4-14 - ですめたるだよりぃんちゃん -
4-14 - ですめたるだよりぃんちゃん -
「すごーい、このお部屋何?」
「スタジオっていうの、おっきな音を出しても怒られないところ、正確には十真斗さんの仕事場のミュージックスクールっていう楽器の演奏を教える所で、お休みの日に格安で場所を貸してもらってるの」
「ふーん、よくわかんないけど凄いね、壁に鏡があって楽器がいっぱい・・・」
こんにちは、リーゼロッテ・シェルダン15歳です。
私達はバンドで借りているスタジオ・・・十真斗さんの教えているミュージックスクールの防音室に集まっています、私は何度か来ているのでリィンちゃんと龍之介を連れて転移しました。
「いやぁ、十真斗さんと苺ちゃんがバンドに加入してくれるまではスタジオ借りるのも高くて大変だったんだけど、ここ貸してもらえるようになってからは今までの半額で済んでるから金銭的にかなり楽になったんだよなぁ」
敬雄くんがしみじみとそんな事を言っています。
「でもあの倉庫、そのうち買うっていう話はどうなってるの?」
うまい棒を齧りながら苺ちゃんが言いました。
「うん、でもまだお金溜まってないし手続きも厄介だから買うんじゃなくて借りる感じになりそう、ならしばらくは安く借りられるここでって思ってる」
敬雄くんが困り顔で言いました。
実はバンドでお金を出して港の端の倉庫を買おうかという話になっています、前のアルバムの売り上げや動画サイトの収益があって今のバンドには多少は余裕があるのです。
でも休日と夜しか使わないのは勿体無いから買うか借りるかで意見が分かれています。
龍之介と十真斗さんは買っちゃおうよ派、苺ちゃんは「あんな汚い倉庫買わなくていいよ、何かあった時に売れなくて手放せなくなったらどうするの」って借りる派。
敬雄くんは「苺ちゃんの言い分も一理あるからなぁ」・・・って様子見、私はまだ加入したばかりだから遠慮してどっちでもいいよ派、なんだけど確かに小汚い倉庫だなぁ・・・って思っているのです。
でも港の近くで他に民家も人の気配もなくて大きな音が出せるあの場所は魅力的・・・みんなのお家とも近いから正直迷っています。
「さて、ちょっと音を出してみようか、リィンちゃんってこれくらいの音量平気かな」
敬雄くんが愛用しているフェルナンデスのギターをアンプに繋いで「ガッガッ・・・ジャカジャカ」とリズムを刻み始めます、いつもより音量低いけれど相変わらず鋭いリズムギター・・・おっと、リィンちゃんに通訳しないと・・・。
「リィンちゃん、これくらいの音量平気?、うるさかったら音量下げるよ」
「うん、大丈夫、服がピリビリってなる大っきな音、気持ちいい」
通訳すると敬雄くんが満面の笑顔でアンプのボリュームを少し上げました。
「じゃぁ私とお兄ちゃんも入るよ」
そう言いながらこの前「バイト代で新品買ったんだぁ」と自慢してたアイバニーズのフレットレスベースを弾き始めます、苺ちゃんはベースをギターみたいに弾くからもう一人のギターって感じでかっこいい。
パートタイムでドラム講師をやっている十真斗さんはスタジオに置いてあるヤマハのドラム、持っているのはツーバスだけどこれは借り物のシンプルなワンバスのツインペダル、この人はたとえ借り物の機材でも自分の音にする凄い人なのです。
「最初はフュージョンっぽいソフトなやつから徐々に重く速くしていくよー」
私もギターの準備をします、これ1本しか持ってないお父さんのレスポールカスタムです!。
敬雄くんのギターがそれっぽいメロディを弾いて、私は後ろで地味にリズムを刻みます・・・メタルじゃないのにみんな上手いのです!。
「じゃぁこの辺でブルースっぽいやつ」
英語歌詞のボーカルは龍之介、ソロは私で敬雄くんがバックのリズムを担当します、リィンちゃんを見るとまだ余裕みたい・・・。
R&Rやハードロックのカバーが続き、みんな温まったところでメタルの激しい曲を演奏・・・リィンちゃんはまだ笑顔なのです!。
パンテラのカバーやるよ!
龍之介が神と崇めるメタルバンド、パンテラの曲を上半身裸になって熱唱!、そう、リィンちゃんに映像を見せて蛮族みたいだと言わせたアレなのです!。
リィンちゃんにはうるさくでダメだったら手を挙げてと言ってたのに笑顔で楽しそうに体を揺らしています、これはデスメタルもいけるかな・・・。
「デスメタル系いっちゃう?」
苺ちゃんの問いかけに皆が頷くと、バンドのオリジナル曲を3曲続けて演奏しました!。
「ふぅ・・・メドレーだったけど疲れたぁ・・・」
本当に疲れたのです、指がつりそう・・・。
「お姉ちゃん、まだギター再開してそんなに経ってないからね、でもこれだけ弾けたら大丈夫だよ」
龍之介が慰めてくれます、それなりに練習してたけど、みんなで合わせるのは大変なのです。
パチパチ・・・
リィンちゃんがニッコニコで拍手してくれています、気に入ってもらえたようでよかった・・・でも普通の人がデスメタルを聴かされて喜ぶのって珍しいんだよ。
「すっごーい、音がすごいの!、龍之介さんも普段の優しそうな感じから想像できないくらいかっこよかったし、みんな楽器うまーい!」
この前蛮族みたいだと言った口で龍之介を褒めるリィンちゃん・・・。
「・・・だそうです」
私が通訳するとみんなも満足そうです、普段やらない感じの曲もやったから実は心配だったんだぁ・・・と苺ちゃんが言ってます。
「リィンちゃん、これ知ってるよね」
私がギターを弾きながらドゥ・アズ・インフィニティの「深い森」を歌います。
「あ、これ!、お昼の「魔導ラディーオ」からよく流れてくる曲だぁ!、もしかしてこれ歌ってたのリゼちゃん?、何で言ってくれなかったの!」
そうなのです、私がバンドのみんなに演奏してもらった曲を録音して私の歌を入れた後、魔道具で記録した音源の試験放送として向こうの放送局でたまに流してもらってたのです。
向こうにジャスラックは無いけどそのままCDの曲を流すのは抵抗があって・・・カバーでも本当はダメだけど向こうのお家に「こんにちは!ジャスラックです!」って来ないか心配なのです!。
「リィンちゃんに言わなかったのは恥ずかしかったからだよ、もちろん本物に比べると私の方が下手なんだけどね、歌ってるのは私だけじゃなくて向こうで見つけた歌の上手い人にお給料払って放送スタジオで生で歌ってもらってるのもあるんだよ」
「でも何でリゼちゃんが魔導ラディーオの放送局で歌う事になったの?」
「言ってなかったっけ?、あの放送局ってオーニィ商会と私個人の共同出資の会社が持ってるの、私はお昼の番組の放送時間にお金を出してるスポンサーだよ、だから自由に選曲した音楽流してるの」
「わぁ・・・」
リィンちゃんが驚きで固まっています。
・・・
「さて、時間も遅いし撤収しようか、もうすぐリィンちゃんは向こうに帰るんだよね、お別れ会しない?」
苺ちゃんが提案します。
「帰るのは4日後になるかな・・・まだ頻繁にこっちに連れて来る予定だけどね、リィンちゃん原⚪︎にハマって毎日やってるの、取り上げちゃうの可哀想だし1日おきにデイリー任務やれるくらいの時間こっちにって思ってるのです」
「そっかぁ・・・ならどこかでリィンちゃんまたね!って感じのお食事会なんて、どう?」
「いいね、夜の今くらいの時間ならどこかの居酒屋を予約して・・・って未成年連れ回すのまずいかなぁ」
「お祖父ちゃんのジャズ喫茶は?、あそこ夜は閉めてるから大丈夫だと思う」
私の提案に龍之介が同意します。
「それいいね、お祖父ちゃんに聞いてみようか」
「#%$&##&=@*++”##!(リィンちゃん、みんながね、お別れ会してくれるって!)」
「&%#@_@/”#>_<!!」
「すっごい喜んでる!」
「うん、みんなありがとうって言ってるよ」
・・・
・・・
スタジオでのリハーサルから2日後のお昼、私と龍之介、リィンちゃんは再び伏見稲荷にやって来ました。
ざわざわ・・・
わいわい・・・
「あのっ・・・」
「$#+”*@?」
「あ、外国の人かな、君可愛いね、言葉分かる?」
ごごごごご・・・
「オイオマエ、ナニカヨウカ?」
ジロリ・・・
「い・・・いえ」
しゅたたっ・・・
「怖ぇ・・・なんだよあの男」
「ヤバそうな男連れてるからやめとけって言っただろ」
「でもあの娘めっちゃ可愛いじゃん、アイドルかな?」
・・・
・・・
予想通り、リィンちゃんが凄く注目を集めてるのです、龍之介が威嚇してるのに周りの男どもがジリジリと距離を詰めてきてるし!。
「リィンちゃん目立ってるのです、早く変装用のメガネとマスクを・・・」
そう言いかけた私の頭の中で声がしたのです!。
『聞こえますか・・・今私はあなたの頭に直接話しかけています・・・』
「出たな妖怪!」
『なんじゃ!、妖怪とは失礼な奴じゃの!、今こういうのがツイッタァとやらで流行っていると眷属どもが言うからサービスしてやったというのに!』
「ネタが微妙に古いのです・・・」
『むぅ・・・覚えておれよ小娘、そのうち財布を落として泣く事になろうぞ』
「恐ろしいこと言うななのです!、そんな事したら異世界に連れて行ってやらないのです!・・・それでシロさん、依代ってどんなのがいいのです?」
『口に出さずとも頭で考えるだけで儂に伝わるぞ小娘よ、今お主は周りから独り言を呟く危ない奴に見えておるわ、ククク・・・』
「ぐぬぬ・・・この化け狐、そのうち狐鍋にして食べてやるのです」
『依代はなんでも良いぞ、そこの社務所に売っている木札やお守りでもよい、値段が高ければ尚よいぞ』
「リィンちゃん、どんなのがいいかな?」
そう言ってリィンちゃんの方を見るとお土産物屋に並んだ狐のぬいぐるみに目が釘付けなのです、あ、これはリィンちゃんの心に刺さっちゃったかな・・・。
「リゼちゃんあれ買って!」
・・・
・・・
「わぁ・・・可愛い」
『こら小娘よ、なんでもいいと言ったがこれは可愛すぎるじゃろ!、それに祠に置くと経年劣化やカビが心配なのじゃ!』
「大丈夫なのです、私が最近開発した状態保存の魔道具の中に入れるのです、少なくとも百年は保つのです、劣化したらその辺の石にでも憑ったらいいのです」
リィンちゃんの手には大小2つの狐のぬいぐるみ、大きい方はリィンちゃんが抱いて寝る用、小さい方は化け狐用なのです。
「シロ様、私が大切にお祀りしますからねー」
『う・・・うむ、頼む、あの小娘はどうも信用ならん、揶揄い甲斐があって愉快ではあるが性格の相性が悪いようじゃ・・・』
・・・
・・・
「あー、京都の街楽しかったぁ!、綺麗だし変わった建物があって面白いね!」
そう言ってリィンちゃんは私のお部屋のベッドに寝転がります、あれから電車に乗り伏見稲荷を後にして京都の街を一通り観光、それから少し高そうな料亭でお食事して帰ってきました。
料理はもちろん超美味しかったのです!、生のお魚に慣れてないリィンちゃんも美味しい!と言って夢中で食べてたし。
「喜んでもらえたら私も嬉しいよ、あとはリィンちゃんのお別れ会をお祖父ちゃんのジャズ喫茶でやって次の日に帰ろうか、その後はコルトの街で3日くらい遊ぼうね、大丈夫?、身体は疲れてない?」
「うん大丈夫、本当に楽しかったなぁ、お友達もできたし次はみんなを私の国で歓迎しないとだね、それにはリゼちゃん狙う奴ら片付けないとだし・・・お父様は任せておけって言ってたけどあとどれくらいかかるのかな」
「その事だけどね、ちょっと陛下から頼まれた事があるんだぁ、コルトの街で3日間遊んだ後で博士の所に行くんだけど一緒に付き合ってもらっていいかな」
「ドックさんのところ?、もちろんいいけど・・・何するの?」
「ふざけた奴らをまとめて始末しましょうって事、あ、私が殺すんじゃないよ、それまでは楽しく休暇を過ごそうよ、コルトの街でもリィンちゃんに見てほしいものいっぱいあるんだぁ」
読んでいただきありがとうございます!。
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