3-05 - はずれなくなったのです! -
3-05 - はずれなくなったのです! -
こんにちは、リーゼロッテ・シェルダン15歳です。
遂に博士が作ってくれていた防御結界の魔道具が完成しました!。
これでシャルロットさんの負担も軽くなるし、コルトの街も一人で出歩けるようになるのです!。
昨日連絡があって今日の朝取りに行く事になっているからとても楽しみで、いつもより早く目が覚めました。
「シャルロットさん」
お庭で腹筋をしていたシャルロットさんに声をかけます。
「99・・・100っと、あ、リゼルくんおはようっす、今日はえらく早いっすね、朝市で鳥の串焼き買ってきてるんで一緒に食べます?」
「そういえばお腹空いたかも?・・・ありがとう、じゃぁ1つだけもらうね」
この街は毎日朝早く船で漁に出る人達の為に朝市が出ているのです。
「大きい・・・」
串焼きと言ったら普通はロー○ンの○らあげクンみたいなのが串に刺さっているのを思い浮かべるのですが、こっちの串焼きはケ⚪︎タッキーのバレルに入ってるやつより大きなのが4個串刺しになっているのです!。
「シャルロットさんごめん、1本全部は無理だったよ・・・」
串に刺さっている4個のうちの2個を食べたらお腹いっぱいになりましたぁ!、ムキムキマッチョな海の男達のお腹を満たす漁港の漁師飯は恐ろしいのです・・・。
「いいっすよー、残ったら私が食べるんで!・・・あ、そうそう、今日はオーニィ商会の会長さんが魔法陣の仕様で聞きたい事あるから連絡くれって、そこの手紙の魔法陣にメッセージが届いてましたよー」
手紙の魔法陣というのは転移魔法陣と並行して博士が開発していた手紙を転移させる魔道具なのです、原理は転移魔法陣の機能限定版といった感じで専用の紙しか送る事が出来ません。
本当はちょっとした品物なら送る事ができるのですが犯罪に使われる可能性があるとの事で機能に制限を付けたのです。
メッセージを読むと・・・一昨日商会に送っておいた改良型の最新魔導ラディーオに使う魔法陣について聞きたい事があるようです、博士から魔道具を受け取った後で連絡しましょうか。
「じゃぁ、ちょっと博士のところに行ってくるね、魔道具を受け取ったらすぐ戻ってきてジェームスおじさんに連絡するから」
「はーい、了解でーす!」
さて、博士のところに行って魔道具を受け取ってきましょう!。
「博士ぇー、防御結界の魔道具できたって聞いたから来たよー、ってあれ、寝てる?」
「おぉ、嬢ちゃんが来たか・・・昨日は徹夜だったからどうも頭がはっきりせん、私も歳かな・・・(ぼそっ)」
「博士ぇー、魔道具どれなのですー、早く見せて欲しいのです!」
「嬢ちゃんは最近刺客の殺意や貴族どもの悪意に怯えてたから早く完成させてやろうと頑張ったが徹夜続きで限界だ、それに急な仕様変更も入ってな、昨日来た魔道具師にもうるさく質問された・・・疲れたぞ(ぼそっ)」
「博士ぇ、寝ぼけてるの?・・・これだよね、じゃぁちょっとコルトの街で用事があるので向こうに持って帰ってゆっくり見せてもらうのです!」
「・・・あぁ、そいつがそうだ、俺はもう寝るから明日また来い、その魔道具の本体は腕輪じゃなくて魔石でな、試験に使ったそれは奴隷の首輪の外観そのまんまだがもうちょっと薄くて軽いやつに載せ替え出来るぞ」
しゅっ・・・
「嬢ちゃんの希望の図柄があったら職人に頼んで作らせるから持って来い、俺は造形センスが悪いから本職に頼んだほうがいいだろう、一度付けたら一生外せんから時間かけてよく考えろよ」
・・・
「・・・なんだ、もう帰ったのか」
「それは違います、ここの魔法陣は・・・という意味です・・・っと」
できたのです!、魔法陣に解説を付けてなかったから技術者さんが勘違いしただけですね、さて送信!。
何度か商会長とやり取りをして最後の手紙を転送の魔法陣に乗せて送ります、これでお仕事は一段落なのです!。
さてこれからいよいよ防御結界の魔道具を試すのです!。
ごとっ・・・
これが博士の作った防御結界の腕輪・・・相変わらず博士はデザインセンスがないなぁ、もしかして奴隷の首輪のデザインそのまま使ったのかな?。
無骨で可愛くないのです、それに私にはちょっと重くて長時間嵌めてると疲れそう・・・。
「確か・・・腕に嵌めて腕輪についてる1対の魔石の片方を外すと稼働すると博士が言ってたのです」
つけつけ・・・
「はい、起動っ!」
大きかった腕輪が縮んで私の腕にちょうどいい大きさになりました、どういう原理なのか分からないし、古代の技術って凄いな・・・などと思っていると。
「ひぃっ、魔力が吸われるのです!」
身体の中にある魔力を全部掻き回されるみたいな変な感じがして力が抜けてきましたぁ・・・。
ふらり・・・
「リゼルくん?、大丈夫っすか」
隣で本を読んでいたシャルロットさんが心配して声をかけてくれました。
「うん、大丈夫、魔道具を起動したから魔力を吸われたみたい」
「それが例の防御結界の魔道具っすかー、なんか思ってたよりごついですね、ってそれ奴隷の首輪のデザインじゃないっすか!」
「博士って本当にデザインセンス無いの、明日もっと可愛いのに作り直して貰う予定、魔石が魔道具の本体だから別の腕輪に載せ替えられるって・・・確か言ってたの」
「・・・で、効果はどんな感じっすか」
「いきなりは怖いから・・・そうだ、さっきの串焼きの串で突いてみるね」
「気をつけてくださいねー」
私はゴミ箱を漁って先の尖った串で右腕を突つきました、腕に触れた感触はあるし串を持つ手にも刺した手応えはあるのに痛くないです。
「・・・すごいの!、痛くない」
「おぉー、普通だったら刺さって血が出てる強さっすね」
「もうちょっと試すの・・・「エンジェルフレア!」」
左の指から魔法で火を出して右腕に近付けます・・・。
ぼぼぼぼ・・・
じりじりっ・・・
「熱くないよ!」
「凄いっすね」
シャルロットさんも私が自分の腕を焼いている光景に驚いています。
「シャルロットさん、剣かナイフを貸して欲しいの・・・」
「いいっすけど本当に大丈夫っすか、グサーってなって血がだばぁーなんて嫌っすからね」
「博士を信じるのです!、えい!」
どす!。
「大丈夫、痛くない・・・」
ナイフで思いっきり腕を刺しても痛くないです!。
「どれくらいいけるんっすかね」
「ドラゴンのブレスくらいなら大丈夫って言ってたの」
「表に出て私がぶん殴っても大丈夫っすかね?」
「・・・たぶん大丈夫」
私たちはお庭に出てきました、今からシャルロットさんが私を殴るのです。
「リゼルくん!、行くっすよ!」
「こい!、なのです!」
ふんっ!
ばきぃ!
ぐはぁ!
「リゼルくんっ!、ひぃぃ!」
飛んだのです。
シャルロットさんが私を殴った瞬間、身体が浮いてお庭の端まで飛んで地面に叩きつけられ3回バウンドしたのです!。
「あれ、痛くない?」
私は土まみれになって・・・杖はシャルロットさんの足元に置いてたので地面を這って移動しながら言いました。
「シャルロットさん・・・大丈夫だったよ」
「全然大丈夫に見えないっすよ!、手応え凄かったし!、私リゼルくん殺っちゃったかと思ったっすよぉ!」
シャルロットさん泣いてるのです、ちょっと悪い事しちゃったかな・・・。
私達はお部屋の中に戻って私の両腕に嵌っている魔導具を眺めています。
「やばいね、この魔道具・・・次はね」
「いやこれ以上は怖いんで私にやらせないで欲しいっす!」
「でも何かあった時に機能しなかったらもっと怖いの・・・実験は大事だよ」
そうなのです、検証実験は大事、何かあってからでは遅いのです!。
「じゃぁ何で試すんです?」
「街の向こうに断崖が・・・・」
「却下っす!、飛び降りたリゼルくんを誰が回収するんっすか!」
ごそごそ・・・
「この瓶の中に猛毒が入ってるの・・・蓋を開けて匂い嗅ぐだけで一瞬でお空に行けるの、ちょっとお外でキメてくる・・・」
「わー!、そんなヤバいやつ何で持ってるんっすか!」
「じぃじに教わったのを参考にしてどれだけ成分濃縮できるか試してみたら超やばいのができたのです!」
「もうちょっと優しいやつから試しましょうよー、腐ったやつ食べても大丈夫とか?」
「・・・それは僕が嫌、腐ったのを食べるよりは無味無臭の毒がいいの」
「その辺は旦那様と相談するっす!、リゼルくん絶対試しちゃダメっすよ!」
「海に重りをつけて沈められても大丈夫かな?」
「やめて欲しいっす!」
「でも、水の中で息できるか確かめておきたいの」
「じゃぁ桶あるからそこで試してみましょう!」
ぶくぶく・・・
ざばぁ!
「いけたのです!」
水の中でも身体の周りに防御結界ができるようで息がでました!、博士はすごいのです!。
・・・
・・・
「とりあえずこれまでの実験をまとめると、物理で殴られたら吹き飛ぶけど痛くないし怪我もしない・・・って事っすね」
「・・・うん」
「魔法で燃やされても熱くないし火傷しないけど・・・服は燃えて全裸になる・・・と」
「・・・そうなの」
「水に沈められても息ができるから死なないけど・・・ずぶ濡れになるっす」
「・・・いえす」
・・・
「なんか思ってたのと違うっすね」
「そんな小説みたいな都合のいい結界は無いのです」
「そんなもんっすかね」
「とにかく燃やされるのだけは絶対嫌・・・全裸は嫌なの!」
「そりゃそうっすね、気をつけるっす」
・・・
さて、一通り試したし腕輪が重くて手首が痛くなってきたのです、でもこれどうやって外すのでしょう?。
「・・・ちょっとお部屋で腕輪を外してくるのです」
「はーい、終わったらお昼食べに行きましょう!」
確か腕輪が入ってた箱の中に付いていた魔石を入れてたのです、それを戻したら元の大きさに戻ってきっと外れるのです!。
「えーと、こうかな?」
かちっ・・・
ぽろっ・・・
悲報・・・魔石が元に戻りません!。
「・・・違ったかな?、そうだ、きっと左右が決まっていて逆になってたのです、これをこうして・・・あれ?」
ぽろっ・・・
「そういえば博士に外し方を聞いてなかったのです・・・」
「リゼルくーん!、まだっすかー」
シャルロットさんが呼んでいるのです!、仕方ないのでこのまま・・・お庭で転がって泥だらけになった服を着替えてお昼を食べに行くのです!。
・・・
・・・
「はははー、お前なんだよその腕輪、超だっせぇ!、それ本当にカッコいいって思ってんの?、まるで手枷嵌められた奴隷じゃん」
フルフル・・・
私はレストラン「タダーノ」で再び偶然居合わせたトシに笑われて震えています!。
このクソ野郎はあれから何度も何度も、何が楽しくて私に絡んでくるのでしょう、許さないのです!。
「ち・・・違うもん、これは結界の腕輪・・・斬られても、魔法を撃たれても無傷な凄いやつなの!」
「・・・いや分かるぜー!、俺らの年齢だとそういう設定妄想して俺スゲー!、俺カッケー!、俺無敵!、ってやっちゃうよな!、はいはい分かりましたぁー、それはリゼルきゅんのーすっごーい魔法の腕輪なんでちゅねー、あはははー」
「うぅ・・・ぐすっ・・・」
「あれ?、また泣いちゃう?、男なのに情けねーな、やーい泣き虫リゼルー」
ぱしっ!
あれ、思わず手が出ちゃった・・・私、人を初めて叩いたのです!。
「あぅ・・・ごめんなさい、つい・・・」
「痛ってー、お前なんかもう知らねー、明日から絶対遊んでやらないからなぁー」
私トシに遊んで貰った覚えは無いのですが・・・そう思っていると。
だっ!
見た目より打たれ弱かったのかトシが涙目でお店を出て行ったのです・・・奥からマスターが出てきて申し訳なさそうに言いました。
「またうちの甥っ子がすまん、あいつ性格捻くれてっから今まで誰とも絡もうとしなくてな、だが坊主が来る時間には店に来てソワソワしてた、案外いい友達になれるかと思ってたんだが・・・もう奴には店に来ないように言っておく」
「待って、思わず叩いちゃったし僕も悪いの・・・トシ、泣いてて・・・僕、謝らなきゃ・・・」
「あー、じゃぁ明日もここに来て、今度は仲直りっすかねー」
「・・・うん」
「すまんな坊主、あいつ口は悪いし性格も悪いが根はいいやつだ、できれば仲良くしてやってくれ」
「うん」
・・・
「うぉぉぉ!、何で付けてんだよ!」
翌日の朝、博士のところに腕輪の外し方を聞きに行ったら私の腕を見て博士が叫んだのです!。
読んでいただきありがとうございます!。
面白いと思った人は下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。




