2-10 - きょだいうちゅうせん -
2-10 - きょだいうちゅうせん -
ジャズ喫茶での密談が終わり、その後の僕の行動は早かった。
お姉ちゃんに計画を説明すると「まかせて!、あの山の上全部覆うくらいのおっきな宇宙船の映像出す魔法陣作るから」などと言いながら嬉しそうに帰っていった・・・大丈夫かな?。
僕は匿名で週刊誌やマスコミ各社に出す手紙を用意した、指紋をつけないように手袋をして筆跡がバレるとまずいから新聞の文字を切り抜いた古風な脅迫文みたいな奴を時間をかけて作った。
・・・気分はまるで誘拐犯だ。
手紙にはこう書いた。
(俺は⚪︎月⚪︎日の夜9時に巨大なUFOが⚪︎⚪︎山の頂上に出現するという情報を宇宙から受け取った、同時に宇宙人から地球人に対する要求も受信している、内容は下記のとおりだ)
(我々は旅の途中で偶然発見した地球に興味があり地上に降り立ちたいと思っている)
(だが気軽に接触すると我が母星固有の病原菌や有機物が地球に害を与える可能性がある、地球に害を与える事は我々も望んでいない)
(地球に被害が及ばないために我々が住む星の食べ物、水、空気、生きた小動物や動物の血液サンプルを事前に⚪︎⚪︎山の頂上に置いておく)
(それらのサンプルが地球に悪影響を及ぼさないか調べて欲しい、我々の通信用無人機が既にこの国に降り監視しているから一般に公表すれば我々に伝わる)
(サンプルごとの詳細なデータも欲しい、これは我々が地球の解析技術の水準を調べる為のものでもある)
(尚、隠蔽したり虚偽の発表をすれば我々と敵対したと見做し地球を総攻撃する、我々は地球がどうなろうと痛くも痒くもない)
(我々は地球に降りて調査をしたいだけで地球人と交流する気は一切ない、文明は我々の方が非常に進んでいる、地球人に選択権は無い)
(以上だ、俺の素性は調べるな、俺に接触しようとすると宇宙人によって身体に埋め込まれた爆弾が爆発して身体が吹き飛ぶ、どうか絶対に調べないでくれ!)
「よく出来てるねー」
「うむ、いい出来でござるな」
「へー、すごいね龍之介、あんた立派な犯罪者になれるよ」
家族に褒められながら僕は手紙を十真斗さんに渡し、隣の県まで行って投函してもらった、これで当日まで待つだけだ。
⚪︎月⚪︎日の夜9時、僕達は座敷でお姉ちゃんと一緒にテレビを見てる、横にはノートパソコン、リアルタイムで情報を見る為にBwitterとニュースサイトを開いてる。
テレビ局はイタズラだと思ったのかどこも生中継していない・・・そりゃ僕でもあんな胡散臭い手紙を信じろっていう方が無理だ。
時間が来た・・・。
・・・
最初はBwitterの動画だった「すげぇの撮れた!」っていう文章と動画が投稿された・・・。
1時間もしないうちにトレンドは、「UFO」「宇宙船出た!」「宇宙人」などの関連する文字で埋まりはじめた、大事件になってるっぽいし怖いな・・・いや僕達が意図的にしてるんだけど・・・。
ようやくマスコミも中継を始め地元の駐屯地から自衛隊が出動したというテロップが特別報道番組の上の方に出た。
テレビには僕が住む県にある特徴的な形の山の上に巨大な宇宙船が出現している様子が映っている。
「これ凄いね」
「凄いでしょー、最初はバトルシップに出てくる宇宙船を作ろうかなって思ったんだけど形が難しくてね、インデペンデンス・デイの宇宙船を参考にして徹夜して作っちゃった、てへっ」
「サンプルは何を入れたの?」
「せっかくだからいろんなやつを詰め込んだの、こっちの植物でしょ、野菜、果物、それと水やお酒、カゴに入れた鳥や小動物も雄雌それぞれ入れたよ、誰かがこっちで繁殖させるかなーって」
「わぁ・・・」
「あとは普通の人間の血と私の血、ちっちゃい魔物の死体を凍らせたやつもいくつか、それぞれ別の厳重に密封した箱に入れておいたのです」
「学者は大喜びでござろうな・・・」
「自衛隊が出動したみたいだけど」
「隊員さん達には悪い事しちゃったね、あれはただの映像だからレーダーにも映らないし飛行機通り抜けちゃうからバレないうちに消そうか」
テレビのレポーターが「き・・・消えました!、突然巨大な宇宙船が消えましたぁー!」などと叫んでるのを聞きながら。
「さぁて、風呂入って寝ようかな・・・」
僕は座敷を出て風呂に向かった。
あの大事件から半月ほど経って政府から公式発表があった、テレビでも報道されたし新聞にも結果が書かれている。
僕は家族と一緒に新聞を読んでいる、うちは新聞をとってないから僕が近くのコンビニまで買いに走った。
(野菜や果物などの植物は地球のものと似ているが全て未知のもので新種と判明、種を植えたところ発芽した為地球でも栽培可能と推測)
「おぉ・・・新種でござったか!」
親父が驚いている。
(小動物も全くの新種である、ツノの生えたウサギに似た獣、翼が4枚ある鳥、猫に似た草食動物・・・)
「世界中の動物学者が狂喜したって書かれてるね、地球でも問題なく生きているみたいだよ」
僕の広げた記事を魔法陣の上から読んでいたお姉ちゃんが嬉しそうだ。
(水は地球のものと元素配列が一致、酒は蒸留酒で成分はアルコールだが再現不可、未知の技術で製造された可能性あり)
「味はとても美味しいって書かれてるね、誰が飲んだのかは非公開か・・・あたしも飲んでみたいな!」
「魔力を浴びせながら熟成させると旨味とコクが出るらしいよ、今度買ってきてあげようか?」
お姉ちゃんとお袋の不穏な会話は聞かなかった事にする。
(人間のものと思われる血液はヒト種に限りなく近いが地球人類とはDNA配列が異なる、2種類共にDNA配列が似ているため血縁関係があると推測)
「一つはお姉ちゃんのだよね、もう一つは誰の血なの?」
「弟だよ」
向こうの世界に弟が居るらしい!。
(「コレハ魔物、危険!解凍スルナ!」と日本語で書かれた氷漬けの死体は全く未知の生物である、地球上のいかなる種とも一致しない)
「結論としては害がある病原菌や寄生虫は今のところ見つかってないみたいだね」
「各国から研究者が派遣されて共同研究プロジェクトが始まるようでござるな、世界中が大騒ぎでござる」
「あの山は今も封鎖されて立ち入り禁止か・・・」
「お姉ちゃんがこっちに来ても大丈夫そうだね」
僕の言葉に頷きながらお姉ちゃんが魔法陣の上で立ち上がった。
「うん・・・本格的に日本に帰還する準備をするのです!、みんな待っててね!」
「あ・・・今回の血液検査の件で色々と相談に乗ってもらった人達からお姉ちゃんがこっちに来たらお願いがあるんだって」
「え?」
「実は・・・」
あ、お姉ちゃんがチベットスナギツネみたいな表情で固まった・・・。
読んでいただきありがとうございます!。
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