3-13 - あかいゆびわ -
3-13 - あかいゆびわ -
リゼちゃんとお話しして話題が途切れたので私は執事さんが持ってきた指輪を取り出します。
「リゼちゃん、この指輪の内側にある魔法陣何か分かる?、王位継承権がある人全員に配ってるみたいで今日お父様から渡されたの」
「陛下から?・・・何だろう、凄く複雑な魔法陣なのです、でもこれ私が読んでいいのかな?、秘密を知ったら消されるやつじゃないの?」
言われて初めて気付きました、王家には数多くの機密事項があってそれを部外者に漏らしてはならない・・・でもこれは「大事なもの」って渡されただけで人に見せるなとは言われてないし大丈夫だよね、うん問題ないと思う!。
「いや、そこまでのものじゃないと思うけど・・・」
私はリゼちゃんが消される事がないよう心の中で祈りながら指輪を観察している様子を眺めています。
「魔法陣を拡大して展開するね・・・ほい!」
リゼちゃんが手を翳すとテーブルの上に置かれた指輪の上に魔法陣が現れました。
「わー、おっきな魔法陣だねー、この指輪何で渡されたのか聞いてないんだー、もしかしてヤバいやつだったら私知らずに何かやらかしそうで・・・」
「何重にもダミーのコメントが入ってるから解読が難しいなぁ、これ作った人天才かも?」
「えー、そんな凄いやつなの?」
「うん、魔力を流すと対象の魔道具が作動して・・・最初は苦痛を、更に魔力を強く加えると死んじゃう・・・だから魔力を流すと指輪の魔石の色が赤から白になるのが合図ね、これが白く光ってるのに魔力をかけ続けたら死ぬと思う」
「わぁ、やばいやつだ・・・」
「これは使用条件も設定されてるね・・・先に血液を登録してその子供や血縁の人達にしか使えないようになってる、それにこの魔法陣は・・・」
ふるふる・・・
話の途中で途切れたのでリゼちゃんを見ると震えています。
「リゼちゃんどうしたの凄く震えてるよ!、それに顔色が真っ青!・・・大丈夫?」
・・・
・・・
急に泣き出したリゼちゃんが心配でソファの隣に座って頭を撫でていると・・・。
「どうしたの?、急に泣き出したりして・・・大丈夫?」
「リィンちゃん・・・」
「え?」
「その指輪は私を殺すための魔道具・・・」
リゼちゃんがとてつもなく不穏な事を言っています。
「嘘・・・じゃぁ指輪が配られてる人は全員リゼちゃんを殺す事ができるの?」
「うん、たぶんそうなの・・・私に苦痛を与える事もできると思う」
「でも王族がリゼちゃんにそんな事するわけないじゃない、私の命の恩人だし、みんな感謝してるのに・・・」
「それは知ってるの・・・でも王族って陛下とリィンちゃん、王太子殿下だけ?、違うよね」
「宰相の大叔父様や叔父様が居るね、でも叔父様はお父様の弟だし、そんな事する人じゃないよ・・・」
叔父様は穏やかで人畜無害な人なのです、何度かリゼちゃんにも会っていて「賢い子だねー」って褒めてたし!。
「今は問題なくても未来の王族の人達が私に酷い事するかも?、幼女趣味の変態が居たら身の危険を感じるし!」
「そんな時は腕輪外したら済むよね」
「これ一度付けたら外れないの・・・」
「わー!、何でそんなの付けたのよ?」
「博士の説明を最後まで聴かないで付けちゃったから・・・博士も渡す時にしか言ってくれなくて、言うの忘れてたって・・・」
うん、それは仕方ないね・・・。
「それにしても酷過ぎるよ!、腕輪にこんなの付けようって考えたの誰だろう?」
「でも意図は理解できるかな・・・もし私が誰かに操られたり、怒って暴れたりするかもしれないし・・・そんな時に押さえ付けたり殺せないと危ないかなって私でも思うし」
「じゃぁドックさんかな?、お父様は誰かに提案されたら「一応つけとくかぁ、使わなきゃそれでいいし」くらいの事は言いそうだよね、宰相の大叔父様は何考えてるか分かんないんだよねーあの人、お祖父様の弟だからあまり話した事ないや」
私と話している間、拡大表示された魔法陣を真剣に眺めていたリゼちゃんが呟きます。
「あれ?・・・よく考えたらこれで私を殺せるけど殺せないかも?」
「え?」
「なんでもないのです・・・リィンちゃん、私がこの事を知ったの誰にも言わないで欲しい」
リゼちゃんがとても真剣な表情で私に言いました・・・。
はっ!、もしかして知ったら国に消されちゃう何かが魔法陣に書かれてたの?。
「な・・・何で?」
「この機能を腕輪につけた人は何が目的なのかなって・・・私の暴走を止めるっていうのが一番都合のいい理由付けだよね、でも誰かが私に言う事を聞かせたくて付けたなら私が知っちゃうと別の何かを仕掛けて来そうだし」
リゼちゃんの言っている事が難し過ぎてよく分かりません!。
「お父様には?」
「陛下には言ってもいいかな、私も可愛がってもらってるし・・・」
「じゃぁ明日にでも・・・」
「リィンちゃん、これをネタにして旅行に行く許可を取ったら?、陛下はこの腕輪の事を知ってる筈だから・・・私の親友になんて事をしてくれたんだ!、凄く傷ついてるぞ!、心を癒すために私と2人で旅行に行って慰めて来る!って言うの・・・どう?」
「わーい!、リゼちゃん天才っ!、明日お父様に言って許可と資金を奪い取ってくるね!、リゼちゃんと旅行楽しみだなぁ!、何着ていこう!、ふふふー」
「リィンちゃん悪い顔になってるよ・・・陛下を責めるのも程々にね」
「でも、私怒ってるんだぁ、この事でリゼちゃん傷ついたと思う・・・王族を嫌いにならないでね」
「大丈夫だよ、私は目立たず平穏に暮らしたいだけだから、王族の人達をどうこうっていうのは全然ないなぁ・・・あ、もうこんな時間だ、私帰るね」
「うん、結果はお手紙か、また来てくれた時に言うよ、じゃぁね!」
そしてリゼちゃんは光る魔法陣に包まれて帰っていきました。
・・・
・・・
「人払いは確実にできてる?、リゼちゃんが誰も聞いてないところでお父様と話せって言ってたの」
「あぁ、天井裏に影がいるが奴は信用できる」
翌日の朝食の後、私はお父様に詰め寄り大事な話があると言って2人だけで会っています。
「お父様、この指輪とリゼちゃんの腕輪の件で言い訳は?」
「・・・すまん」
お父様が素直に謝りました、でも本番はこれからなのです、お父様から旅行の許可とお小遣いを毟り取らないと!。
「リゼちゃん泣いてたよ、こんなの聞いてない、酷いって・・・」
実はリゼちゃんが狼狽えていたのは最初だけで、しばらくすると普通にお話ししていましたが泣いていたのは確かなので嘘はついていません。
「万が一の時の安全のために付ける事を許可したんだよ、私もリゼちゃんに使おうとは思ってない」
「リゼちゃんは腕輪に安全対策?する事を提案した人が何かするんじゃないかって心配してたよ、安全のためにっていうのは口実で?、別の目的があるんじゃないかって?」
私はリゼちゃんに教えられた内容をそのままお父様に伝えます。
「リゼちゃんはリィンたんと違って察しがいいというか・・・賢いな」
あれ?・・・その言い方だと私は察しが悪くて賢くないように聞こえます!。
「お父様は何か知ってるの?」
「以前から問題になってる刺客や帝国の残党絡みで・・・王族が襲われた時に内通者が出ただろう?」
内通者が居たのですね、今初めて知ったのですが知らなかったと言うと怒られそうなので知っているフリをしておきましょう!。
「うん、そういえば居たよねー」
「最初は帝国が主犯で彼らは雇われだと思っていたのだが帝国を潰したのにまだ湧いて来るし残党も活動している・・・で、調べていくうちに王族に害を与えようとしてる勢力がこの国にも居る事が分かった」
「なるほどー?」
「だが巧妙に情報を操作してるようでなかなか尻尾を出さなくてね、そいつらが勢力拡大の為にリゼちゃんやリィンたんを取り込もうとしてるんじゃないかって思ってる」
この時点で私の理解が及ばない話だというのだけは分かりましたぁ!、私はにっこり微笑んで首を傾げます。
「?」
「リゼちゃんが我々に対して不信感を持つように仕向けてる奴らが居る、自分達は君の味方だよって近付いてリゼちゃんを仲間に取り込めば仲が良いリィンたんも一緒について来てお得だよね・・・って事」
「?」
「向こうに気付かれて逃げられるとまずいからこの件について知る人間をできるだけ少なくした、それでリィンたんにも黙ってたんだ、末端から頭までこの際全部一緒になんとかしたかった」
難しくてよく分かんないや!、とりあえずリゼちゃんの為に犯人は誰なのか聞いておきましょう。
「分かった、教えてくれてありがとうお父様・・・それで誰が腕輪に酷い機能を付けようなんて言ったの?」
「・・・宰相」
「え、大叔父様?」
「もうちょっと政治に興味を持とうねリィンたん、今は叔父様から息子に替わってる、血縁関係で言えば私の従兄弟だ」
「その人、もしかして幼女趣味の変態?」
ぶふぉっ!
お父様が飲んでいたお茶を吹き出しました、汚いなぁ。
「なんてこと言うのリィンたん・・・そんな個人の趣味まで私は知らないよ」
「どんな人なの?」
「あまり目立たない男だが優秀ではあるな、頭も切れるし・・・代々宰相を勤めてる家で叔父上が婿入りしてからは更に勢力を増している、悪い噂もあるにはあるが貴族家としては常識の範囲内って感じだったから今まで全く気付かなかった」
「・・・」
「王族襲撃の時も宰相は襲われたからな・・・怪しいって報告があった時もまさかそんな事って思った、ある程度信頼してたんだがね」
「それが帝国と何の関係があるのかな?、分かんないや・・・」
「リィンたんは頭がちょっとだけ残念だから全部分からなくてもいいんだよ」
また馬鹿にされたような気がします!。
「ずっと前に帝国に話を持ちかけてローゼリアを潰そうとしたのは宰相の家・・・ドワルスキーだと分かった、呪いの刃や昔起きた地方の反乱のいくつかにも帝国と一緒に関わっていたようだ、偽装が上手くてリゼちゃんの腕輪の件があるまで尻尾を出さなかった」
「?」
ローゼリアの貴族がローゼリアを潰そうとしていたのですか・・・意味が分かりませんね。
「それに未解決事件のいくつかにも関わってる可能性も出てきた、これは王家への反乱、国家転覆罪に該当する、だが中途半端に権力持っていてね・・・逃げられるとマズいから今は泳がせて慎重に外堀を埋めているところだよ」
力仕事をしている姿を見た事が無いお父様が何を埋めているのか分かりませんが・・・私は思った事を素直に尋ねます。
「でも帝国と協力って・・・ローゼリアが潰れたら自分達も困るよね」
「帝国とはローゼリアの王家を潰したら代わりにこの国の王様にしてやるという事になってたんじゃないかと思ってる、帝国が潰れてからはしばらく大人しくしてたのだが・・・また何か企んでるみたいでね」
「?」
「聞かれたから話したがリィンたんは何もしないでね、宰相とも会っちゃダメだよ、予想以上に城内での宰相の勢力が強くなっているから誰が信用できて誰が裏切ってるかまだ全貌が分からない・・・」
どうしよう・・・話が全然分からないよ!、でも私はこれからお父様と交渉して旅行の許可とお小遣いを毟り取らないと!。
「・・・分かった、お父様に任せるよ(ニコッ)」
「くれぐれも宰相とは関わらないでね」
「うん・・・で、話は変わるんだけど、お父様のせいでリゼちゃんが凄く傷付いて悲しんでるの・・・それでね、親友の私が優しく慰めてあげようと思うの!、今度2人で旅行に行きたいんだけどいいよね、あとお小遣いも欲しいな!」
読んでいただきありがとうございます!。
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