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〜リーゼロッテさんはひきこもりたい! Reboot(異世界で優雅なスローライフを目指すのです!)〜  作者: 柚亜紫翼
1章 りーぜろってさん(Side-12)

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1-08 - じけん -

1-08 - じけん -



「コナンザ、お茶会はどうだった?」


昨日コナンザはお母様に連れられて王妃様とその友人達が集まるお茶会に参加していたのですが・・・戻ってから様子がおかしいのです。


私のお母様は王妃様とは幼馴染でとても仲が良く、時々お茶会に呼ばれます。


王妃様のお名前はアリシア・エスピル・ローゼリア、国王陛下と結婚する前のお名前はアリシア・ウンディーネ様、39歳貧乳、金髪の美女で国王陛下を尻に敷いているエテルナ大陸影の最高権力者と噂されています。


なんでも幼い頃両親に連れて行ってもらったウンディーネ家のパーティで当時上級貴族のご令嬢だった王妃様から声をかけられたのだとか。


「タイが曲がっていてよ」


場所は格調高い上級貴族である王妃様の実家、服装の乱れを注意されたのだと思ったお母様はその場で泣き出してしまったのです。


実はその時お母様の服装はきちんとしていて乱れは無く、小心者の王妃様は気に入った令嬢にそう言って話しかけるきっかけを作っていたのだとか?。


慌てた王妃様は自分のお部屋にお母様を連れて行き誤解を解いて優しく慰めたそうです。


それ以来お母様は王妃様にとても懐き「ごきげんようお姉様」「ごきげんようマリアンヌさん」と呼び合う仲なのです。


「お菓子は美味しかった?」


「うん・・・ぐすっ」


やはり様子がおかしいのです・・・。


「・・・私の事、誰かに言われた?」


「そ・・・そんな事ない・・・よ」


あ、視線を逸らして挙動不審に・・・コナンザは嘘が下手なのです、こんな調子で次期当主が務まるのかお姉ちゃんは心配だぞ・・・。


あまり強く問い詰めると泣き出すので優しく聞いてみると・・・王妃様の友人が連れて来た娘の一人から私の悪口を言われたのだとか。


「王女殿下を守って怪我をした事を盾にして、殿下に纏わり付く卑しい傷物令嬢」


反論しようと思ったけれど気の弱いコナンザは何も言えずそれが情けなくて自己嫌悪に・・・って感じかな。


「お姉ちゃん、そんな人じゃないのに・・・殿下とも本当に仲がいいのに・・・ぐすっ・・・悔しくて・・・」


「はいはい、もう泣かないで、私は何を言われても平気だからコナンザも気にしないで」


「・・・でも」


「お姉ちゃんを馬鹿にした奴らはそのうち「ざまぁ」してやるから今は何もしなくていいよ」


「だ・・・ダメだよ殺しちゃ!、お姉ちゃん捕まっちゃう・・・」


コナンザの中で「ざまぁ」っていうのは「コンクリ詰めにして沈める」くらいに思ってるのかな?・・・でも面白いから訂正しないでおくのです。









こんにちは、リーゼロッテ・シェルダン12歳です。


お茶会でコナンザが女の子に言われたように私は一部の貴族達から「傷物令嬢」と言われているのです。


確かに私の身体には沢山の傷があって左目は見えてないし杖が無いと上手く歩けません、この傷を負った事件が起きたのは私が10歳の時でした。



当時、私の住むローゼリア王国で魔力量の多い人達が襲われる事件が多発していたのです。


後に「呪いの刃事件」と呼ばれるようになるこの事件は多くの犠牲者を出して王国だけでなく大陸中を震撼させました。


犯人は複数、凶器は赤い刃物・・・古代遺物と思われるその刃物には謎の呪いが込められていて斬られた人は寝たきりになったり亡くなったり・・・。


生き残った被害者の症状で共通しているのは魔力を使おうとすると激しい痛みに襲われるのです。





最初は騎士団を中心に大人の被害者が多かったのですが・・・私が10歳になったばかりの頃、第二王子殿下の婚約者や友人を選ぶ為に開かれた夜会で事件が起きました。


ヴィンス第二王子殿下と年齢の近い貴族の子供達が王城に集められた夜会に大勢の刺客が警備を振り切って乱入し次々と参加者に襲い掛かったのです。



この襲撃で子供達の約半数とヴィンス王子殿下が負傷、殿下は怪我の療養の為に今後は表舞台に立つ事は無いと言われています。


年齢的に夜会に参加している筈の私は「知らない人がいっぱい居る夜会は嫌ぁ!」と泣いて嫌がり参加しなかったので無事でした。





実は犯人・・・というか黒幕はここしかない!、という国があるのです。


エテルナ大陸のお隣、ギャラン大陸の北側半分を占める大国・・・デボネア帝国。


悪い皇帝陛下が支配していてエテルナ大陸の国々へ何度も侵略を企て破壊工作をしている厄介な国なのです。





ローゼリア王国を含むエテルナ大陸の国々は同盟を結んでいて他の大陸から侵攻された時には報復すると宣言しています。


デボネア帝国としてはエテルナ大陸に侵攻したいのに攻め込むと魔法騎士団によって大規模破壊魔法を撃たれて国が更地になる、だから魔力のある人間を減らして魔法を撃てなくしようと考えているのではないかと言われているのです。


あくまでも「そうではないか」と疑われている段階なので、証拠も無いのに帝国をプチッてやっちゃうと国際的に悪者はうちの王国になってしまうから何もできないとお父様が言っていました。




襲撃の後、激怒した国王陛下は全力で犯人を捕らえるよう騎士団に命じます。


騎士団による大規模な捜索の結果、間もなく夜会を襲撃した武装集団が見つかりました、潜伏先を騎士団に囲まれ犯人全員が自害して事件は謎のまま一度は解決したかに見えたのですが・・・。


私も巻き込まれてしまった第二の事件が起きたのです。





私に出来た初めてのお友達でこの国の王女様でもあるリィンちゃん・・・リィンフェルド・フェリス・ローゼリア殿下が襲撃の直後、護衛の静止を振り切って夜会会場に来てしまい現場の惨状を見て倒れたのです。


何でそんな事を・・・と思って理由を聞けばリィンちゃんは私も夜会に出ていて被害に遭ったのではないかと思ったのだそう・・・。






事件から10日経ったのにまだ怯えて部屋に引き篭っているリィンちゃんが心配で、私はお城・・・リィンちゃんのところへお見舞いに行ったのです。


「リィンちゃん大丈夫?」


「・・・今は昼間だから怖くないの、でも夜が怖くて」


リィンちゃんは私の顔を見ると喜んでくれて、一緒に中庭でお茶をして楽しく時間を過ごしていたのですが・・・その時に事件が起きたのです。



がさっ・・・がさがさっ!


「リィンちゃん!」


ざくっ!


「ぐっ・・・」


「いやぁぁ!、リゼちゃん!」



・・・夜会に続く第二の襲撃は王族を狙ったものでした。


時間を知らせる鐘の音を合図に国王陛下、王妃様、第一王子殿下が襲撃されたのです、でも警備していた騎士様がすぐに鎮圧。


そして同じ王族であるリィンちゃんも私とお茶をしている時に襲われました、他の王族と違って運悪く警備している騎士様が交代している一瞬の隙を突かれてしまったのです。




木の影から飛び出した刺客がリィンちゃんに襲い掛かるのを見た私は咄嗟にリィンちゃんに抱き付いて庇ったのです。


私は背中を刃物で斬られリィンちゃんは悲鳴を上げました、交代の為に引き継ぎをしていた騎士様が気付いたけれど距離が離れています。


刺客が再び刃を振り回して襲い掛かって来たので私はリィンちゃんをテーブルの下に押し込み盾になりました。


「ダメ!、リィンちゃん出てこないで!」


ざくっ!、ざくっ!


「わぁぁん!、痛いよぉ!」


ざしゅっ!、どすっ!


テーブルの下で泣いているリィンちゃんに覆い被さる私が邪魔なのか、刺客が私の左足を掴んで何度も刺しています。


「あ、ダメだ、私死ぬかも・・・」


ようやく騎士様が駆け付け、激しく抵抗する刺客を斬り殺したところで私は意識を手放したのです。






私が目覚めたのは襲われて7日後の朝でした。


目が覚めた後も刃物で傷付けられたところが酷く痛んで眠れない毎日が続き、食欲も無く衰弱していったのです。


私の負った傷は本当なら呪いによる激痛でショック死するか発狂してしまうような重傷・・・両親はお医者様から長くてもあと数日の命だと言われたそうです。


「痛くて我慢出来ないのです・・・そうだ、魔力切れになって気絶したら眠れるかも?」


そう思って何気なくやってしまった魔闘気プシュー!、が医療の世界を震撼させる大発見になるとはこの時の私は思っていなかったのです・・・。


「ふはー!」


しゅこぉぉぉ・・・


「あれ?、傷が痛くなくなったのです・・・」


こぉぉぉぉぉ・・・


むくり・・・


「起きても痛くない?・・・」


くぅぅぅ・・・きゅるる・・・


「お腹が空いたのです・・・」


私はベッドの脇に置いてある果物を見つけて食べ始めます。


しゃくしゃく・・・


もっもっ・・・


「あ・・・魔力の循環を弱めたらまた痛くなってきましたね、もう一回魔闘気を出しましょう」


こぉぉぉぉ・・・


「ふはー!」


しゅこぉぉぉ!


ぼぼぼぼぼ!・・・


「ふふっ・・・痛くなくなりましたぁ!」


しゃくしゃく・・・


もっもっ・・・


ガチャ・・・


ベッドから身体を起こして肩や口から紫色の魔闘気を出しながら果物を貪っているとお父様とお母様がお部屋に入ってきました。


こぉぉぉぉぉぉ・・・


ふしゅー・・・ふしゅー・・・


もっもっ・・・


しゃくしゃく・・・


「リゼたん、何をしているのかな?」


お部屋の入り口でしばらく固まっていた両親が私に尋ねます。


私は口から紫色の煙を吐きながら両親に言いました。


こほぉぉぉぉ・・・ふしゅー・・・


「斬られたところに魔力を沢山流したら痛くなくなったのです!」






私がやった魔力循環と痛みの軽減を記録した資料をお医者様に見せて意見を聞いたところ、私の「呪い」に対する「処置」は非常に興味深いものとして国王陛下へ報告される事になりました。


私のように尋常じゃない魔力量の人間は殆ど居ないので他の被害者への応用は出来ないのですが、呪いの治療法が見つかっていなかった王国にとって今後の研究の手がかりとなる画期的な発見として王国の医療界を震撼させたのです!。


その後私に何の相談もなく「呪いの刃の被害者であるリーゼロッテ嬢がその身を犠牲にして(死んでないのです!)書き上げた価値ある論文!」として大陸中に公表され、「親友である王女殿下の盾になった勇気ある女の子!」みたいな事になってしまったのです!。


更に後日、私の事が小説や演劇になったり!。


「そんなの聞いてない!、私は目立ちたくないのです!」


恥ずかしくてお家に引き篭もる私に追い討ちをかけるように「娘を守ってくれた謝礼」を大量に用意して陛下が待ち構えていたのです!。

読んでいただきありがとうございます!。

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