3-09 - そらみみのおか -(挿絵あり)
3-09 - そらみみのおか -
こんにちは、リーゼロッテ・シェルダン15歳です。
「お腹すいちゃったね、お昼行こっか」
「今日もタダーノでいいっすよね」
「そうだね、今日は何を食べようかな・・・それにトシのクソ野郎に謝らないと」
「あはははは!、クソ野郎ってリゼルくん酷いっすね!」
「あいつはクソ野郎でいいのです!」
「トシくんも嫌われちゃったっすねー」
ガチャ・・
とてとて・・・
すたすた・・・
私はシャルロットさんの後について外に出ました、今日のお天気は曇り空・・・海に出ている漁船のおじさんが私達に気付いて手を振ってきたから振り返します。
曇っているけど海からの風はとても心地いいのです!、空気に湿気が感じられるから明日は雨かもしれませんね。
そんな事を考えているうちにタダーノの前に到着します、歩いてきた道を振り返ると私達の借りているお家が少し先に見えるくらいタダーノはご近所さんなのです!。
カラン・・・
「こんちはーっす!」
お店の中に入るとお客が4人居ました、2人組の男女と男性客が2人・・・あれ?、トシが居ないのです。
「おう!いらっしゃい!、トシは来てねぇぞ、今日は奴の母親の死んだ日だから墓に行ってる、何食う?」
トシってお母さんが居ないのですね・・・。
「あの、僕昨日の事でトシに謝りたくて・・・いつ戻るのかな?」
「いつもだと夕方には帰って来るぜ、墓は街の外れだ・・・店の前の道を向こうに進むと崖があるだろ、そこから森の方に続いてる道を抜けるとソラミミの丘ってのがある、そこに居るか母親が亡くなった崖のとこに居ると思うぞ」
「そう・・・とりあえず今日はミートパスタとサラダがいいな」
「私はミートパスタ大盛り2人前とパンをお願いするっす!」
「相変わらずシャルちゃんはよく食うなぁ!、それだけ食ってくれりゃ作り甲斐があるってもんだ!、すぐ作るから待ってな」
私達はテラスに出て海の見える席に座ります、腕輪の防御結界があるから刺客への警戒をあまりしなくてもよくなったのです!。
ちなみに私はくそダサい腕輪が見えないように今日は長袖の上着を着ています。
「初めてテラスに出たけどいい眺めっすねー、曇ってるのが残念っすけど」
「そうだね・・・トシは居ないのかぁ」
「ま、夕方には帰って来るそうっすからその時にまた来てもいいし・・・それとも明日にします?」
「もう一度夕方に顔を出して、居なかったら明日かな」
どたどた・・・
「ほいお待ちっ!、ミートパスタだ!、サラダとパンはもうちっと待ってくれ」
しばらくすると美味しそうなパスタが到着しました、でもこのレストランはマスターが一人で回してるみたいだから大変そうなのです・・・。
「美味しいっす!」
もっもっ・・・
パンが待ち切れないのか、食いしん坊なシャルロットさんが1皿目のパスタを貪り始めました。
私はそれを眺めながらサラダの到着を待っています。
「パンとサラダだ!、待たせて悪かったな・・・それからこれはトシの奴からだ、今朝店に来て小遣いから払って行きやがった、昨日の詫びだとよ」
かちゃ・・・
テーブルの上にはバスケットに入った香ばしい香りのパンと果実で作ったジャム、私の注文した新鮮な野菜サラダに加えて2人分のチーズケーキが置かれました。
「トシが?」
「おぅ、昨日の夜俺がまたぶん殴ってやろうかと思って宿屋に行ったら元気がなくてな、どうやら反省してるみたいだったぜ」
「そうなのです?」
「ま、2人でよく話し合って仲直りすればいい」
「うん」
どたどた・・・
そう言ってマスターは厨房へ戻って行きました。
もっもっ・・・
「あ、本当に美味しい」
マスターの作ったパスタは本当に美味しいのです!、香草を効かせた挽肉とトマトっぽい野菜のソースが絶品で・・・私は朝ごはんを食べてなかったから物足りなくてシャルロットさんのパンを少し分けてもらいました。
もちろんチーズケーキも美味しいのです!、私はリィンちゃんのところで贅沢な素材を使った王家御用達のケーキを沢山食べているのですがこれはそれにも負けてない美味しさなのです!。
「あー、満足っす!」
「美味しかったねー」
カラン・・・
「あれ?」
食事が終わってお店の外に出ると・・・子供?・・・トシより少し年上の男の子が2人と女の子が1人、道の向かいに立ってこちらを見ています。
私達がお家に帰ろうと歩き始めるとこちらに近寄ってきます・・・シャルロットさんが私を庇うように前に出て言いました。
「君達何か用っすか?」
少し迷った後、男の子が代表して私達に話し掛けます。
「・・・なぁ、お前って最近トシとよく話してる子だよな」
事実なのでシャルロットさんの背後で頷きます。
こくり・・・
「あいつ父親やおじさんに言うと怒るからお前に話すんだけど・・・トシと揉めてる俺らと同じ歳の奴らが今日こそ懲らしめてやろうぜって言いながら街外れの丘に歩いてくトシのあとを尾けて行ったの見たんだ」
「・・・」
「トシって結構強いからいつもは大丈夫なんだけどさ・・・あいつら隣町の奴らも連れて来て今日は5人なんだ、いくらトシでも5人は無理だと思って・・・」
「1人相手するのに5人っすか?」
シャルロットさんが呆れています。
「お前とそこのお姉さん?・・・特にお姉さん強そうだから行ってあげられないかな、俺らだと余計な事すんじゃねぇ!ってあいつ怒るからさ・・・」
「えと、君たちはトシ君のお友達っすか?」
「・・・いや、あいつ誰とも仲良くなろうとしないから友達ってわけじゃないよ、けどトシと揉めてる奴らって要領いいんだよ、表面上は真面目にしてるけど裏じゃ色々悪さしててさ・・・俺らも嫌がらせされてる」
「・・・」
「今日だってあいつら・・・少しくらい痛めつけてもトシは性格あんなだから絶対やられたって言わないだろうって、でもトシがやられそうなの知ってるのに黙ってたら俺らまで処罰されそうでさ、トシは一応アレだしな・・・」
「よく分かんないっすけど、とりあえず丘に行ってトシくんが大丈夫か見てくればいいんっすね?」
「うん、俺らじゃ何もできないから・・・」
「いいっすよ、それってソラミミの丘ってやつっすよね」
「そうだよ・・・悪いけどお願いできるかな?」
子供達はそう言って帰っていきました、私達はお店へ戻りマスターに今の事を話しました。
「あいつまだ揉めてたのか!、前からトシやあいつらの親にも注意はしてた・・・だが子供の喧嘩に親が出ていくのもなぁ・・・」
「子供相手におっちゃん出て行ったら瞬殺っすよ」
シャルロットさんが頭を抱えてるマスターに言いました。
そうなのです、お腹周りが少し太り気味のマスターは筋肉モリモリで強そうなのです!。
「ま、あいつも袋叩きにされたらちょっとは懲りて生意気な口叩かなくなるだろう・・・俺は店があるから客が捌けたら後で丘に行ってみる、知らせてくれてありがとうな、危ねぇから坊主は行くんじゃないぞ」
「私はちょっと見て来るっす、リゼルくんはお家に帰って鍵を閉めて絶対外に出ちゃダメっすよ」
「シャルちゃんもダメだ!、危ねぇ事するな、奴ら5人居るんだろ何かあったらマズい」
マスターが慌ててシャルロットさんを止めに入ります、一度お店を出た方がいいですね・・・。
「・・・じゃぁ僕達帰るね、マスターも行くんだったら気をつけてね」
私達はお店を出て家とは反対の方向に向かいます。
「リゼルくん、お家はそっちじゃないっすよ」
「シャルロットさんも逆の方に歩いてるし・・・」
「いやダメっす!、リゼルくんは行っちゃダメっす!」
「腕輪があるから大丈夫だよ、早く行かないとトシがやられちゃう」
「うーん、なら絶対に私のそばを離れちゃダメっすよ!」
「さすがシャルロットさん!、話が分かるのです!」
・・・
・・・
「向こうが崖だから・・・森に続く道はこっちっすね」
「・・・そうだね」
道は2つに分かれていて左に行くと街からも少し見えた崖があるのです、じゃぁ右に行くと丘かな?。
道の周りは森になっていて人が時々通るのか整備されています、でも今は人の気配がありません・・・蔦の絡まった木があったり変な鳥の声が聞こえたり、どこか薄気味の悪い道です。
更に道を歩いていると向こうから誰かが走って来ます、服が泥だらけで怪我してる人も居ますね。
「くそー、なんで5人でも勝てねぇんだよ!」
「いや知らねぇって、勝てる筈だったんだよ!、いきなり泥を投げて目潰しして来やがるから!」
「でも何発か入れてやっただろ!、しばらくは立てねぇ」
そんな事を言いながらこちらに近付く子供達。
ごごごごご・・・
あ、シャルロットさんが凄く怒っていらっしゃる!。
「ちょっとそこの君達、お姉さんとお話ししようか・・・」
世界地図(3章)
コルトの街(3章)
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