4-13 - わしのしんのすがたをみせてやろう -(挿絵あり)
4-13 - わしのしんのすがたをみせてやろう -
「いちいちご利益がしょぼいのです・・・リィンちゃん、これ本当に神様なのかな?、ちょっと怪しくなってきたのです」
私が呟くとリィンちゃんも微妙な表情で頷いています。
『これとは何じゃ、失礼な小娘じゃの、ならどうすれば信じてくれるのじゃ、金か?、もっと金が欲しいのか?』
「いや、いいのです・・・これ以上絡まれたら面倒だから信じてやるのです」
『信じておらぬな・・・ふむ、なら仕方ない・・・儂の真の姿を見せてやろう、また小便を漏らすでないぞ』
「いや、いいのです」
『遠慮するでない・・・滅多に見られぬのじゃぞ、儂とて真の姿を人間に見せるのは千年ぶりよ・・・フフフ』
・・・いいと言ってるのに自称神様のシロさんはやる気満々なのです、私は眠いからもう一眠りしたいのです、邪魔するななのです!。
チリン・・・
しゅぱぁぁぁ!
「うわまぶしっ」
チリン・・・
鈴の音がしてシロさんが光に包まれました・・・目が慣れてくると私達の前には光り輝く自称神様のシロさんが立っていました。
でもその姿は服も髪も真っ白・・・獣耳と尻尾が生えていて目だけが金色に光り瞳孔は猫のように縦に裂けています、口元には小さな犬歯・・・そして何より凄まじいのは威圧感。
静電気みたいに髪や産毛がザワザワして皮膚がビリビリするのです!。
ご利益は微妙にしょぼいけど・・・「これ」に逆らってはいけない、絶対に勝てないという本能的な恐怖を感じるのです。
『今何か失礼なことを考えていたようじゃが・・・どうだ、これで信じたであろう?』
今までは頭の中に直接囁きかけるような言葉だったのに今は魂に直接響くような声・・・まるで5人が一緒に同じ言葉を発しているような奇妙な感覚です!。
「・・・悔しいけど信じたのです」
私は目の前で無い胸を張ってドヤ顔のシロさんに言いました。
リィンちゃんも隣で頷きます・・・少し震えているのは怖がっているのかも?。
フルフル・・・
「き・・・」
リィンちゃんがようやく言葉を発しました。
「きゃーかわいい!、リゼちゃんこれかわいい!、欲しい!、飼いたい!」
シロさんに抱きついて耳や尻尾をわしゃわしゃと撫で始めました。
『うぁー、やめるのじゃ!、何でこの姿を見せたのにそんなに馴れ馴れしいんじゃぁ!』
「リィンちゃん・・・シロさん怖くないの?」
シロさんをもふり倒しているリィンちゃんに尋ねます。
「怖くないよ、すっごく神聖な感じ?、私の国の教会に居るみたいな・・・清々しくて心地いいの」
『そうじゃろう、そうじゃろう、銀髪の小娘と違ってこっちの黒髪は見どころがあるいい子じゃ、では近いうちにそこそこの額の金が手に入る金運をつけてやるのじゃ』
「わーい!」
「私と扱いが違うのです!」
『まぁ、儂をイセカイに連れて行って、向こうで依代を祀ってくれるのなら考えてやらんでもないぞ』
「・・・神様のくせに偉そうなのです」
『いや、神様だから偉いのじゃが!』
「それで、これからシロさんはどうするのです?・・・一緒にここで寝泊まりするのです?」
仮にも京都から憑いてきた自称神様に野宿しろとは言えないのです。
『あぁ・・・言い忘れとった、小娘の家の神棚に白い紙が貼ってあるじゃろ、あれを貼られると神棚から顕現できぬ、剥がしてくれんか・・・おかげで今日は近所の神社から歩いて来たのじゃ』
シロさんが指差す方を見ると天井近くの壁に祀ってある神棚に白い紙が貼ってありました。
「お葬式があったから貼ってあるのです、あれってもう剥がしていいのかなぁ・・・でも来られると鬱陶しいから貼ったままで・・・って、シロさん今日はこの家にどうやって入ったのです?」
『とことん失礼な奴じゃな!・・・普通なら壁を通り抜けるか神棚から顕現するのじゃが今日は針金を使って玄関の鍵を開けさせてもらったのじゃ!、型が古いからちょろかったぞ、危ないから早めに交換をお勧めするのじゃ!』
この自称神様、ピッキング開錠してうちに入って来たようです!。
「神様が不法侵入するななのです!・・・ここ田舎でそんなにホイホイ泥棒なんて入らないからあれで十分なのです!」
『まぁお主の家の鍵はどうでもいいのじゃ、それで、儂をイセカイに連れて行ってくれるのじゃろ、どんな所かのう、楽しみじゃ!』
「まだ連れて行くとは言ってないのです・・・月が2つあって魔法が発達してるかな」
『月が2つ・・・マホウ?・・・もしかしてそのイセカイとやらの名はローゼリアというのではないかの?』
「え!、シロ様知ってるの!」
ローゼリアという言葉に反応したリィンちゃんがシロさんに尋ねます。
『うむ・・・昔、その国から妙な妖術を使う奴がやってきての・・・何度か話すうちに仲良くなったぞ、そういえば魂の匂いがお主らと似ておったな・・・向こうの世界ではダイマドウシと呼ばれていると言っておったのじゃ』
「名前は分かるのです?」
『何じゃったかのう、ここでの呼び名が馴染んでおるから・・・待て、すぐに思い出すのじゃ・・・確かアベル・セーメインと言っておった』
その名前はローゼリア王国民はもちろんエテルナ大陸の人間なら誰でも知っている、王国の歴史を語る上で絶対外せない最重要人物・・・。
「建国の大魔導士様・・・なのです」
「日本に来てたんだ・・・でもずっと昔に亡くなったって」
『おぉ、お主たちも知っておったか、向こうの世界では有名だったと自慢しておったからな』
「その人・・・どうなったのです?」
『最近会ってないが生きておるぞ・・・少し前にバブルとやらが弾けて株や不動産で大損したと言って泣いておった、今は普通のカイシャインという仕事をやっている筈じゃ」
「生きてるんだ・・・」
『昔はこの世界でも有名じゃったな、来た当初は安倍晴明という名を使っておったが今は違う名前を名乗っておる筈じゃ』
「・・・陰陽師の人?」
『そうじゃの、奴が使っておった陰陽術とやらは向こうのマホウ?・・・が元になっておるらしいな、昔は羽の生えた蜥蜴、ワイバーン?を飼っておってな、随分と変わった生き物じゃったがそれに乗って伏見の山までよく愚痴をこぼしに来ておった・・・懐かしいのじゃ』
「あの、その人は・・・」
『おっと、話し過ぎたようじゃ・・・奴はの、昔やらかし過ぎて権力者に利用されそうになったり色々と酷い目に遭ったらしい、今は普通の人間に紛れて永遠に続く人生を楽しんでおるのじゃ、儂が勝手に喋ると叱られてしまう・・・聞きたい事があるのなら奴を探し出して直接聞いてくれぬか』
「そうなのですか・・・」
『それで、いつイセカイに行くのじゃ?、ここまで質問に答えたのじゃ、もちろん連れて行ってくれるのじゃろ?』
「あと数日したらお昼に京都へ遊びに行って、そこから戻った後向こうの世界に帰ろうと思っているのです・・・自由に行き来できるから頻繁に戻って来るけど」
『そうか・・・ならお主らがまた京都に来た日の夜この家に顕現しようかの、魂の匂いは覚えたから来れば分かるのじゃ・・・神棚の紙を忘れずに剥がしておくのじゃぞ、今度家に入れなんだらガムテープとハンマーを使って窓を割るからの』
「やめるのです!・・・割ったら通報するのです」
『ではまたの・・・』
そう言ってシロさんは消えるのかと思ってたら玄関から堂々と歩いて帰って行きました・・・。
シロさん
シロさん(狐耳+尻尾)
シロさん(神様モード)
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