晃にも3つほどミッションが届いていた。


なるほど、ここ数日、異性としゃべることをサボっていた彼にツケが回ってきたというわけだ。


「ったくよー。正直言って女なんかビッチばっかじゃん。どーして、興味もない奴らとイチャイチャしなくちゃなんないのかねー」


彼はそうひとりごちつつ、ボーダーゾーンと呼ばれるフィールドへと向かった。


第二の勝利の街とは、設定でいうご先祖様の中の勇者様が魔王軍の幹部を倒して一気に領地を急拡大させた土地の中心として栄えた町だ。


国境地帯付近では、フェンスも何もないのでいつでもどこでも魔物が襲ってくる。


だから、その土地を守るために晃のような冒険者はボーダーゾーンへと赴き、魔物達のお掃除をやっちゃうのだ。


まぁ、三分の一の領土回復とは建前で、現在は半分以上冒険者が安全に狩を行える場所になっている。


トッププレイヤーは魔王城の前まで行ったとかそんな噂まである。


ともあれ、晃はワープゾーンを通じて、ボーダーゾーンへと足を踏み入れた。


綺麗な青空、そして、青々と茂った芝生。


見通しのいい土地で、所々に魔物がいるのが分かる。


「あー、そういや、ミッション受けるの忘れてたな……。まぁ、コミュミッションはあることだししゃあねぇ。ここでいっちょ片ずけてやりますかね」


通常ミッションはギルドまで行かないと受けられないのだが、もう、ボーダーゾーンまで来てしまった。


また、帰るのも面倒な距離なのだ。


そう思いなおして、手じかにいるモンスターをゴミのように惨殺していく彼は女の子のサーチを開始した。

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