1-07 - なるほどわからん -
1-07 - なるほどわからん -
チュン・・・チュン・・・
「んぅ・・・朝?」
「おはようございますお嬢様」
「ぴゃぁ!・・・セバスチャンさんっ、いつからそこに?」
いつもより少し遅く目覚めるとベッド脇にセバスチャンさんが立っていました、今日も笑顔だけど目が笑ってないです。
「替えの下着は必要でしょうか?」
「今日は漏れなかったから大丈夫なのです・・・っていうか寝起きを狙って脅かさないでくれたら替えなんて必要無いのです!」
「お嬢様を驚かせるのは私の趣味でございますので」
「嫌な趣味なのです!」
「それはさておき、朝食の後のご予定は?」
誤魔化されましたぁ!。
「・・・しばらくの間博士の授業はお休みだからお部屋でのんびりするのです」
「そうでございますか、では朝食の準備ができるまでしばらくお待ちください」
そう言ってセバスチャンさんがお部屋を出て行きました。
テーブルの上には濡れたタオルと温かい紅茶が用意されています・・・お世話してくれるのは有り難いけど寝起きであの整ったお顔を見せられたら心臓に悪いのです。
ベッドから起き上がって紅茶を一口飲み、身体に魔力を巡らせると傷の痛みが和らぎました。
私の傷はとある事件で刻まれたもの・・・呪い付きの刃物で斬られたので事件から2年経った今でも赤黒い傷が残っていてとても痛いです。
でも私と同じように斬られた被害者は亡くなったり寝たきりになって動けなかったり・・・私の場合は膨大な魔力で呪いを抑えているから日常生活を送る事が出来るのです。
「そういえば最近また魔力量が増えた気がするのです・・・」
毎日のように魔力を使い切って眠っているので私の魔力量は更に増えている筈・・・最初は魔闘気を2回出すと空になっていた魔力が今は10回出さないと空にならないのです!。
この魔力増量法を初めて家族に打ち明けたのは7歳の頃、私の魔力測定をした翌日でした・・・その時私に前世の記憶がある事も話したのです。
・・・
・・・
「お父様、私の魔力量の件でお話があります、お母様とコナンザも一緒に聞いてくれるとありがたいのです!」
魔力測定で衝撃的な結果が出た翌日、黙っていてもいつかはバレると思ったので私は全部話す事にしました。
「何かなリゼたん、この前言ったように将来の事は家族で一緒に考えようね、他に何か心配なことがあるのかな?」
お父様は優雅に食後のお茶を飲んでいます。
「実は私、前世の記憶があるのです!」
ぶふぉっ!
「ぴゃぁ!」
お父様がお茶を吹き出しました・・・被害者はお父様の隣に座っていたコナンザです。
ぽたぽたっ・・・
「あぅ・・・ひっく・・・・ぐすっ」
お父様の吹き出したお茶が直撃してコナンザの目から大粒の涙が溢れます・・・相変わらず可愛いな。
・・・コナンザ、人間は生きているともっと辛い事があるのです、この程度で泣いちゃダメなのです。
「ははは、またリゼたんがおかしな事を言っておる」
まだ私の話を信じてなさそうなお父様・・・私が「じぃじ」と呼んでいるオーイヴォーレー執事長が音もなく後ろから現れてコナンザとテーブルを拭いた後お茶を淹れ直しています。
「私はこことは違う別の世界で24歳まで生きた女性なのです、小さい時から前世の記憶を断片的に思い出して5歳の時には自分が死ぬ直前の事まで思い出したのです」
お父様の表情がチベットスナギツネみたいになったのです、でも私はお話を続けます。
「私が住んでいた世界では魔法は空想上のものでした、私は物語に登場する魔法使いさんに憧れていたのです」
「・・・」
「この世界には魔法があると分かったらどうしても使いたくなって・・・それでお話に書かれていた魔力増量法を試してみたのです」
ちょっと「興味深いな」って感じの顔になってきました、もう一押しなのです。
「・・・お話って?」
まだ信じてなさそうなお母様が私に尋ねました。
「魔力切れまで魔法を使って眠ると魔力が少し増えるというお話があって・・・それを毎日続けていたら本当に魔力量が増えたのです!」
「まさか・・・毎日やってたのかな?」
「2年くらい続けたら凄く増えたのです!」
「・・・」
お父様が頭を抱えました、お母様は・・・・無表情で天井を見ています!。
「でもリゼたん、普通に生活しているだけだと魔力使いきれないでしょ」
遂にあれをやる時が来たのです!。
「実際にやってみるね、ちょっと凄い感じになるので驚かないで欲しいのです!」
私は立ち上がって・・・。
「ふはー!」
しゅこぉぉぉ・・・
「これで半分くらい減ったのです、あと1回やると魔力が空っぽになるのです!」
・・・と言って紫色の煙を口や鼻、身体中から吹き出しながら両親の方を見ると・・・ドン引きされましたぁ!。
「・・・それはリゼたんが読んでいた物語に書いてあったのかな?」
「はいなのです!、胸に7つの傷のある男が世紀末の荒れ果てた大地でヒャッハー!する悪党を指先1つで爆散させる物語に出てくる人の真似をしたら出たのです!」
私の説明を聞いていたお父様が呟きます。
「・・・なるほど分からん」
まだ戸惑っているお父様達に時間をかけて前世の私・・・田中理世が死んだ時の状況を説明しました、詳しく説明すると18禁(グロ注意)になりそうだしコナンザも居るのでそこは軽く流して概略だけ。
お母様は泣き出しお父様は目を閉じて深刻そうなお顔・・・コナンザはよく分かってなさそうな表情をしています。
「・・・というわけで、男の人が震えるほど怖いのは私が殺された時の記憶があるからなのです、特に若い男性や身体の声の大きな人に触れられたらお漏らしするくらい怖くてたまらないのです!」
「・・・」
私が全部話し終える頃にはお昼過ぎになっていました、そういえばお父様お仕事はいいのです?。
「この話が世間に広まるとまずいな・・・今から城に行って陛下と相談しようと思う」
お父様によると私がやった魔力量を増やす方法は新発見だったようで、もしかすると国家機密になる可能性があると言われました。
それから、独学での魔法行使は危険過ぎるので私に魔法の先生をつけてくれる事になったのです。
・・・
・・・
「・・・様」
「・・・」
「お嬢様!」
「ぴゃぁ!」
当時の事を思い出しているといつの間にかお部屋に入って来ていたセバスチャンさんが隣に立っていました!。
「朝食の準備ができました」
私は杖を持って立ち上がり、食堂に向かいました。
読んでいただきありがとうございます!。
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