3-11 - がおー! -
3-11 - がおー! -
ぐるるる・・・
振り向いた熊さんと目が合ってしまいました・・・。
がおー!
熊さんがとても怒っています、どうやら少しは効いたようなのです。
トシが私の所に這い寄り熊さんの前に出て庇おうとしています、ここで小説のヒロインなら惚れるところですが相手はトシのクソ野郎なのです。
しかも前世で24歳になっても彼氏無しだった私の恋愛感情は枯れ果てているのです、惚れるなんてあり得ないのです!。
すぅぅぅぅ・・・
熊さんが大きく息を吸い込み首の後ろの鬣が赤く染まります、どうやらこの熊さんは火を吐くフレイムベアーのようです。
私は大丈夫だけどトシは炎のブレスを吐かれたら死んでしまうのです!。
どんっ!
「わっ!」
私はトシを突き飛ばします、その直後私は熊さんのブレスを浴びて火だるまになりました、熊さんは火と同時に燃料を口から吐くのでよく燃えるのです。
「リゼルっ!、$&%+”#!!」
トシが何か叫んでいますが炎の勢いが強くてよく聞こえません。
火だるまになりながら私は考えました、この状態で熊さんに抱きつけばダメージを与えられるのではないでしょうか・・・私は熊さんの足に抱きつきます。
ぼぼぼぼぼ!
がしっ!
ぼぼぼぼ!
ぐぎゃぁぁ!
効果がありました、熱くて熊さんが暴れているので私は振り飛ばされないようにしがみ付きます、炎が毛皮に燃え移って熊さんも火だるまになりました。
ぶぉぉぉぉぉ!
炎が熊さんの顔まで達して一層激しく燃え上がりました、呼吸で体内の燃料に引火したようです。
ぼぼぼぼぼ・・・
ぎゃ・・・ぁ・・・
ずずーん!
熊さんは最後の力を振り絞って逃げようとしていたのですが残念ながら途中で力尽きてしまいました、そして私は倒れた熊さんの下敷きに・・・。
私の上半身が熊さんの下になっていて動けません。
転移すれば出られるのですがトシが近くに居るから転移魔法陣を使うと私の正体がバレるのです!。
じたばた・・・
脱出しようと頑張っているとトシの声がしました。
「お前・・・何で」
何か言っていますが今こいつの相手をしている暇は無いのです!。
じたばた・・・
じたばた・・・
「んぐぅ・・・」
頑張っているのに熊さんの死体から抜け出せません。
「出られない・・・引っ張って・・・」
トシのクソ野郎にお願いなんて屈辱ですが魔法を見られるよりはマシなのです!。
「おう」
ぐっ・・・
トシが私の足を掴んで引っ張ります。
「左足は痛いからダメ・・・右足でお願い」
「すまん」
ずるずる・・・
トシが私の右足を掴み熊さんの黒焦げ死体の下から引っ張り出してくれました・・・。
「ぷはぁ!・・・やっと出られたのです!」
私の目の前にはトシが居て顔を真っ赤にしているのです、手には私の右足、仰向けに倒れている私を凝視しています。
「なっ・・・何で全裸なのですかぁ!」
そうなのです!、熊さんの炎で服が全部燃えてしまい今の私は全裸なのです!。
「わぁぁん!、見ないで!」
私は両手で顔を覆い泣き出してしまいました。
「・・・お前、女だったのかよ!」
トシのクソ野郎は何でまだ私の右足を抱えているのでしょう!、早く離しやがれなのです!、この事は絶対にバレちゃダメ・・・私は言い訳を考えました。
「・・・違うの・・・僕は男」
「でも付いてない・・・」
トシのくせに鋭いですね・・・。
「大怪我をした時に・・・おちんちんも切られたの」
「・・・は?」
ちょっと言い訳が苦しかったかもしれません・・・でも勢いで押し切るのです!。
「僕は男の子・・・女の子違う」
ごごごごご・・・
「いや、だけどお前・・・」
「男の子なのですっ!」
ごごごごご!!
「お・・・おう、そうだな・・・胸も無いしお前がそこまで言うのなら男なんだろうな」
信じてくれたようです!、私の秘密は守られたのです!、そう思っているとトシの後ろに・・・。
「トシくぅーん、何でうちのリゼルくんを襲ってるんっすかぁ?」
コメカミに青筋をピキピキと浮かべてシャルロットさんが立っていました!。
「トシロー・・・お前って奴は・・・」
同じくコメカミに青筋を浮かべたマスターも立っています。
「待て、違うんだ!」
ようやくトシが私の右足を離してくれました・・・向こうから衛兵さん達が走って来てるのです!、私は全裸!、こんなに沢山の人に見られたら恥ずかしいのです!。
思わず私は蹲りました。
「・・・凄い・・・背中にも傷が」
蹲ったから背中の傷も見られてしまいましたぁ!、命を助けてあげたのに恩を仇で返されたのです!、もう許さないのです!。
「嬢ちゃ・・・いや坊主、これ着ろ」
私が震えながら泣いているとマスターが着ていたシャツを貸してくれました、顔はいかついけどトシとは違ってとてもいい人です、トシのクソ野郎は伯父様を見習うのです!。
全裸におじさんのシャツを着てシャルロットさんの方を見ます。
「ひっ!」
・・・私だけ残して一緒に転移しなかった事を怒っているようです!。
「シャルロットさん、あの・・・ごめんなさい、僕・・・」
「・・・いいっすよ、トシくんが心配だったんでしょ、次から何かする時には私に言ってくださいよぉ・・・心配したんっすからぁ」
シャルロットさんが泣いています。
「本当にごめんなさい」
向こうではトシがマスターに顔面を鷲掴みにされて泣き叫んでいます・・・いい気味なのです!。
そうだ、トシに謝らなきゃ・・・嫌な事は早く済ませておきたいのです!。
私はまだマスターに顔面を掴まれて痛がっているトシの所に行きました、杖がまだ熊さんのお尻に刺さってるから歩くのが不恰好でコケそうなのです!。
「・・・あの、トシ、昨日叩いちゃってごめん、叩くつもりじゃなくて・・・許して欲しいの」
マスターがトシの背中を叩いて私の目の前に連れて来ました。
「い・・・いいぜ!、許してやらぁ、俺も今日助けてもらって・・・あ・・・ありがとうな・・・これで貸し借りなしって訳にはいかねぇが・・・」
何でなのです!、命まで助けてやったのにまだ叩いた借りが残るようです、なんて欲深い奴なのでしょう!。
「じゃぁ、僕はトシの・・・弟分になればいいの?」
仕方ないのです、このクソ野郎に何をさせられるか分からないから先手を打つのです!、嫌だけどトシの弟分になってやるのです!、感謝するのです!。
トシの顔を見上げると満面の笑顔で・・・。
「おう!、弟分で居させてやるよ、いろんなところに連れて行って遊んでやるから覚悟しとけ!」
読んでいただきありがとうございます!。
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