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〜リーゼロッテさんはひきこもりたい! Reboot(異世界で優雅なスローライフを目指すのです!)〜  作者: 柚亜紫翼
4章 にほんへようこそ!(Side-15)

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4-05 - わるいこくおうへいか -

4-05 - わるいこくおうへいか -



私の名前はアーノルド・シェルダンだ。


今私は王城のエル・・・友人である国王陛下の自室に居る、先ほどエルとの話が終わり娘が帰ったところだ。


エルはクローゼットの中を漁り、隠しておいたと思われる高価そうな酒を私に見せた・・・今から2人で飲みながら悪巧みをしようって事だろう。


「リゼちゃんは優しいな、まさかあんな答えが返ってくるとは」


「自慢の娘だが貴族としては優し過ぎるな、権力や華やかな生活に対する欲もない・・・娘の希望通り貴族という面倒なものに縛られず自由気ままに生活させた方があの子にとっては幸せなのかもしれん」


エルの奴が呟いた言葉に私は自分の考えを伝える。


「だが、放っておかない奴らも居る・・・今も狙われているし私の方には会わせろという要求が国の内外から毎日のように来ている」


「国外からも来ているのか?」


・・・それは初耳だな、面倒な交渉事はエルのところで止めてくれているのだろう。


「リゼちゃんの魔力量なら一人で大規模攻撃魔法を撃てるだろうし、魔法や魔道具、医療に関する知識は莫大な金を生み出す、魔法や物理攻撃に対して全く傷付かない不老不死っていうのもな、他国からしたら脅威どころの話じゃない」


こいつの言う通り、娘の利用価値は計り知れない、求婚が殺到するのも当然だろうな・・・。


「傷付かないというのは正確じゃない、娘は刺客や暴漢に襲われる度に怖いと言って怯えている、これ以上負担をかけ続けたらそのうち心が壊れるだろうな」


会話しながら氷とグラスを用意していたエルがソファに座り酒を注ぐ。


「私としては酷い目に遭わされた復讐がしたいんじゃないかと思って提案したのだが・・・」


琥珀色の液体が入ったグラスを私に差し出しながらエルが渋い表情をする。


「俺も予想外だった、犯人は憎いし協力はするが面倒な事に関わりたくないし人が死ぬのも見たくない、そいつらを処刑するなら私の見えないところでやってくれ・・・か」


グラスに口を付け、私は先ほど娘の言った言葉を繰り返す・・・協力も断られると思っていたから確かに予想外だな。




「・・・そういえば、とある国の王太子から子は産めなくていいから嫁に欲しいって言って来たぞ(ニヤリ)」


エルが悪い顔をして私に言った、また面倒な事を・・・どこの馬鹿野郎だ?。


「娘が聞いたら失禁して倒れそうな話だな、あの子の前では絶対に言うんじゃないぞ・・・っていうかどこの国だ?」


「ベレット王国・・・の王太子だ、おそらく息子の独断だろうな、父親の国王はそんな愚かな事をするような奴じゃない」


「あの国も一夫一妻制だっただろ、跡継ぎどうするんだよ、まさか側室になんてふざけた事を言っているのなら俺はあの国に何をするか分からんぞ」


「もちろん分かっている、あの国には少しきついお仕置きをしておくから安心しろ」


またエルが悪い顔になってるな、興味はあるがお仕置きの詳細は聞かないでおこう・・・私はグラスを傾け酒を喉に流し込む。


「しかし・・・前世の記憶ってのは厄介だな、そこで何人もの男達に暴行された後で指や腕を順番に切り落とされ目も潰されたんだったか、そんな目に遭ったのなら男が怖くなっても仕方ないか」


「娘は何も言っていないが・・・男と結婚したくないから魔力量を増やして成長を止めたと俺は思ってる、幼い頃から若い男性を恐れていたし婚約の話になると酷く嫌がった」


「そこまでか・・・私も一時期は息子の嫁にって思ってたんだがなぁ・・・」


「諦めろ、無理強いしたらあの子は前世の、ニホンだったか?・・・そこに逃げてこっちには帰って来なくなるだろうな、向こうには前の家族が住んでるし居場所もあると言っていた」




・・・


「それから、お前が滅ぼしたデボネア帝国だがな・・・」


「人聞きの悪いこと言うなよ、俺一人で滅ぼしたわけじゃないし!」


そう・・・殆ど「あの男」が一人で滅ぼしたようなものだ、報告を聞いて多少の事では驚かない私でさえ震え上がった。


「まぁそうだな、リゼちゃんやドック氏も協力してくれたし、特にお前のところの蛇・・・あいつ現役時代より凄くなってないか?、皇帝一家と関係者全員を惨殺、しかも手足を切り落として数十日も毒で苦しませた挙句に殺すとか・・・」


私が聞いている現役時代の「毒蛇」は冷酷で残忍だったが・・・向こうで合流した王国の暗殺者「蜘蛛」が「あいつは狂っている」と涙目で訴えたほど暴れ回ったらしい、現役を退いて長かったとはいえ元王国騎士団特殊暗殺部隊長の腕は衰えていなかった。


「俺は殺し方まで指示してない、好きにやれと言っただけだ・・・で、帝国がどうした?」


「崩壊してからは王家の影を使って様子を見ていた・・・想像以上に酷い、国を仕切ってた皇帝が死んじまって完全に無法地帯だ、帝都では略奪や暴動が起きて皇帝の悪事に関係していない貴族連中や民衆まで被害に遭ってる、放っておいたら国が無くなりそうだ」


「・・・放っておいては?」


ぶふぉっ!


私の言葉を聞いてエルが酒を吹き出しそうになった、だがこれは正直な気持ちだ、あの狂った国にはもう関わりたくない。


「難民が船に乗ってエテルナ大陸の南側の国に流れて来てる、別の権力者が出て来てまたこっちに牙を剥かれても面倒だ・・・だがあの国を纏めたら利益が出る、王太子を向こうにやって必要なら私も行く予定だ」


「で、その為に大陸の間を行き来するから転移に娘を使いたい・・・と?」


「察しが良くて嬉しいな」


察しが良くて嬉しいのかエルが笑顔になる・・・。


「先生・・・ドック氏が居るだろう」


「うちも最初はそう考えて依頼した、だが「数年前から不老不死になる方法を実践していて魔力の出力が不安定になっている、長距離転移は安全を保証できないし別の場所に間違って転移するかもしれない」だとよ、心当たりは?」


そういえばまだ言ってなかったな。


「師匠になる条件と引き換えに娘が教えたようだ・・・」


「まぁいいさ、彼は国の為に多大な貢献をしてくれているし近いうちに大賢者の称号を与える事になってるだろ、この称号があればアホな貴族達からの無理な要求も無視できる、大賢者様とは末長くお付き合いしたいからな・・・」


「・・・」


「ところで今魔力の増量をしているのは誰と誰になっていたかな?」


「俺とお前だろ、俺の妻と弟、息子は今成長が止まるとマズいから成人してからやるそうだ、あとはうちの蛇だな、家族と一緒に話を聞いてたから多分やってるだろうと思って聞いてみたらやってた、それにドック氏か」


「・・・そうか、私の方は息子達と娘、妻はやってみたが4人とも毎日続かなくてダメだった、キツ過ぎるこれ以上無理だの痛いから嫌だ!って文句言われたよ、根性の無い奴らだ」


あれは根性でどうにかなる痛みじゃないと思うぞ、私や弟のシルベスターはある程度鍛えていたから耐えられたし妻のマリアンヌは謎に我慢強い、息子のコナンザは数回やってみて我慢出来そうだと言っていた・・・もしかしてうちの家族がおかしいのか?。


「・・・だが少しは魔力量が増えたんじゃないのか?」


「あぁ、感謝してるよ、少なくとも100歳前後までは寿命が伸びたんじゃないかな、妻は肌の老化が遅くなって嬉しいって言ってたぞ」


「娘は今、身を隠してる街で腕の腱を切られた男の治療をしてる、ドック氏と一緒に日本の技術を取り入れた画期的な治療だ、その男の傷が癒えてから少しづつリハビリというのを1日おきにやって元に戻すそうだ、この国初の快挙になるらしい」


グラスの酒を飲んでいたエルが驚いて私を見た。


「隠れてる間にそんな事をしてたのか、それだと腕を怪我した騎士達の再雇用や怪我人の現場復帰が期待できるな、また褒美が必要になるじゃないか」


「やるのはいいが交渉するなら直接先生に依頼しろよ」


そう言ったがエルは額に手を当て「技術を他の医師に継承して・・・」「治療中の退役騎士が・・・」などと考え込んでいる、既に奴の頭の中ではどうすれば国の利益になるか計算が始まっているのだろう・・・。


エルが考え事をしている間に私はグラスを傾け酒を流し込む・・・美味い酒だ。


ラベルには見慣れない銘柄が書かれていた・・・「アップルツリー」生産地はセフィーロの街・・・ラングレー王国産か、説明には地域の特産であるワインを蒸留、樽による長期熟成により香り高く深みのある味に仕上げたと書かれていた。



「リハビリ?が始まる前までに帝国に連れて行って、帰りは転移するから10日くらいリゼちゃん借りても大丈夫か?」


脳内会議が終わったのか、エルが話を戻して話しかけてきた。


「もう褒美はいらない、お腹いっぱいだと言ってるぞ・・・それに10日で帝国には行けないだろ」


「いや、短距離の転移ならドック氏でも可能らしいからこの大陸の国々を中継してドック氏がリゼちゃんを転移させ大陸南端の国まで連れて行く、それからドック氏は帝国の港に行った事があるから海を転移で渡る」


「なるほど、それなら効率が良いな」


「大陸の間は距離が遠いから少し場所がズレる事を考慮に入れて10日だ、帝都は港に近いから固定式の転移魔法陣を王国で用意した拠点に設置して帰って貰えば10日でも長いくらいだろ」


「まぁそれくらいなら娘を説得出来なくはないだろう・・・」


だが・・・リゼたんに嫌われそうで今から気が重いぞ!。


「裏切り者の連中にはリゼちゃんが失踪した事にすればいい、餌に食い付けば手間が省ける」


「宰相はどう動くかな?、俺は帝国を潰す為に宰相補佐を辞めたからしばらく会ってないが」


「私の中で奴の信用は地に落ちている、目の前に餌をぶら下げて食いつくのを待ってる状態だ、で、奴が破滅した後はお前に宰相を・・・」


おい冗談だろ!、エルがとんでもない事を言い出したぞ!。


「やめてくれそんな面倒な仕事・・・お前、悪い顔になってるぞ」


「・・・そうだな、私は悪い国王陛下だ、知らなかったのか?(ニコッ)」

読んでいただきありがとうございます!。

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