3-10 - もりのくまさん -
3-10 - もりのくまさん -
「ちょっとそこの君達、お姉さんとお話ししようか・・・」
シャルロットさんが道の真ん中で男の子達の行く手を塞ぎます。
「・・・なんだよ!、って凄ぇ美人の姉ちゃんだ!」
「胸は小ぃせぇけどな!」
「私より小さい・・・」
カッ!
「「「ひぃっ!」」」
シャルロットさんが目を見開いて殺気を放出しました・・・泥だらけでこちらに走って来ていたのは男の子2人と女の子1人、3人とも生まれたての子鹿みたいに震えています。
・・・
・・・
「なるほど、トシくんをみんなで殴る蹴るの袋叩きにしていたら突然泥を顔に投げつけられて返り討ちにあった・・・と」
「・・・はい」
「聞いた話だと5人で行ったそうっすけど何で3人なんっすか?」
「隣町に居た悪そうな2人組に金を払って連れて来た、好き放題殴らせてやるって・・・」
「あ?」
シャルロットさんが凄むと3人がビクッってなります、面白いのです!。
「いえ、本当にすみませんでした、もうしません」
「で、残りの2人はどこっすか?」
「殴られてブチ切れてたな・・・」
「あぁ、持って来た魔物寄せを撒いて殺してやるとか・・・」
「何でそんなヤバいもの持って・・・っていうか君ら自分が何やったか分かってるんっすか!」
「え、でも俺らやってないし・・・」
「そんなの持ってる奴ら街に連れて来た時点で重罪っすよ!・・・君ら今、慈悲の星いくつっすか?」
「みんな3つあるけど・・・まさか」
「トシくん袋叩きの時点で傷害罪、でも未成年で初犯だったら恩情出るからそれは大丈夫っす、でも街の生活圏内で魔物寄せを撒いたのは確実に星1つ消えるし軽くて3年くらい監獄行きっすよ!」
「・・・そんな」
「街の人達の命を危険に晒したんだから当然っす!、それと隠れて色々悪さやってたみたいっすけど全部バレたら合計で10件超えてるっすか?」
「超えてる・・・よな?」
男の子の問いに他の2人が頷きました、超えてるようです。
「軽犯罪は合計して10件超えると星1つ消えるっすよ」
「「「・・・え?」」」
「大人から習ったでしょ、さては真面目に説明聞いてなかったっすね・・・だ・か・ら!、君ら若いのに3つの星のうち2つ消えるっす、それってもうどこも雇ってくれないっすよ!」
「嘘・・・」
女の子が絶望的な表情をしています。
「おっと、こんなところで話してる場合じゃないっすね、魔物寄せを撒いたら下手すると大惨事になるっす!、君らすぐに街に戻って衛兵に人を手配してもらうっす!」
「・・・なぁ、でもここでこいつら殺っちゃったら俺達のした事バレなくね?、こっち3人だし」
「あぁ、そうよね・・・」
「やっちゃう?、殺した後で崖から落とせば事故ってことになりそうだし」
3人がとてつもなく不穏な事を言い始めたのです!。
「何バカなこと言ってるんっすか、うちら貴族っすよ!」
「もっとマシな嘘言えよ姉さん、そんな品のない女やガキが貴族なわけ無いだろ、もっとマシな嘘つけよ」
「貴方達の事を思って言ってるのに・・・絶対に後悔するからやめなさいって言ってるんっす!」
シャルロットさん達の会話を横で聞いてたら3人が刃物を出しました、え・・・何でみんなこっちを見るのです?。
「おい!、そのちっこいの人質にしろ!」
「おう!」
ナイフを持った男の子が私に向かって来ます!。
フルフル・・・
「ふんっ!」
どす!
「ぐほぉ!」
シャルロットさんの華麗な後ろ回し蹴りがキマったのです!、男の子の顔に直撃して一人目が失神しました。
「ほぁたぁ!」
「きゅう・・・」
シャルロットさんの裏拳がナイフを持っていた女の子の顎にキマったのです、頭を強く揺らされて崩れるように失神しました。
「うらぁ!」
「へぶっ!」
シャルロットさんの華麗な背負い投げがキマったのです、2人目の男の子が地面に叩きつけられて失神しました。
「リゼルくん!、この子達を連れて私と街の衛兵詰所に転移する事できますか!、本当に魔物寄せを撒かれてたら急いで対応しないと大変なことになるっす」
「うん、詰所の裏手の路地なら知ってるし人目が無さそうだから・・・そこでいいかな?」
「いいっす!、お願いするっす!」
「じゃぁいくよ、即席魔法陣展開!・・・転移っ!」
ぱぁっ!
私を残して4人を街に転移させました・・・。
「トシがまだ丘に居るなら早く行ってあげないと魔物に食べられちゃうかも・・・凄く嫌な奴だったけど死んで欲しくないのです!」
・・・
・・・
とてとて・・・
「やっと森を抜けたのです」
森の中の道を抜けると視界が開けて丘が広がっていました、ここがソラミミの丘でしょうか?。
途中の道は禍々しかったのにとても綺麗な場所です、所々にポプラのような背の高い木が生えている草原があって、森の向こう・・・遠くには雪山も見えます。
トシはどこかな・・・と辺りを見渡すと向こうで大きな熊っぽい動物さんに迫られているのです!。
怪我をしているのでしょうか、尻餅をついた状態で木を背にして追い詰められています、今は木の棒を振り回してるからまだ食べられていません。
熊さんの背後から気付かれずに近付く事は出来ないでしょうか?。
男の人は怖いけど今の私は無敵の人です!、熊さんは私に傷ひとつ付けることが出来ないのです、ここはカッコよく助けて恩を売っておいてやるのです!。
そして私に対する今までの非礼を詫びさせるのです!、リゼル様って様をつけて呼んでもらうのもいいかもしれませんね、土下座も捨て難いし・・・さてどうやって生意気なトシを辱めてやろうかな・・・。
・・・
じりっ・・・
じり・・・
私は熊さんに気付かれないよう慎重に移動します。
熊さんの背後からじわり、じわりと忍び寄る私にトシが気付いたようです、何か言ってますね「リゼル!、馬鹿!、に・・・」何でしょう?、風が強くてよく聞こえません。
でも確かにリゼルはバカと言っているのは聞こえたのです!、助けに来てやったのに人の事をバカ呼ばわりとは酷い奴なのです!。
ようやく熊さんの背後に到着しました、とても大きな熊さんです・・・私は杖に魔力を込めて鞘を外しました、鞘は2つに分かれて地面に落ち、中から鋭い剣が姿を現しました。
この杖はシルベスター叔父様が討ち取ったブラックドラゴンの骨を使って職人さんが杖に仕上げたもの・・・その杖にじぃじが勝手に剣を仕込んだ仕込み杖なのです。
杖を持つ手に力を込めて・・・。
「えい!」
ぷす・・・
熊さんのお尻の穴に突き立てました。
・・・あれ、刺さったけど途中で止まりました!、私が非力すぎるからでしょうか、思ってたのとちょっと違うのです!、そう思いながら刺した杖をぐりぐりしていると・・・。
ぐるるる・・・
振り向いた熊さんと目が合ってしまいました・・・。
読んでいただきありがとうございます!。
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