EX2-02 - ぎゃらんろーぜりあ -
EX2-02 - ぎゃらんろーぜりあ -
「・・・という事が昨日あったのです!」
王城のお部屋でお菓子をもきゅもきゅ食べながら私は言いました。
テーブルの上には日本から持ってきた私のタブレット端末が置かれていて昨日の追悼大魔法の様子が映し出されています、最新機種だから画質がとてもいいのです!。
大魔法を披露する前に三脚を使ってデジカメ2台を設置してるのを護衛の騎士さん達に不思議なお顔で見られながらも撮影しておいて良かったのです、とても綺麗に撮れているのです!。
「へー、綺麗だねぇ、96歳かぁ・・・私長生きしたよねー、お飾りの女王にしては上出来だわ」
同じようにお菓子を食べながらベッドに寝転がったリィンちゃんが私に微笑みました。
私は今、時空転移魔法陣を使って21歳のリィンちゃんのお部屋へ遊びに来ているのです!。
リィンちゃんが亡くなって寂しくて悲しくて・・・おかしくなりそうだったので時空転移魔法を使って21歳のリィンちゃんへ会いに行きました。
何で21歳なのかというとリィンちゃんが20歳、私が19歳の時に歴史的に大きな事件があって・・・できればそれに影響を与えたくなかったのです。
「あれ、リゼちゃん忘れ物?・・・って、どうしたのそんなに泣いて!」
「うりゅ・・・リィンちゃん、慰めて」
転移して私が現れた時、リィンちゃんはとても驚いていました、数刻前まで遊びに来ていた私が泣きながら現れたのだから・・・。
未来でリィンちゃんが亡くなって寂しくて会いにきた、と説明すると優しく微笑んで私を抱きしめてくれました。
「懐かしいな、昔のリィンちゃんの匂いだぁ・・・ぐすっ」
「そうなの?、未来の私はどんな匂いになってるのかな、もしかして加齢で臭いとか?」
「おばあちゃんの匂い・・・」
がしっ!
みしっ・・・
「わぁぁん、リィンちゃんお顔掴むのやめて、痛いよぅ」
「あなた、未来から来てもほんっとに変わらないわね!」
その日は昔のように雑談したりお話しして笑ったり、楽しい時間を過ごした私は転移して元の時間に戻ったのです。
その後、リィンちゃんのところには何度も会いに行きました。
歴史が変わるからと言ってリィンちゃんはあまり私に質問しません、もちろん亡くなる年齢も老衰で倒れるまで長生きしたよっていうのは伝えてあったのですが・・・今回の式典映像でバレてしまいましたね。
そうしているうちにリィンちゃんが亡くなって200日後に開かれる事になっている追悼式の日が近付いていました。
私が追悼式の最後に超大規模魔法を披露すると話したらリィンちゃんが是非見たいと言うのでその時の様子を高画質撮影して今一緒に見ているのです!。
「でも自分の追悼式を見るのって凄いよねー」
「あはは、私は日本で自分のお葬式の写真を見たけどね、あ、追悼魔法だけじゃなくて王城での追悼式全編撮影してるからそれもあとで見ようね、昨日疲れてたけどリィンちゃんに早く見てもらいたくて徹夜で編集したんだぁ」
「私みたいなバカでもお飾りの女王ちゃんとできたんだね・・・」
そうなのです、リィンちゃんは昨年20歳の時このローゼリア王国初の女王として即位しました!。
ちなみに王太子だったマナサマー殿下は新しくできたギャラン・ローゼリア王国の国王に、前国王のエルヴィス陛下はエテルナ大陸とギャラン大陸、2つのローゼリア王国の統一国王になったのです。
「豪華な式典だねー、っていうかあの玉座に居る初老のおじさんが私の息子ぉ!」
私が編集した式典の映像を見ていたリィンちゃんが叫びました、そうだよね、まだ生まれてもいない自分の息子が渋い初老の男性だなんて・・・。
「そうだよ、ちっちゃい頃はリィンちゃんに似ていて可愛かったのに、あのクソガキ・・・じゃなくてあの子はリィンちゃんと同じ泣き虫でポンコツだよ」
「ダメじゃん!」
「リィンちゃんの息子なんだから仕方ないよ、名前はね・・・」
「言わなくていいよ!、息子の名前くらい自分で考えて付けるから・・・でも私の女王様としての評価はちょっと気になるかなぁ」
「賢くて立派な女王様って国民に慕われてたよ、リィンちゃんは誤魔化すの凄く上手いからみんな騙されてたね、周りの人達も「女王陛下がポンコツなのは国の最高機密!」みたいになってたし」
賢くて立派、国民から慕われていたと聞いてリィンちゃんは少し嬉しそうです、でも生涯ポンコツなのを隠し通せたのは改めて考えると凄いなリィンちゃん・・・。
「96歳かぁ、それまで女王様やらなきゃいけないなんて身体キツくない?、なんで途中で退位しなかったんだろ?」
「息子のクソガキがリィンちゃん以上に頼りなくてポンコツだったからだよ!」
リィンちゃんの父親、エルヴィス統一国王陛下からも王太子がちゃんと王様やれるようになるまで退位するなと命令されてたし!。
「えー・・・でも老後はのんびり暮らしたかったなぁ」
「そんな事言うなら頑張って不老不死になれば良かったのに・・・私がやり方を説明したのに「痛いの嫌!」、「もう無理苦し過ぎる勘弁して!」なんて言って途中でやめちゃったでしょ」
「だってぇ・・・」
「命がかかってるんだから頑張ればいいのに根性ないなぁ」
「無理だから!、やり方聞いても普通できないよ、リゼちゃんのご両親やおじさん達が異常なだけ!、あんなに痛いなら不老不死にならなくていいもん!、死んだほうがマシ!」
「私が寂しいんだよ、リィンちゃんとずっと一緒に居たかったのに・・・」
「だから何度も私以外にお友達作れって言ってるでしょ・・・え、ちょっと待って!、あなたまさか90歳超えてもお友達居ないんじゃないでしょうね?」
「・・・い・・・いるもん」
「どこの誰?、名前は?、正直に言いなさい!」
「ごめんなさい嘘でしたぁ、身内以外だとリィンちゃんしか居ないの・・・ぐすっ・・」
「ほらほら泣かないで、って、うわ汚なっ鼻水垂れてるし!」
・・・リィンちゃんとの楽しい夜は今日も更けていくのです。
・・・
・・・
・・・
・・・
私の名前はアーノルド・シェルダンだ。
今私はギャラン・ローゼリア王国の王都に聳える城のバルコニーに座り、親友のエルと一緒に夜空一面に広がる魔法陣を眺めている。
「・・・・美しいな、王都が真昼のようだ」
琥珀色の酒が入ったグラスを片手にエルが呟いた・・・確かに美しいな、偉大な女王陛下の魂を送るのに相応しい派手な演出だ。
「いくらリィンフェルド女王陛下の追悼にしても・・・我が娘とはいえ無茶苦茶だな、お前は聞いていたのか?」
私の問いにエルが答えた。
「・・・いや、孫からは「リゼお姉様が派手に魔法をブチかますから楽しみにしてて!」としか・・・ここまで狂った魔法だとは聞いてなかったぞ!」
そうだよな、事前に分かっていれば手加減するよう連絡を入れるだろう。
「なぁ・・・この光の粒に組み込まれているのは治癒魔法陣のようだが、もし攻撃魔法陣だったらどうなると思う?」
私も昔、魔導士に憧れて魔法を学んでいた事がある、恐ろしく難解な魔法陣だが見ればある程度は解読できるのだ。
「向こうのエテルナ・ローゼリアとギャラン・ローゼリアが一瞬で更地になるだろうな」
魔法陣からサラサラと流れ落ちる白銀の光の粒を眺めながらエルが呟いた。
「・・・やばくね?」
「やばいぞ」
「・・・」
「・・・」
そう、この魔法はやばいのだ!。
今頃は治癒魔法を浴びて擦り傷や関節の痛みが治ったと王都の住民は大騒ぎしているだろう。
だがこれが治癒魔法ではなく、毒素や身体を貫く攻撃魔法だったらどうなるか・・・私は起こりうる惨劇を想像して頭を抱えた。
「他国からあれは何だって問い合わせが殺到するだろうな・・・」
夜空一面に広がる魔法陣を眺めているエルに向かってこれから起きるであろう事を伝える。
「胃が痛くなってきたぞ・・・」
無表情だったエルも頭を抱えてしまった!。
「・・・」
「・・・」
「死ぬかと思ったが・・・寿命を伸ばしておいて良かったな」
そう呟いて私は手に持っているグラスに口をつける、いい酒だ・・・エルの奴が用意したものだから結構な値打ちものだろう。
「あぁ、凄ぇキツかったがな・・・俺たち以外リゼちゃんを止められる人間居ないだろ」
エルも同意見のようだ・・・娘は今や白銀の大魔導士などと呼ばれ恐れられているが中身は人見知りの引きこもり・・・今でも彼女にちょっかいを出す馬鹿は大勢居る、恐怖や怒りで彼女が錯乱した時に止める人間が居ないと大惨事になる。
「・・・さて、特等席からいいもの見せてもらったし俺は田舎に帰るよ、明日からはまた木こりのアーノルドおじさんだ」
私は空になったグラスをテーブルに置いて席を立つ・・・輝いていた魔法陣は既に消え、夜空には2つの月と無数の星が光っている。
「執務が溜まっていて超忙しい・・・ちょっと手伝ってくれない?」
私が美味そうに飲んでいるのを見ていたのか、エルがまだ半分残っている酒のボトルを私に差し出して言った。
「ダメだ、俺は早く帰らないと妻に怒られる・・・また来てやるからそんな顔するなよ」
「・・・」
「建国からもうすぐ80年・・・生活水準も向こうのエテルナ・ローゼリアと変わらなくなってる、お前と亡くなったマナサマー前陛下が頑張ってくれたおかげだ」
「今日はわざわざすまなかった、一人でこれを見るのは寂しくてな・・・私はもう少し娘の魂を見送ってるよ・・・」
私は酒のボトルを受け取り、バルコニーからエルの私室を通り抜けて薄暗い廊下に出る・・・この通路は王族専用だから周囲には誰も居ない。
この後、私を迎えに娘がやって来るのだ。
私は王城の中に借りている部屋へ向かって歩き出した。
読んでいただきありがとうございます!。
面白いと思った人は下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。




