EX3-04 - なかよくなれそう? -
EX3-04 - なかよくなれそう? -
「長いお夕食の時間が終わったのです!、やっと解放されてお部屋に戻れましたぁ!」
・・・バタン
「長時間待たせちゃったから退屈してるかも・・・」
「・・・くぅー・・・すぴー」
「お待たせー・・・あ、疲れて寝ちゃったのか」
すっかり暗くなった私のお部屋の中、窓際には月明かりに照らされて眠るメイドさんが居ます。
「座ったまま眠ると腰に悪いって聞いたけど・・・起こすのは可哀想なのです」
私はソファに畳んで置いてあった毛布をそっと掛けてあげました。
こんにちは、リーゼロッテ・シェルダン63歳です。
今私は王都にあるシェルダンのお屋敷に来ています、しばらく来てなかったのですが今日から7日ほどここに滞在する予定なのです。
このお家に置いたままになっている私の本や研究資料を持ち帰りたかったので、シェルダン家当主に今日お邪魔するよって連絡したら数日でいいから泊まってくれと泣きながら懇願されました。
今の当主の名前はラファエル・シェルダン、彼は私の弟、コナンザの子供だから私にとっては甥になります、奥さんは・・・確かエリザベス・シェルダンだったかな?。
夫婦には子供が2人、長男のミカエルくんと長女のエリーゼちゃん、ラファエルくんは私と子供達を仲良くさせたいようで滞在中に会って欲しいとお願いされていました。
「エリーゼちゃんかぁ・・・」
エリーゼちゃんはラファエルくんから聞いてたけれど想像以上に私と似ているのです・・・何だか妙に懐かれちゃったけど。
ミカエルくんはまだ私の事が怖いみたいです、今日お話しして態度が変わってくれたら嬉しいけど、これから身体が大きくなるだろうから今度は私の方が怖いかも?。
「お風呂は・・・一度転移して私のお家で入ろうかな、ここで借りるのも面倒だし明日の朝までに戻って来ればいいよね」
明日はラファエルくんの奥さん・・・エリザベスさんからお茶会に誘われているのです。
・・・
・・・
「むにゃぁ・・・リゼちゃんそれ食べちゃダメ、私のケーキだよ・・・」
「・・・何の夢見てるんだろ」
つんつん・・・
「そんな格好で寝てたら次の日に腰や首が痛くなるよー」
「ふぁっ!私のケーキっ!・・・あれ?、夢かぁ・・・」
「よく寝てたねー」
「あ、リゼちゃん戻って来てたんだ・・・ご家族とのお話はどうだったの?」
目をこすりながらメイドさんが私に尋ねます。
「仲良くなれそうかなぁ?、分かんない・・・私にとってあの人達は殆ど「知らない人」だったからねー」
「エリちゃんだっけ?、リゼちゃんにそっくりで可愛い子だよね、さっき見た感じだと仲良くなれそうだと思うけど・・・一人で会うのが怖いって言うから私が変装して一緒に来てあげたのに」
そう言ってメイドさんが椅子から立ち上がりました、寝起きで少しふらついたので思わず私が支えます。
「エリちゃんは姿は私に似てるけど中身は昔のあなたみたいだから・・・仲良くなり過ぎたらお別れが辛いの」
「そんな事・・・無いとは私の口から言えないかなぁ・・・」
私は調理室から貰ってきた使用人用の軽食が入ったバスケットをメイドさんに渡します、中には美味しそうな肉挟みパンが入っているのです!。
「このお部屋は綺麗だけどちょっと息苦しいのです、それに少し疲れたかな・・・今夜はあなたのお部屋に泊まっていい?」
「もちろん・・・じゃぁ帰ろっか」
「転移魔法陣を出すね、帰ろう・・・リィンちゃん」
・・・
・・・
私がこのお屋敷に滞在して4日経ったのです。
エリザベスさんとのお茶会は4日連続だったので少し疲れました、今は私のお部屋でエリちゃんとお話ししています。
「お母様が迷惑かけてごめんね、リゼちゃんの事すごく気に入っちゃったみたいで・・・」
「いいの、お話面白いし」
そう、エリザベスさんのお話は面白いのです!。
初日に寒い駄洒落を口にした時にはどうしてやろうかと思ったのですが小さな頃は魔導士に憧れて魔法を勉強していたようで魔道具にも詳しかったから話題は尽きないのです。
「そういえばこの間のメイドさん、あれから見ないね」
お菓子をもきゅもきゅ食べながらエリちゃんが言いました。
「メイドさん?」
「うん、初老の優しそうな・・・」
「リィンちゃんの事?」
「リィンちゃん?」
エリちゃんはどうやらリィンちゃんの事、まだ気付いていないようです。
「うん、私のお友達でこの国の女王様、リィンフェルド・フェリス・ローゼリア・・・心細かったから変装してついて来て貰ってたのです」
「え・・・女王陛下?、わ・・・私、陛下にお茶を淹れて貰ったの?」
フルフル・・・
あ、エリちゃんが挙動不審になっています。
「気にしなくていいのです、リィンちゃんも「いい子だねー」って言ってたし・・・今度一緒にお城へ遊びに行く?」
「緊張して私死んじゃうから!」
「リィンちゃん優しいから歓迎してくれるよ」
そんな事を話しながら時計を見ると・・・結構遅い時間になっています、今日も1日が過ぎてしまいましたね。
明日は10年以上放置していたお屋敷の地下にある私の研究室を少し片付けようかな・・・そう思っていると扉がノックされたのです。
コンコンッ!
「・・・はい」
コンコンコンッ!
「・・・はい、どうぞ」
「リゼちゃん、声が小さくて扉の外の人に聞こえてないと思うよ・・・はぁい、どうぞー!」
エリちゃんが代わりに返事してくれました。
がちゃ!
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」
息を切らせてお部屋に入ってきたのは私のよく知っている人物でした。
「あ、お祖父様」
「コナンザ?、どうしたのです?」
どたどた・・・
がしっ!
「あぅ」
いきなり抱きしめられましたぁ!。
「お姉様ごめんなさいっ!」
どうやら今回の騒動をラファエルくんが連絡していたらしく領地から急遽コナンザがやって来たようです。
「わざわざ来ちゃったの?、言ってくれれば転移魔法陣で連れて来てあげるのに」
「特急魔導列車ですぐなのでっ!」
すぐと言っても領都シェルダンの街から王都は結構離れているので列車と転移システムを使っても丸1日かかっている筈なのです。
「お姉様がそんな寂しい思いをしてたなんて!、何で気付かなかったの馬鹿馬鹿馬鹿、僕の馬鹿っ!」
私の前に跪き、綺麗な長い銀髪を掻きむしりながらコナンザが苦悩しています。
「言わなかった私も悪かったの、それに4日前から仲良くしてもらってるし」
「かっこいいお祖父様の泣いてる姿、初めて見たよ・・・」
エリちゃんが驚いています、小さくて可愛かったコナンザも立派に成長して現在61歳、でも外見は10代後半・・・実際には20歳から魔力増量を始めて23歳で成長が止まっているのです。
鋭く冷酷そうな外見から令嬢達の間では永遠の18歳、魔王、氷の貴公子などと呼ばれて大変モテていました、結婚を発表した時にはショックで寝込んでしまった当時の令嬢達も大勢居たのだとか?。
「お祖父様お久しぶりです」
エリちゃんが涙と鼻水を垂らしているコナンザに声をかけてハンカチを差し出します。
「エリたんか、しばらく見ない間に大きくなったね・・・」
ハンカチでお顔を拭きながらコナンザが立ち上がりました、我が弟ながら間近で見るとまつ毛長いし本当に美形ですね・・・潤んだ瞳で見られるとドキッとするのです。
「エリちゃん、コナンザって今はかっこよく見えるけど小さい頃は泣き虫だったのです」
「お・・・お姉様っ!」
「ほら、夜によく私のお部屋に来てたでしょ、泣きながら「お姉ちゃん怖い夢を見たの」って」
「わぁぁぁ!」
ふふっ・・・コナンザを揶揄うのも久しぶりですね、楽しいのです!。
読んでいただきありがとうございます!。
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